表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4話

久しぶりの更新になります。

お待たせしました(_ _)

 あたしは翌朝、日が高く昇ってから起きた。


 カリアはまだ来ていないが。まあ、昔は自分の事は大体やっていたしな。そう思いながらも、ベッドから降りた。洗面所に行き、棚などから歯ブラシやタオルなどを探す。

 やはり、あったか。歯磨き粉やコップも出して身支度を始めた。洗面所の隅にあった小さめの水瓶から、柄杓でコップに水を入れる。歯ブラシに粉もつけた。

 水入りのコップを洗面台に置く。歯磨きを始めたのだった。


 シャコシャコと一通り、歯を磨いて。コップの中の水で口をゆすいだ。また、水瓶から掬って歯ブラシも濯ぐ。コップも軽く濯いだりしたら、洗面台に栓をした。水を溜めて洗顔も軽くする。済ませたら、タオルで拭いた。溜めた水を捨てたら、タオルは洗濯用のカゴに入れる。よし、部屋に戻りますか。洗面所を出たのだった。


 自室に戻ったら、カリアがいた。ちょっと、居心地悪そうにしている。


「あ、おはよう。カリア」


「おはようございます、オーリエ様」


「もう、歯磨きとかは済ませたわよ。後は着替えや髪結いくらいかしらね」


 あたしがはっきり言うと、カリアは頷く。


「分かりました、オーリエ様。鏡台まで行きましょう」


「ええ」


 あたしもカリアと一緒に、向かった。


 髪に香油を塗り込み、ブラシで梳かしていく。やはり、カリアの方が慣れている。手早くしたら、簡単に一本の三編みにする。そして、幾つものピンで留めてアップにしてくれた。次に部屋着用ではあるが、人前にも出られるようにと深みのある薄紅色のワンピースを着せられる。ちなみに、タートルネックで長袖になるが。レースやフリルはついておらず、シンプルなものだ。


「さ、できました。オーリエ様」


「ありがとう」


 あたしが礼を述べると、カリアは嬉しそうに笑った。こうして、朝食をとりに食堂に向かったのだった。


 食堂には既に、両親や兄様達、義姉様、小さな女の子が揃っていた。たぶん、この女の子が姪っ子だろう。アレド兄様の娘さんのはずだ。


「……ねえ、母様。あの方はだあれ?」


「……しっ、アリシア。失礼な事を言うんじゃないの」


「まあまあ、エレナにアリシア。この方は俺やイアンの妹でオーリエと言うんだ」


「あ、オーリエ様だったんですね。失礼しました、私はアレド様の妻でエレナと申します。隣にいるのは娘のアリシアです」


「はい、初めまして。エレナ様、アリシア様。あたしがオーリエです。あ、様付けではなくて。呼び捨てでもいいですよ」


 あたしが言うと、義姉もといエレナ様は戸惑ったようにこちらを見た。


「ですが、今はオーリエ様の方が身分は上ですし」


「あたし、そう言うのは気にしませんので。好きなように呼んでくださいな」


「はあ、では。オーリエさんと呼ばせてもらいます」


「え、この方は叔母様だったの?」


「そうよ、父様や母様の妹さんだからね。アリシア、せめて姉様と呼びなさい。まだ、お若いんだから」


「はーい」


 アリシアさんは渋々、頷いた。まあ、まだ初対面だしね。


「アリシア様、あたしの事はオーリエで構いませんよ」


「え、えっと。じゃあ、リーエ様って呼んでもいいですか?」


「はい、いいですよ」


「リーエ様、あたしの事もシアって呼んでください!」


「……分かったわ、これからはシアちゃんって呼ぶわね!」


「はい!」


 アリシアさんこと、シアちゃんは元気に返事をしてくれた。いや、やっぱり姪っ子は可愛いわねえ。早くも、叔母バカになりつつあった。


 朝食を済ませた後、あたしは自室に戻る。シアちゃんも一緒だ。


「リーエ様、その。お裁縫を教えてください」


「あら、お裁縫ね。じゃあ、簡単な柄で刺繍でもしてみない?」


「ししゅうですか?」


「えっと、刺繍って言うのはね。布に針と糸で柄を縫い込んでいくの。木の枠に布を嵌め込んで、その上でするのよ」


「へえ、私。やった事がなくて」


 シアちゃんはうつむいた。あ、エレナさんはお裁縫が苦手なのね。彼女の一言でなんとなくは察した。まあ、あたしも刺繍はまずまずだから。教えてあげてもいいかも。


「分かったわ、あたしで良ければ。教えてあげる。シアちゃんは何か、好きな柄はないかしら」


「……あの、子猫をししゅうしたいです」


「いいわね、どんな色の子猫にしたい?」


「うーん、あの。白い子猫と黒い子猫にしたいです」


「そっか、目は何色にしたいかな?」


「んーと、白い方は緑色で。黒い方は青かな」


 あたしは笑いながら、頷いた。シアちゃんと二人で自室に向かったのだった。


 メイドのカリアに頼んで、刺繍の道具一式を用意してもらう。まず、針の穴への糸通しから教える。


「シアちゃん、針のとんがってない方に穴があるでしょう?」


「はい、これですか?」


「その穴に糸の先を入れてみて、上手くいかないなら。ハサミで斜めに切るの。そうしたら、やりやすくなるわ」


 シアちゃんは頷きながら、糸の先を針の穴に慎重に入れた。なかなかに最初は四苦八苦していたが。何度かやる内にコツを掴んだらしい。


「あ、通りました!」


「……本当ね、よく出来ました」


 シアちゃんに笑いながら言った。凄く嬉しそうにしてくれたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