表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

すべての事は 遥か時の彼方に・・後編(いにしえの黒の王・火竜王(サラマンデイア)編)

作者: ののみやゆい(またはののちゃ のの1号 高木真弓)

多重投稿 サイトにもあります・・また御話は 後編で 単発でも読めます

(と・・思います^^;)・・


前編は 「すべての事は 遥か時の彼方に・・

(前編 にやんこの大魔法使い お菓子祭りと竜の虫歯)」

小説家になろうサイトさま内 https://ncode.syosetu.com/n1426eu/


エイルは・・森の奥にある魔法使いの弟子のわん子の家で


例の魔法のオルゴールに触れてしまった・・時の魔法のオルゴール


エイルは時の彼方に飛ばされた


そこは にゃんこの王国・・猫耳としっぽがある人間達が住む国・・


お菓子祭りの真っ最中の街・・街の広場


竜が街の広場で 自分の虫歯の痛みをこらえつつ


ため息をついてる・・


「まだ かのう・・あの魔法使いと弟子の子達・・早く 治療してもらわんと・・


祭りが終わってしまうがのう・・」竜 半泣き・・


すると・・ 目の前に丸い白い光の塊が出現する 光は人間の形を取り


尻もちをついた 白い古代の服を着た金の髪の少女が現れる・・


街に出現した エイル・・エイルの傍に魔法のオルゴールが転がって落ちている


「いたた・・あ 魔法のオルゴール・・」


「ええと・・そうだ 持っておかないと・・」そう言って 


魔法のオルゴールを手持ちの子袋にしまうエイル


「・・そ・・そなた・・!」驚く竜


瞳はオッドアイ・・青と金に近い薄茶の瞳・・美少女・・


「あ こんにちは 竜さん・・あ 僕の言葉わかる?」明るいエイル


「は・・はい」竜


「あれ! どうしたの? 下顎が赤いよ あれ! その牙!

