第15話 世界への挑戦、再び
俺たちがやっているプロホプルの大会には、それぞれ部門が存在する。
俺と莉央が優勝しているのはソロ部門だ。
他にも、デュオ部門や三人でプレイする部門が存在する。
「それは、デュオ部門での世界大会優勝ってことか?」
「うん、もちろん! 諒となら世界も目指せると思うんだ」
確かに、前回の試合で莉央とは連携がとりやすいことが分かった。
今後、もっといろんなゲームをしたり、プロホプルをプレイしていけば、俺と莉央の連携力は確実に上がって行くことだろう。
「確かに、大会のオファーは俺の所にも来ているしな」
世界大会を優勝したことで、俺はシード権を手にしている。
もう、大会にはしばらく出るつもりはなかったので、今回は断ろうかと思っていた。
「私の所にも大会オファーは来てるよ。もちろん、シード権もある」
部門が違えど、一度実績を残している以上、デュオ部門での参加も可能である。
「また、世界目指すってなると、結構しんどい道になると思うよ?」
「分かってる。それでも、私はあなたと世界を目指してみたい」
幸い、俺の通っている高校は、芸能関係に理解がある高校である。
「莉央は学校とかは大丈夫なの?」
世界を目指すとなると、色々やるべきことが増える。
ゲームイベントや練習、大会の予選などは必ずしも休日にあるとは限らない。
そういう時は、学校を休まなければならないことも増えてくるのだ。
「そこは大丈夫だと思う。私、芸能系の高校だから。私みたいな芸能活動している子沢山いるし」
芸能系の高校はレポートとテストで単位を取得できるシステムにはなっているので、それさえやっていれば問題ないはずである。
まあ、莉央ほどメディアに露出していれば、芸能系の学校に通わざるをえないだろう。
莉央はゲームだけでなく、アパレルやコスメ、その他にも多くのイベントに出演している。
ほぼ、ゲームの仕事しかしていない俺と比べたら忙しいのは莉央の方である。
うちの学校にも一般の生徒もいるが、芸能関係の生徒も多いという。
確か、有名なアイドルグループの一人も通っているらしい。
「多分、練習時間とか私に合わせてもらうことが多くなっちゃうと思うけど、それでも良かったら」
「その辺は問題ない。俺の方が多分時間あるから」
この時、俺の中で答えは出ていた。
「莉央、俺と一緒に世界のトップを目指してくれ」
俺はそう言って、右手を差し出した。
「はい!」
そして、莉央は俺の手をしっかりと握り返して、力強く返事をした。
誰かに夢を見させるような大人になりたい。
だったら、まずは自分が夢を見ないといけないのではないだろうか。
ここから、俺と莉央の世界への挑戦が始まるのであった。




