第32話 人気声優
俺と莉央は出番が無事に終わると、控室に戻った。
イベント自体はまだ続いている。
その様子を座って見ていた。
そして、無事にイベントが終了すると、俺たちの控室にある人物が訪ねてきた。
「失礼します。本日は弊社主催の新作発表会にご出席して頂き、ありがとうございます」
先ほどのイベントでも何度も顔は見ていた。
「改めて、ご挨拶をと思いまして。私、株式会社リュアーグの代表を務めております、大谷和樹と申します」
そう言って、代表は俺たちに名刺を手渡してくれる。
「ご丁寧にありがとうございます。高森です」
「夏目莉央です」
俺たちはぺこりと頭を下げる。
「お二人には、弊社のプロホプルの知名度上昇に大きくご協力頂いたと思っております。遅ればせながら、大会優勝おめでとうございます。本来なら、大会にも顔を出す予定だったのですが、体調を崩しておりまして」
俺たちがリュアーグの代表と顔を合わせるのは、これが初めてのことである。
「こちらこそ、いつも楽しくプレイさせて頂いてます」
「そうおっしゃって頂けて光栄です。今後ともプロホプルともども弊社をよろしくお願いいたします」
そう言って、大谷さんは控室を後にした。
そして、挨拶待ちをしていた人物がもう1人いた。
「あ、あの、初めまして!」
彼女は緊張気味に声をかけてくる。
「私、華宮さくらと申します!」
華宮さくら、今をときめく超人気声優だ。
今回のスタートファンタジーの女性キャラにも声を当てている。
黒髪ストレートで正統派美人というルックスだ。
声だけでなく、顔も可愛いことから、華宮さくらの人気は爆発した。
可愛いというのは、強いなと改めて思う。
「存知上げてますよ。初めまして。今期のアニメもすごく良かったです」
この界隈で華宮さくらの名前を知らない人間は居ないだろう。
「そんな、アニメまで見てくれてて、私の名前も……」
さくらは頬を両手で覆っている。
「私、ずっとTakamoriさんのファンなんです! 動画もたくさん見てて、プロホプルも始めちゃいました」
「それは、ありがとうございます」
美少女にファンと言われて悪い気はしない。
「今日のイベントにはTakamoriさんも出席するって聞いて、もしかしたら会えるかもしれないと思ってたんです! あの、握手してもらってもいいですか?」
「もちろんです」
そう言って、俺は右手を差し出した。
「やった!」
さくらは嬉しそうに小さくジャンプする。
その様子を見るに、本当のファンなのだろう。
「これからも頑張ってください!! 応援してます」
「お互いに頑張りましょうね。さくらさんの活躍、楽しみにしていますよ」
おそらく、俺なんかよりさくらの方が何倍も忙しいだろう。
「今日はお話ができて嬉しかったです。では、またどこかで」
「はい、またどこかでお会いしましょう」
これが、人気声優、華宮さくらとの出会いだった。
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