もしかして 虫歯?」エイル


うんうんと首を縦にふり 肯定する竜


「・・僕 もしかしたら 直してあげられるかも・・たまに暴走するけど」


「本当か! ぜひ頼む」喜ぶ竜


「・・ところで お嬢さん ・・まさかと思うが・・その古代の服・・


オッドアイの瞳 金の髪・・特徴的なその耳・・・白のエルトニア姫?」


恐る恐る聞いてみる 竜・・


「僕の事 知ってるの? そうだよ」にこりと笑うエイル


「・・・・・」沈黙して 硬直する竜・・


「じゃあ 魔法をかけるね」エイル


「・・大丈夫かな? 僕の魔法」とちょっと心配しながら魔法をかける


「水の魔法 癒しの水 水の女王アルテイシア姫の名を借り受け 


癒しの魔法 竜さんの歯を元通りにして!」


アルテイシアの力を借りて・・彼女に貰った魔法のちいさな宝石を手に握り


呪文で治すエイル


「流石 伝説の白のエルトニア様 有難うございます」


歯(牙)をキラ~ンとさせる竜 笑顔


「ああ それは アルのおかげだし・・僕の事知ってるの? 伝説って・」


首をかしげるエイル


「あ、いや それより そこの広場の水道 ココアが出ますよ


使い捨てのカップはここにありますから 傍にゴミ箱もあります」と竜


「お菓子も無料ですから お食べ下さい」


「うん! わかった有難う!」祭りの会場の方に駆け出す


竜も そっと後を追う・・


じろじろ 猫耳の人達に 見られながらも エイルはココアを飲む 


「美味しい」嬉しそうなエイル


「あの 無料で配られてる お菓子をどうぞ」


街の猫耳の人がエイルにおそるおそる 声をかける  


「あの貴方・・」何かを聞きかける街の猫耳の人


「あ、 僕・・旅の者です」エイル


「そ・・そうなんですか・・そうですよね・・」


「まさか あの伝説の あ いえ まさかね」

ぶつぶつと街の人達・・


そんなに辺かな 僕の姿・・伝説って? 皆 猫の耳に しっぽあるし・・


首をかしげるエイル 街のベンチに腰かける


ここどこかな? ここ


・・帰ったら・・きっと小一時間はアーシュに怒られるかも・・


ちょっと・・困った顔をするエイル 


ふう~とため息をつく


ここって 黒の言葉とほぼ同じ まあいいや お祭りやってるから 楽しもう


・・きっと アーシュ達が迎えに来ると思うし・・多分 怒られるけど・・


さっき魔法 アルテイシアの名前を借りて


それとアルテイシアにもらった魔法の石を使っちゃった・・


流石に上手くいった


有難うアル・・うふ



まあ もしもの時は使うように言われたし・・


御免ね アーシュ ワン子さん アルテイシア姫 早く迎えに来てね


多分 王宮にアルテイシア姫が来るはずだから 一緒に来ると思うし


待ってるよ・・


もう・・ちゃかり 他人にお任せのモードのエイル・・結構 最近は甘えん坊・・


「さてと・・」お菓子を食べ終え ベンチから 立ち上がるエイル


「僕・・じゃない・・私も踊りの輪に入れて♪うふ」エイル


「あ・・あの・・あの・・は はい どうぞ どうぞ」少々戸惑いつつ


皆はエイルを受け入れる


祭りを街の人達と一緒に 踊ったりして 楽しむエイル


「御上手ですね」 「有難う」エイル


ガラガラ!大きな音


向こう来る 暴走する馬車


「誰か止めてええ!」馬車の中の人と業者


ガラララ・・大きな音を立て 今度は 馬車の車輪が外れる


「あ 危ない!」エイル 


走っている馬車の前に  


丁度 小さな女の子が 向こうにいる親の元に行こうとしていた  


このままでは撥ねられそうになる!



後先を考えず 思わす 服の上の方を少し降ろして 背中の白の翼を出現させ


羽ばたき 女の子を抱き留めて 向こう側に飛んで移る 


抱きかかえたまま そして 風の魔法を慌てて唱える 


「風よ 風の精霊シルフール

その馬車を浮かせて ゆっくりと下に置いて!」エイルの呪文


魔法は上手くゆき 馬車は少し上に浮かび 


ゆっくりと・・動きを止めて 下に降りる


「はい これから気をつけてね・・」微笑むエイル 


涙を浮かべた子供を親に手渡す


「大丈夫ですよ」 親と子供に笑いかけるエイル


「あちゃ~」と竜は言う


エイルの様子ちらちらとを見ながら 祭りのお菓子を食べてた竜・・冷や汗たらたら・・焦る


「その白い羽 色違いのオッド・アイ・・色違いの瞳・・金の髪 変わった耳

まさか 本当の・・」


おそる恐る恐る猫耳の街の住人・・


騒ぎに集まってきた群衆の一人がエイルを指さす


「本物の 伝説の白のエルトニアさまだああ!」


「ええっ!」 大騒ぎになる


ええとお・・伝説って・・?エイル


困惑して どうしようか思い悩むと・・ 

今度は 子袋に入れていた魔法のオルゴールが突然光る 


すると 次にエイルの身体が発光して


姿が消える


消えた・・集まった大衆は 茫然とする


「ここ・・どこ・・?」


今度は 森の中に飛ばされた エイル


「なんだか 眠い・・」うとうとして 眠るエイル 眠り姫・・




話は‥少しさかのぼる・・・


舞台は変わって にやんこ達の時代から 遥かいにしえの時代・・


森の奥深くに住む 魔法使いで薬師のジェンとわん子さんと

小さなケンタウロスのレグルスが住む家・・


その家に金の髪 オッドアイの美少女が訪ねてきた・・


「こんにちは わん子さん」金髪の美少女エイルことエルトニア姫


「アーシュの薬 成長が止まらいように・・

ちゃんと大きくなるように ジェンさんが作った薬 取りに来たよ」


「ちょっと街に買い物があるから その前に 遊びにきちゃた」エイル


「こんにちはですワン!うふ!あれ アーシュさんは?ワン」わん子


「今日はアーシュは忙しいの・・」エイル


「本当は王宮の外に行くときは アーシュか 必ず付き人と一緒に・・って・・


言いつけられてるだけど・・


買い物 下着もあるし こっそり買いたい物もあるし」エイル


「ジェンは またお出かけ?」エイル


「今日も ジェン先生はお出かけワンですワン!


