第16話 紫陽花咲スミレ転生の間
さて、私綾蘭川(旧姓紫陽花咲)スミレは白い所にいた。すごく白い。本当に白い。姫路にある姫路城の壁の白さをそこら中に敷き詰めたような白さだ。
そこへ、赤系の着物を着た神様と思しき人が来た。
「はじめまして、アマテラスでしゅ。あ、噛みみゃしてゃ。アマテラスです」
ここで一息入れて、アマテラスが再び話し始めた。噛みすぎている。神だからといっても神すぎる噛みだ。
「勇者の転生はやり直すための転生なので見た目は変えないのですが、良き魂ボーナス転生は性別も見た目も変えられます。綺麗になる事だけは保証します。あと、前世の記憶を残すかどうかも選べます。どうされますか?」
アマテラスが説明した。
「もう噛まないんですね。わざとですか?」
「そんな事ないですにゃー」
「で、私は記憶を消して新しく始めながら、何かトリガーとなるものを見ると思い出すようにしてください。チートなるものは、後で送ってもらえます?今必要なものわからないので。神との通信を前世私の家族だった人にあげてください」
「貴女って欲が無いですにゃー。私だったらイケメンとの結婚とか恋とか思い描いちゃうのににゃー」
「そんな事しなくても、真っ直ぐ真面目に生きて時たまにユーモアのある生き方をすればモテるはずですよ」
「それを眉目秀麗な貴女が言いますか?顔って大事ですよ。性格の前に顔があるんですよ」
「声も顔も可愛いです。頑張ってください」
そう言うと私は異世界へ向かう魔法陣の上に乗った。
「行ってらっしゃい」
「あ、噛まないんですね」
「うわ〜」
アマテラスは泣いていた。




