第41話 ようこそ我が家へ
今日は莉央が来ると言ったら、親父も午後は有給を使って休みを取った。
今まで、働きっぱなしなので引くほど有給が溜まっていたらしい。
柚月は学校は土曜日の為に休みだ。
「親父、落ち着けって」
なぜか親父が一番ソワソワしている。
これだけ見たら、毎日凶悪犯相手に戦っているとはとても思えない。
「だって、緊張するじゃないか!!」
「いや、なんでだよ」
「まあ、爆弾魔相手にするよりはマシか……」
いや、だから比較対象がおかしいって。
「莉央さんはいつ来るのー?」
柚月が俺に尋ねてくる。
「多分、もうすぐじゃないかな。俺、駅まで迎えに行ってくるわ」
時計を見ると、16時の少し前だ。
莉央からの連絡では、16時に駅に着くと来ていた。
「おう、分かった」
「待ってるね」
俺はマンションを降りると、駅に向かって歩き始めた。
10分ほど歩いて駅に到着する。
『東口で待ってる』
『了解!』
俺が莉央に連絡をすると、すぐに返信があった。
適当にSNSを眺めて、莉央が到着するのを待っている。
「諒、お待たせー」
莉央が俺の姿を見つけると、小走りで近づいてくる。
いや、可愛いかよ。
今日は、真っ白なシャツに黒の膝上のスカート、胸元にはネックレスが光っている。
髪は高い位置で一つでまとめている。
ポニーテールというやつだ。
本当に、美人というのは何をしても美人なのだと思う。
個人的にはポニーテールというのがポイント高い。
「今日は無理言ってすまんな」
「全然! 諒の妹さんとお父さん、どんな人か気になる!!」
莉央は目をキラキラとさせていた。
「じゃあ、行きますか。ここからすぐだから」
俺は莉央と一緒に来た道を引き返していく。
「いやぁ、暑くなったね」
この時間はまだ蒸し暑い。
「本当だな」
じんわりと額に汗が滲む感覚がする。
「ここ」
ゆっくり歩いて、自宅マンションに到着する。
「結構、いい所住んでるんだね!」
「まあ、親父がな。警視庁の中でも割と上の立場だから」
マンションのエントランスを抜けて、エレベーターで上がっていく。
「ただいまー」
俺は玄関を開けて中に入る。
「どうぞ」
「お邪魔します」
その声を聞いて、リビングからバタバタと柚月がやって来た。
「初めまして! おにいの妹の柚月です!! いつも配信見てます!!」
すごい勢いだ。
「あ、ありがとうございます」
「ほら、莉央が困っているだろ。親父は、リビングか?」
「う、うん」
俺たちは 廊下を抜けてリビングに入る。
そこには親父が突っ立っていた。
「親父、何やってんの?」
「初めまして。夏目莉央と申します。本日はお招きありがとうございます」
莉央がそう言ってぺこりと頭を下げる。
「こちらこそ、息子がいつも世話になってます。父の義英です」
「私の方こそ、諒にはいっつも助けてもらってて……」
莉央は柔和な笑みを浮かべる。
「まあ、立ち話してないで座ろうよ」
リビングの椅子に座らせる。
今日、莉央を呼んだのは一緒に食事をする為でもある。
柚月が張り切って夕食の準備をしていたのだ。
「莉央、お腹空いてる?」
「うん、少し」
「じゃあ、食べるか」
すでに食事の準備はできていると柚月が言っていた。
「おにい、並べるのをお手伝って」
「はいよ」
俺は立ち上がって、キッチンへと向かった。
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