第48話 幕開け
いよいよ、日本大会の予選が開始される。
この予選で、半分のプレイヤーが脱落することになるだろう。
「それでは、プロホプル日本大会、予選のスタートです! 実況は私、緋山アヤが担当させて頂きます。解説はプロホプル開発責任者の橘花さんです」
「橘花ですよろしくお願いします」
橘花さんは新作のスマホゲームでも開発プロジェクトのリーダーをやっている。
しかし、元々はプロホプル開発の初期メンバーであり、開発責任者という立場だったのである。
「やはり、今大会の注目選手は莉央さんとtakamoriさんのペアですかね?」
「そうですね。世界大会と日本大会の優勝者ペアというだけでも期待値は上がってますし、最近の生配信での
活躍も目覚ましいですからね」
莉央と俺は毎週生配信をやっている。
そこでは、プロホプルだけではなく色んなゲームをやっているが、顔出しをしているという所もあり、チャンネル登録者も同時接続者も爆発的に伸びている。
莉央のチャンネルは登録者が90万人を超え、俺のチャンネルは遂に100万人を超えるという大台に乗った。
「それでも、彼らも油断できないと思いますよ。ここにいるのは全国の予選を勝ち抜いて来た猛者たちばかりですから」
「橘花さんが他に注目している選手はいますか?」
「僕が個人的に注目しているのは、如月兄妹ですかね」
如月兄妹というのは数年前からゲーム界隈に出てきた、天才的なプロゲーマー兄妹だ。
兄妹という特性を活かした、連携力は誰にも負けないものがあるだろう。
個々の能力も特出しているので、それが上手いこと連携に繋がっているのだ。
「あー、あの美男美女の兄妹ゲーマーですね」
「そうです。彼ら、今までは一度も公式大会には顔を出さなかったのですが、今回は出場するということでtakamoriさんたちの大きな壁になるかもしれないと、僕は思っています」
そう言って、橘花さんは口角を上げた。
その表情を見るに、橘花さんは本当にゲームを、プロホプルを愛しているのだなと感じる。
自分が作ったゲームに愛のあるのは開発者として素晴らしいことだ。
リュアーグはいい人材を集めていると、感じる。
♢
俺は大きく息を吐く。
会場は橘花さんと緋山アナの会話で盛り上がりを見せている。
会場を映している生配信も、同時接続が9万というとんでもない数字を叩き出していた。
まだ始まったばかりなので、ここからさらに増えて行くことだろう。
「緊張してます?」
「まあね」
「私もです」
莉央の手は少し震えているように見える。
俺は、震えている莉央の手を握った。
「へっ!?」
莉央は驚きの表情を浮かべ、顔を赤くしている。
「大丈夫。一緒に楽しんじゃお」
「そ、そうですね。今日はたくさんの強い人と戦えますもんね」
そう言って、莉央の手の震えは収まった。
「俺たちの番だな」
最後に俺たちの順番がやって来たので、会場に入場する。
そこで会場からは黄色い歓声が上がる。
「ほら、諒も手を振ってあげたら?」
莉央が小声で伝えてくる。
すでに莉央は観客とカメラに向かって微笑みを浮かべながら、手を振っている。
さっきまでの緊張が嘘のようだ。
「慣れてるな、莉央は」
そう言って、俺も恐る恐る手を振ってみる。
「「「キャァーーー!!」」」
すごい歓声だ。
コメント欄の方も目では追えないほど流れるのが早い。
「さて、頑張りますかね」
俺と莉央は隣合わせに、席に座る。
正面にはハイスペックなPCが置かれている。
今大会用にスポンサーの企業が用意したものらしい。
「うん、いつも通りにね」
「ああ、そうだな」
自然と俺の口角は上がっていた。
この大会の雰囲気に当てられてしまったようである。
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