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第1話 種

はじめまして、宇白 時と申します。

初めて載せるので拙い部分もあるかとは思いますがどうかよろしくおねがいします。

2025年、スイス、ジュネーブ。

CERNの大型加速器(LHC)にてある実験が行われた。


その実験が何だったかはもう語られていないが、きっと今までの常識を覆すようなものだったのであろう。


なんせ、次元に穴を開けたのだから。


衝撃波は地球を5周し、大きな被害をもたらした。


地震、津波、噴火を始めとした災害が同時に起こり、ヨーロッパや大西洋沿岸を中心とした世界の60%が甚大な被害を受けた。

さらに悪いことに奴らが現れた。

その影響もあって人類はユーラシア大陸を手放さざるを得なかった。


そして2063年、世界はその影響からまだ抜け出せずに居た。


[2063年4月3日 日本国 対馬]


たまたま、二人の子供がいた。一人は男子。名を守田ケイという。

彼は岸壁に立っていた。そして、対岸にある大陸を見ていた。

ヨレヨレになった服を着て、ケイは立っていた。


もう一人は女子。女子の名は郡アイサという。

彼女もまた、ケイ程ではないもののヨレヨレになった服を着て、彼の少し後ろにいた。


この二人、今はお互い知る由も無いがそれをここで語るのはやぶさかであろう。


彼らは船を待っていた。

彼らにとって宝くじのチケットのような船だ。


服装から分かるように彼らは決して裕福な出ではない。

むしろ、搾取される側である。


2025年にヨーロッパで起こった歴史的大爆発、通称ハザードは多くの爪痕を残した。


一つが社会環境だ。

ヨーロッパが壊滅し、ユーラシア大陸の大半までもが奴らに侵食された現在、日本国のみが先進国として生き残った数少ない土地である。


アメリカ大陸も東海岸こそ壊滅したものの西海岸は比較的軽微な被害であった。しかし、奴らが現れた。

奴らを食い止めることに精一杯となり、現在はいくつかの海岸沿いの都市がコロニーとして残るのみとなっている。


一方、日本は島国であること、震源のヨーロッパから離れていることが幸いして多くの人が逃げて来た。

そのほとんどが富裕層であった。


彼らは日本にお金を落とし、腰を落とした。そして、経済的蹂躙を始めたのだった。


さらに日本は資源が少ない。

そこを狙われて、石油を始めとする資源が高騰した。


普通の日本人には石油など回ってこなくなった。


2063年現在、日本列島の人口は2億人を越えようとしている。法律でこそ定義されていないものの貧富の差は明らかである。

上級国民として生きる移住者や一部の資産家を除き、下級国民となってしまった日本原住民の多くはその日を生きるために精一杯だ。


2つ目は奴らの登場だ。

奴らはハザードの後、突然現れた。奴らに物理的な形態は存在しない。奴らはその辺りにあるものに憑依し、体を持つ。体を失うとまた、別のものに憑依する。

現代兵器はなすすべもなかった。

奴らには頼るもの「ディペンダー」という呼称があたえられ、対抗策を考えたのだった。


結論が出た。

「ディペンダーを取り込む。」

憑依されるのであれば憑依させればいい。それをコントロールすれば良い。


そういった発想で人体実験が始まった。


被験者として、当時一番数がいてお金を持つ人が少ない、そして混乱によるモラルの崩壊も手伝って選ばれたのが日本人であった。

日本人を徹底的に虐げることで、人体実験で報酬を払うことで思考を人体実験にコントロールしたのであった。


そして3つ目だ。

ディペンダーのコントロールが無事成功する事例が出てきた頃だ。

当時の上級国民は考えた。

「あいつらが力を持つと俺たちがやられる。」


そして、さらに強くなる弾圧。

憑依に成功した人は大陸送り。日本に残る人々に発言権など無いに等しかった。


これら3つの要因が重なり合い、彼らは貧しいのだ。


そして、彼らが目指すのはそこからの解放。

力を手にした上での大陸の再開拓だ。


話を戻ろう。


彼らの待つ船は希望の船である。


対馬に集められた14歳の子供達は皆、ディペンダー憑依の才能を持つ可能性がある。

それは遺伝的なものだとも言われているが、両親に才能があっても子供に才能がない場合もある。その逆も然り。


結局のところ、才能のあるなしを測るにはディペンダーに触れてみるしかないのだ。

対馬は唯一、日本国内でディペンダーの持ち込みが限定的ではあるが許可される土地だ。

ディペンダーを取り入れた人間も日本国に入ることは不可能である。

ただ、この双子の島だけは持つもの持たざるものどちらも存在が許された。


少年少女は14歳になるとここへ来る権利が手に入る。

そこで持つものになることができたならば、一獲千金のチャンスだ。

彼らはそのためにやってくる。


ケイとアイサはお互い同じ位置を目指した。

それは学園だ。


いや、学園という体裁をとった隔離施設だ。

ディペンダーを持つと3年間、建前上はここで学ぶことになる。

実際のところは、大陸で実地教育という名目の開拓を進めることになるのだが。



主人公は二人です。

次からはケイの話になります。

アリサの登場は多分もう少しあとになります。

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