わん子とレグルスちゃんだけですワン!」とわん子


「そう・・今日は ナーリンもセルト将軍と出かけてて いなし」


「リアン兄様は 要件があって 白の国に2日間 戻ってるし・・」


「王宮にアルテイシア姫が来るはずだったけど

 

今日は夕方になるかもという話で・・」エイル


「一人で来ちゃった」ちょっこっと舌を出してウインクするエイル


「エイル様あああ~」


とことこと部屋の奥からやって来たのは


小さな銀の髪の幼い女の子のケンタウロス(半身半馬)レグルス


「ひさしぶりだね レグルス 元気してた?」


エイルはレグルスの頭をなでなでする


「うん!」レグルス


「ええと・・薬はそっちの箱の中ですですワン」わん子


「あ この箱」わん子


「あ 違います!隣の箱です」 


「その箱には・・いけない あれが・・!」


「あ!わん 

あけちゃだめええ! その箱には例の・・」慌てるわん子


「えっ?」パカッと箱を開けてしまう


「あの時の魔法のオルゴールだ・・」エイル


なんとはなし そっと触れてしまうエイル 


「あっ・・」 エイルの姿が光り その姿はフッと消える


エイルは 再び時空の彼方に飛ばされた・・



茫然とするわん子と小さなレグルス


「エイル様・・消えちゃったね・・」レグルス


「うん・・大変ワンワン!」わん子


「・・触らないように 箱に入れてたのに・・」


「薬箱と間違えて 開けちゃって 魔法のオルゴールに触れたワン


どうしよう・・そうだ まずアーシュさんに知らせるワン!」

 

わん子は 先生のジェンから もしもの時の為にもらった魔法の伝書鳩を飛ばした 


しばらく待った後・・ほどなく

アーシュとアルテイシア姫がやって来た



バタン!ノックもせずにドアを勢いよく開くアーシュ


その後に続いて アルテイシア姫が入ってくる


「わん子! 本当か またエイルが時空の彼方に飛ばされたのは!」


アーシュの目が吊り上がりわん子に向かって叫ぶ


相変わらずの・・怖い鬼瓦の目つき・・ちょっとビビるわん子



それにしても・・「は 早い!お二人とも そうですワン!」


「到着が随分と早いですワン!

 

