4話
久しぶりの更新になります。
お待たせしました(_ _)
あたしは翌朝、日が高く昇ってから起きた。
カリアはまだ来ていないが。まあ、昔は自分の事は大体やっていたしな。そう思いながらも、ベッドから降りた。洗面所に行き、棚などから歯ブラシやタオルなどを探す。
やはり、あったか。歯磨き粉やコップも出して身支度を始めた。洗面所の隅にあった小さめの水瓶から、柄杓でコップに水を入れる。歯ブラシに粉もつけた。
水入りのコップを洗面台に置く。歯磨きを始めたのだった。
シャコシャコと一通り、歯を磨いて。コップの中の水で口をゆすいだ。また、水瓶から掬って歯ブラシも濯ぐ。コップも軽く濯いだりしたら、洗面台に栓をした。水を溜めて洗顔も軽くする。済ませたら、タオルで拭いた。溜めた水を捨てたら、タオルは洗濯用のカゴに入れる。よし、部屋に戻りますか。洗面所を出たのだった。
自室に戻ったら、カリアがいた。ちょっと、居心地悪そうにしている。
「あ、おはよう。カリア」
「おはようございます、オーリエ様」
「もう、歯磨きとかは済ませたわよ。後は着替えや髪結いくらいかしらね」
あたしがはっきり言うと、カリアは頷く。
「分かりました、オーリエ様。鏡台まで行きましょう」
「ええ」
あたしもカリアと一緒に、向かった。
髪に香油を塗り込み、ブラシで梳かしていく。やはり、カリアの方が慣れている。手早くしたら、簡単に一本の三編みにする。そして、幾つものピンで留めてアップにしてくれた。次に部屋着用ではあるが、人前にも出られるようにと深みのある薄紅色のワンピースを着せられる。ちなみに、タートルネックで長袖になるが。レースやフリルはついておらず、シンプルなものだ。
「さ、できました。オーリエ様」
「ありがとう」
あたしが礼を述べると、カリアは嬉しそうに笑った。こうして、朝食をとりに食堂に向かったのだった。
食堂には既に、両親や兄様達、義姉様、小さな女の子が揃っていた。たぶん、この女の子が姪っ子だろう。アレド兄様の娘さんのはずだ。
「……ねえ、母様。あの方はだあれ?」
「……しっ、アリシア。失礼な事を言うんじゃないの」
「まあまあ、エレナにアリシア。この方は俺やイアンの妹でオーリエと言うんだ」
「あ、オーリエ様だったんですね。失礼しました、私はアレド様の妻でエレナと申します。隣にいるのは娘のアリシアです」
「はい、初めまして。エレナ様、アリシア様。あたしがオーリエです。あ、様付けではなくて。呼び捨てでもいいですよ」
あたしが言うと、義姉もといエレナ様は戸惑ったようにこちらを見た。
「ですが、今はオーリエ様の方が身分は上ですし」
「あたし、そう言うのは気にしませんので。好きなように呼んでくださいな」
「はあ、では。オーリエさんと呼ばせてもらいます」
「え、この方は叔母様だったの?」
「そうよ、父様や母様の妹さんだからね。アリシア、せめて姉様と呼びなさい。まだ、お若いんだから」
「はーい」
アリシアさんは渋々、頷いた。まあ、まだ初対面だしね。
「アリシア様、あたしの事はオーリエで構いませんよ」
「え、えっと。じゃあ、リーエ様って呼んでもいいですか?」
「はい、いいですよ」
「リーエ様、あたしの事もシアって呼んでください!」
「……分かったわ、これからはシアちゃんって呼ぶわね!」
「はい!」
アリシアさんこと、シアちゃんは元気に返事をしてくれた。いや、やっぱり姪っ子は可愛いわねえ。早くも、叔母バカになりつつあった。
朝食を済ませた後、あたしは自室に戻る。シアちゃんも一緒だ。
「リーエ様、その。お裁縫を教えてください」
「あら、お裁縫ね。じゃあ、簡単な柄で刺繍でもしてみない?」
「ししゅうですか?」
「えっと、刺繍って言うのはね。布に針と糸で柄を縫い込んでいくの。木の枠に布を嵌め込んで、その上でするのよ」
「へえ、私。やった事がなくて」
シアちゃんはうつむいた。あ、エレナさんはお裁縫が苦手なのね。彼女の一言でなんとなくは察した。まあ、あたしも刺繍はまずまずだから。教えてあげてもいいかも。
「分かったわ、あたしで良ければ。教えてあげる。シアちゃんは何か、好きな柄はないかしら」
「……あの、子猫をししゅうしたいです」
「いいわね、どんな色の子猫にしたい?」
「うーん、あの。白い子猫と黒い子猫にしたいです」
「そっか、目は何色にしたいかな?」
「んーと、白い方は緑色で。黒い方は青かな」
あたしは笑いながら、頷いた。シアちゃんと二人で自室に向かったのだった。
メイドのカリアに頼んで、刺繍の道具一式を用意してもらう。まず、針の穴への糸通しから教える。
「シアちゃん、針のとんがってない方に穴があるでしょう?」
「はい、これですか?」
「その穴に糸の先を入れてみて、上手くいかないなら。ハサミで斜めに切るの。そうしたら、やりやすくなるわ」
シアちゃんは頷きながら、糸の先を針の穴に慎重に入れた。なかなかに最初は四苦八苦していたが。何度かやる内にコツを掴んだらしい。
「あ、通りました!」
「……本当ね、よく出来ました」
シアちゃんに笑いながら言った。凄く嬉しそうにしてくれたのだった。