第1話 花の二十代。
始まりは爺さんではありません。さて、いつ転生するのかな?
俺は綾蘭川羅神。今年新卒の新入社員だ。一応エリート大学を出て、エリート企業に入った勝ち組だ。
ちなみに英語のジーニアスだ。センターでは190とったやつだ。オーラでわかるだろうと試験は受けていない。今度受けよう。
そして、今日は飲み会だ。イェーイ飲み会だ。そう飲み会だけが楽しみだ。
メンバーは、上司で部長の金星緑と社長そして、俺と紫陽花咲スミレだ。
「おい、綾蘭川。ビール注げよ。お前も飲め。あと、紫陽花咲も、な」
社長はまた、飲ませようとしてきた。一応俺は酒強い。紫陽花咲さんは飲めるけど、そこまで好んで飲むタイプではない。
「明日に差し支えますので、控えめになさりませ。社長さん、部長さんも、綾蘭川さんもですよ」
紫陽花咲さんは気立ての良いそれはそれは綺麗な日本美人だった。そして、声は澄み渡っていた。
「紫陽花咲もそう言わず飲みなさい。奢りで飲めるのも数年ですよ」
そう言うのは金星緑。俺の上司であり、部長だ。
金星部長はキャリアウーマンだ。まだ、そこまで男女平等が叫ばれていなかった頃からこの会社で身を立て、部長に成り上がり、女性の権利を守ってきた人である。
今年でその金星部長も更年期を迎える。俺とは18歳差だ。もちろん凄く綺麗な美魔女。いや、年相応の大人な魅力を感じさせるから少し違うかも。
その飲み会から2年、俺が係長になり、出世コースに乗ったのと同時に、紫陽花咲さんと仲良くなった。
夏の日にデートもした。その日は2人で昼には泳ぎ、夜景の見える眉山と呼ばれる所に登った。暑い夏の夜だった。ついでに肝試しだった。
そして、翌年俺と紫陽花咲さんは結婚した。俺31歳。紫陽花咲さんが25歳だった。
更に翌年に長男、その翌年に長女が生まれ、4人での生活が始まった。俺は一生懸命働いた。息子と娘の成長が楽しみだった。