あ そうか 飛竜さんに乗ってきたのですねワン」わん子


「え・・私達は羽・・」そう言いかけた 

アルテイシア姫の口に手をやり そっと見る


アーシュの瞳は 黙って・・と合図してる・・


今だ わん子はアーシュの正体を知らない・・



「・・ええ そう もう飛竜はかえしたけど・・」

慌てて嘘をつくアルテイシア


「わん子・・お前が送った魔法の伝書鳩の文に書いてあった・・



エイルがあの魔法のオルゴールに触れて 消えたのは本当か?」アーシュ


「そうです大変わん!」わん子


「たくうう!エイルの奴! いつもあれ程一人では出かけないように言ったのに・・」


「しかも・・あんな大変な目にあったのに 

 また あの魔法のオルゴールに触るなんて・・まったく!」アーシュ


「とにかく 早くエイルを捜さないと・・どうやって時空の扉を開けるか・・」

考え込むアーシュ



「アーシュさんワン・・」泣きそうなわん子


そっとアルテイシアは小声で アーシュに聞く


「・・もしかして・・わん子さんには 私達の事・・


アーシュ様がこの黒の国の王だという事は 秘密にしてますの?」


「・・そう」アーシュ小さな声で言う


「・・・時間の問題だとは 思いますよ・・わん子さん 黒の王宮に出入りしてるし・・」

アルテイシア


「・・まあな・・バレるまでは 内緒・・秘密・・あいつニブニブだし・・」


 半開きの目でアルテシアを見ながら言うアーシュ


「・・はい・・了解です アーシュ様」やれやれと思いつつ アルテイシア


「アーシュ様あ・・」小さなレグルスが声をかける


「・・ああ レグルスか・・元気だったか?」少し笑い レグルスの頭をなでる


「はい アーシュ様! アルテイシア姫様 おひさしぶりです」レグルス


「元気そうでよかったわ」今度はアルテイシアが レグルスの頭をなでなで・・


「・・さて・・どうしたものかな・・」考え込むアーシュ



すると・・何かの気配・・


「・・んっ! そこにいるのは誰だ!」


気配に気がつき 隣の部屋に隠れている人物に声をかけるアーシュ


サラリ・・銀色の髪が揺れる・・下半身は白い馬 上半身の腰から上あたりは女性の身体

銀色の金属で出来た胸の鎧を身につけている・・


・・美しきケンタウロス レグルス・・


彼女が隣の部屋から現れる・・


「やあ ひさしぶりだな アーシュ殿」 明るく笑うレグルス


「あ!レグルスさんだ!ワン お久しぶりですワン!」嬉しそうなわん子


「・・何故・・お前が・・?」アーシュ


「元気そうで 何よりだ アーシュ殿 わん子


ひさしぶりだな・・ふふ」軽く笑うレグルス


「今回は私が 時の案内人だよ・・


時空の彼方に飛ばされたエルトニア姫を捜すのだろう?」


「私が案内してやる」ふふ・・と笑うレグルス


「この方はどなたですの?」アルテイシア


「・・後で詳しく話すアル ひさしぶりだなレグルス」アーシュ


レグルスは言う「はじめまして アルテイシア姫・・ 


姫も今回の時間の旅に参加してエルトニア姫を捜すか?」


「時間の旅?よくわかないけど 当然ですわ!エイルを連れ戻します」アルテイシア


「ふむ 了解だ 行くぞ・・


と・・それからもし 暗黒の空間で はぐれても心配するな じっとしてるがいい


すぐに見つけ出して 迎えに来る」


「それから今回はエルトニア姫はバラバラには なってない 


開けずにオルゴールの外側に触れただけだから」レグルス



「レグルスも~一緒にエイル様を捜すう」小さなレグルスが言う


「ダメ・・お前はまだ小さい 


それに お前は あいにく時間の狭間には行けない


すでに本体の私が存在するから 砕け散る・・」レグルスは小さなレグルスに言う


「・・いい子にして お留守番たのむぞ」頭を撫でて 小さなレグルスに言う


「わかった お留守番する」小さなレグルス


「何の話だ?」怪訝な顔のアーシュ


「あとで話す 帰りも送ってやるから・・ほら急ぐぞ」レグルス 


すると 目の前に ぽかりと黒い暗黒の空間が開く


ごく つばを飲み込むアルテイシア


「・・い・・行きましょう・・」ちょっと震えて ついアーシュの服を握るわん子


「落ち着け 大丈夫だ・・」わん子に珍しく優しそうな顔をするアーシュ


「大丈夫 私がいるから 繰り返すが はぐれても 心配しないで 

そこにじっとしてろよ・・


必ず すぐに迎えに来るから」レグルス


四人は 時の扉・・時空の扉の中に入った・・


ぐらりと揺れる 足元がよろけて 足元に手をつくアーシュ

立ち上がり 振り返ると レグルス一人しかいない・・


レグルスは腕を組んで じっとアーシュを見ている


「二人は どこだ? はぐれたのか レグルス?」アーシュ


「実はわざと わん子と姫は 別の場所の・・暗黒の時の狭間においてきた・・


もちろん 後ですぐに迎えにいく」


「すぐ 終わる・・ちょっとした話がある 火竜王」


「・・なんだ?」アーシュ


