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第90話 vsチーター①

 今日はアジア大会で優勝してからは初となる、莉央とのゲーム配信だ。

やはり、俺たちにとってはこれが一番の仕事である。


「じゃあ、今日もやって行きますか」

『うん、よろしくね』


 いつも通りに俺たちはマッチンングをスタートさせる。

配信の同時接続者数は一気に6万人を超えた。


「こっちは武器確保した」

『私もいけるよ』

「了解」


 俺たちは順調に敵の数を減らしていく。


『ダウンだから気をつけて。まだ仲間いる』

「おっけ、仲間の方、確キル取った」

『ナイスー!』


 敵の数も残りわずかになってきた時、俺たちが撃たれた。


「撃たれた。230方面かな」

『だね』


 ただ、敵の姿が見つからない。

それでも、銃弾は飛んでくる。


「なんか、嫌な感じするな」

『ねぇ、これって』


 やがて俺たちの疑惑が確信へと変わる。


「あー、これやってるわ」

『やっぱり?』


 いくら探しても敵は見えない。

でも、手榴弾や銃撃は未だ鳴り止まない。


《チーターかよ!!》

《莉央ちゃんがんばれ!》

《チーターなんかに負けるな!!》

《え、ゴースティング?》


 コメント欄でもチーターの存在に気づいたようである。


「これ、ゴースティングされてるね」

『だと思った』


 ゴースティングはオンラインゲームに置いて、不正行為の一つだ。

配信しているプレイヤーと意図的に同じマッチに参加し、配信を見ながら配信者が不利になるような立ち回りをするのだ。


 配信者の位置、装備、状態などを配信上で一方的に確認される為、ゴースティングをしているプレイヤーが圧倒的有利になる。


 対策としては、配信時間に遅延を入れたり、マッチをかける時に画面を隠したりといった所だろうか。


「多分だけど、ダメージ量もいじってると思う」

『じゃあ、一発でも喰らったらアウト?』

「だね」


 本来、アサルトで胴体に弾が一発当たっても一撃でダウンすることはない。

これはダメージ量までもいじっていることになる。


『面白いじゃん』

「まあ、このくらいのハンデはあげてもいいかもね」


 久しぶりのゴースティングに燃えている自分がいる。


「莉央、ここから別行動で行こう。判断は各自で」

『了解』


 俺たちは別行動をとる。

たとえ、一人になったとて負けてやるつもりなんて更々ない。


 マップを見るに莉央は着々と相手との距離をつめにかかっているらしい。

俺は場所を移動し、マンションの屋上へと上がる。


 どうせ、こちらの居場所はバレているのだ。

地理的有利は取れない。

だとしたら、スナイパーで確実に狙える位置へと移動する。


「見えた。二人か」


 俺の場所には銃弾が飛んできている。

遮蔽物でカットしているが、頭出したら撃ち抜かれそうだ。


「上手いことやってくれよ。莉央……!」

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