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第57話 反響

 開場すると、お客さんが一気に流れ込んでくる。

コミケではよく見る光景だ。


 そして、瞬く間にリュアーグのブースにはとんでもないくらいの行列ができた。

そして、その注目の対象に俺と莉央がなっている。


「莉央さん、写真いいですか?」

「サインください!」


 そんなファンも多く居た。


「こりゃ、凄いな」


 想像以上の反響に俺は驚いていた。

そして、莉央のコスプレのクオリティの高さから、たくさんの写真を求められていた。


 行列も落ち着いて来た昼過ぎ、俺たちはやっと解放された。


「せっかくだから2人で他の所も見てきなよ」


 緋山さんにそう言われる。


「もう、いいんですか?」

「2人とも十分頑張ってくれたし、こっちはもう落ち着いてきてるから」


 あれだけあった在庫も、もう売り切れ寸前の所までになっていた。

改めて、プロホプルの凄さを感じさせられる。


「分かりました。ありがとうございます」


 俺は莉央と共に会場を歩き始める。


「諒はどこか行きたい所あるの?」

「そうだなぁ。全然リサーチしてなかったからね」


 誰がコミケに出てるかなどのリサーチをしていなかった。


「ちゃんと調べてくるべきだったな」


 俺は何も調べなかったことに少し後悔した。


「あ、あの、takamoriさんと莉央さんですよね?」

 

 急に後ろから声をかけられる。


「ええ、そうですが」


 そこには黒髪を肩くらいの位置まで伸ばし、メガネをかけた美少女の姿があった。


「私、三沢ゆみといいます。お二人のファンなんです!」


 その名前は聞き覚えがあった。


「確か、漫画家の」

「知ってくれているんですか!?」

「ええ、有名ですからね」

「嬉しいです!!」


 そう言って、俺の手を掴む。


「ちょっと、くっつき過ぎ」


 莉央が俺とゆみの間に入って引き剥がす。


「す、すみません。つい、興奮してしまって」

「いや、俺は大丈夫だよ」

「あの、これよかったら、新刊持っていってください」


 ゆみは自分のブースから自身の新刊を取って渡してくれる。


「いや、ちゃんと買わせてもらうよ」


 俺はポケットから財布を取り出そうとした。


「いいんです! お二人に読んでもらえるだけで私は幸せですから!」

「じゃあ、今回はご厚意に甘えようかな。今度、お礼させてよ」

「ぜひ!」


 そう言って、ゆみは微笑みを浮かべた。


「じゃあ、俺たちはこれで」

「はい! 引き止めてしまってすみません」


 俺たちはその場でゆみと別れる。


「諒ってさ、たらしだよね」

「へ?」

「女ったらしじゃん」

「怒ってる?」


 莉央は俺の数歩前を歩いている。


「別に!」

「怒ってんじゃん!」


 その後、莉央を説得するのには苦労したものだった。



 ♢



 翌日、SNSはコミケの話題で盛り上がっていた。

その中でもトレンドは俺と莉央の話題で独壇場だった。


日本のトレンド


1.夏コミ

2.莉央のコスプレ

3.takamori

4.夏目莉央

5.美人すぎるプロゲーマー


 2位から5位は全て俺と莉央に関係するものである。


『また、凄いことになってるね』


 その日、莉央から連絡があった。


「そうだね。コスプレ、凄い反響だね」


 この日だけでSNSのフォロワーが1万人以上増えたのであった。



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