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第72話 原宿でファンサ

 莉央との勝負に負けた俺は、原宿でクレープを奢るという罰ゲームを負った。

また、その様子を動画で撮影して、莉央のチャンネルで公開するらしい。


 まあ、多分結構伸びると思う。

若者の街で、今注目されている2人がデート動画らしきものを撮るのだ。


 特に、莉央の10代への知名度はものすごいことになっている。

ゲームをしない層まで、知っているのはその圧倒的なルックスもあるのだろう。


 俺は、待ち合わせ場所の最寄駅の駅前で莉央を待っていた。


「お待たせー」


 莉央が手を振りながら、小走りで近づいて来る。

いや、可愛いかよ。


「いや、待ってないから大丈夫だよ」


 今日の莉央は黒のミニスカートのワンピース。

体のラインがくっきりわかる大人っぽい衣装だ。

黒マスクと帽子で変装しているつもりらしいが、その放たれているオーラまでは隠し切れていない。


「諒のそういう所好きよ」

「そうか、ありがとう」


 俺といえば、いつもの黒のセットアップ。

マスクは莉央と同じ黒にした。


「じゃあ、行くか」

「うん」


 電車に乗って20分と少し。

目的地である原宿駅に到着した。


「すごい人だな」


 今日は休日のお昼。

若者を中心に、家族連れまで様々だ。


「そうね。竹下通りに行ったらもっと居るでしょうね」

「だろうな」


 今日の目的のクレープ屋は竹下通りにある。


「さて、撮影しましょうか」


 莉央は自撮り棒にスマホを装着する。

最近のスマホは優秀だ。

スマホだけで十分にカメラの役割を果たしてくれる。


 俺たちは邪魔にならない所でオープニングを撮影する。

そこから、竹下通りへと歩き出す。


「俺たち、バレないか?」

「多分、大丈夫じゃない? 変装してるし」

「いや、莉央の方が心配なんだけどな」

 

 俺に比べたら莉央の方がメディアへの露出は多い。

アパレルやコスメなどのモデルもして居ることから、若者から圧倒的な支持を受けているのである。


「ここ、真っ直ぐだよ」

「あいよ」


 俺は莉央と並んで歩き始める。

それは、竹下通りに入ってすぐのことだった。


「すみません、莉央さんですか?」

「え、莉央さん本物!?」

「じゃあ、そっちに居るのはtakamoriさん!?」


 早速バレた。

俺たちの周りには人だかりが出来上がっていた。

その人だかりを見て、さらにバレるという悪循環が生まれる。


 さすがは若者が集まる街だ。

新宿ではあまりバレても話しかけられることまでは無かった。

しかし、ここではそうはいかないらしい。


 あっという間に俺たちの存在が周囲にバレていった。


「一緒に写真いいですか?」

「私も、お二人と写真お願いしたいです」


 握手や写真を求められる。

俺と莉央はできる限り、ファン対応する。


 そして、少し落ち着いたタイミングで切り上げた。


「じゃあ、私たち撮影があるからまたね!」

「動画見てください」


 なんとか、ファンたちの間を抜け出してクレープ屋まで到着した。


「いや、予想以上だったね」

「そうね。まさか、あそこまでなるとは思わなかったわ」


 少し、自分達の知名度を侮っていたようである。


 そして、俺たちは撮影を再開する。


「今日は、ここでクレープ買いたいと思います」

「並びますか」


 俺たちはスマホで素材を撮り終わると、クレープ屋にできている長蛇の列の最後尾に並んだ。

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