「私とあの小さなレグルスの事だ・・」レグルスは話し出す・・


こちらは 別の場所・・暗黒の空間・・


「はぐれてしまったわね・・わん子さん」アルテイシア


「はいですワン! レグルスさんは 

はぐれてもすぐに迎えに来ると言いましたワンワン!」わん子


「そうね・・あ・・来たわ」アルテイシア


「待たせたな・・ 姫・・ わん子」レグルス


「大丈夫か?」アーシュ


「はい」 「はいですワン!」


「行くぞ こっちだ・・」レグルスが暗黒の空間を歩き出す


その後を三人はついて行く・・



ぴいーチチチ・・小鳥のさえずり


いつの間にか 四人は 森の中にいた・・


「・・ここは?」アルテイシア


「・・ここは 別の時代の・・ある山の中だ・・姫」レグルス


「私は ここで そなた達を待つ・・半日で一旦 この時空の扉は閉まる


夕方・・黄昏の時間だ・・まあ 遅れて閉じても 


今回は 私がいるから 1日待てば また 朝に開けてやろう・・」


「だが・・元の世界の時間から 2,3日遅れて 到着するやも知れない・・


たいしたズレでは ないが・・リアン殿が心配するだろうな・・」レグルス


「・・わかった・・なるべく 夕方には戻るレグルス・・」アーシュ


「・・それとこれを」ポンとアーシュに小さな袋を渡す 中には沢山の硬貨や横に長い紙が入っている


「この世界の金だ・・もし街に行く事があったら 土産に果実酒でも頼む」


「・・相変わらず 呑みすけだな お前・・」半開きの目でアーシュ


にやり~んと笑いレグルス


「まあ そういうな・・エルトニア姫の救出に


手を貸したんだから 文句は なし・・だアーシュ殿」


「それぐらい かまわんだろう・・」レグルス


「・・街に行くとは限らんぞ・・」アーシュ


「その時には ちょおおおと・・残念だが あきらめる・・」

ちょお~と すねた顔をするレグルス


「わかった じゃあ 後で帰りは 頼むレグルス」アーシュ 


「ではまた有難うございます レグルス殿」アルテイシア


「行ってきますワン」わん子


「気をつけてな」レグルス


レグルスは一人 その場所で三人を見送る・・



「・・今回は案外 楽しい旅には なるが・・


アーシュ殿には 少々 残酷かもしれぬな・・知らなくていい事を知ってしまう」

ふう・・とため息をつくレグルス



「アルとわん子はあっち」 「俺はこっちの道を捜す」アーシュ


「合流場所は ここ・・一旦 一時間後 この大樹の下だ・・」


「わかりましたワン」わん子 


「了解 アーシュ様 行くわよ わん子さん」アルテイシア


「はいですワン!」わん子


道すがら・・突然 現れる 

巨大きのこに 巨大たけのこ・・とかの怪物達の数々


「うおおお~く・・」食う!と言いかけた巨大きのこを 振りかえて見る事もなく・・


「・・炎」ぽつり一言 やる気が感じられない・・アーシュ  


しゅぼおおお!燃え上がる


「うきゅう ぎゃああ!」逃げ去る巨大きのこ 撃退・・



「人間! 食う く・・」(食う)と言いかけた次なるは 巨大たけのこ


またしても アーシュは 正面を向き 見向きもせずに 

顔色一つ変えずに 呪文を一言


「・・・大地の槍」ぽつり 


大地から盛り上がった土が槍の形になり 巨大たけのこの足元から


大地の槍が巨大たけのこを突き貫く! 


「うぎゃああ!」ガク 巨大たけのこ 敗れる・・


「・・・」沈黙して すたしたと 歩みを止めずに すたすたと・・


まだまだ次々と現れるが・・


こんな調子で・・


アーシュは 簡単に 顔色一つ変えずに 瞬殺で 

立ち止まる事なく 見ようともせずに


魔法の呪文で次々と撃破!


・・しばらく後に 立ち止まり やっと口を開く


「たく・・変な怪物がいるな・・


わん子は今回アルといるから 大丈夫と思うが・・」アーシュ


更に しばらく行くと 

「んっ! なんだ 焦げ臭いな それに・・何か騒がしい 声が聞こえる・・」


「あっちの河原か?」


その河原・・アシャアシャが放った大魔法が暴走して 大火に包まれ 


あたふたしている四人の猫耳の人間がいる・・ 


一人は 大人・・二人は少年と一人は小さな女の子・・


「・・行くか・・」アーシュは呟く



・・・・こちらは 巨大きのこと巨大きのこの大群にに追い詰められて


アシャアシャが炎の大魔法を放った・・その炎の魔法の大暴走で 大ピンチのリア達


「もうダメえええ!」ナジュナジュが悲鳴をあげる


「うわああ!」リア


水の大魔法を何度も唱えるアリステア先生


しかし まったく効果なし・・


原因は・・アシャアシャが放った 大魔法 


もう一人の火竜王の名をつけた大魔法のせい・・


必ず・・言わなくてはいけない 


薄幸の美少女であったテインタルには 


彼女に対する同情と美貌を称える言葉を添える事を

しなかったのだ・・


やはり これは闇の火竜王サラマンデイアテインタル王女のお怒りか・・?


アシャアシャが放った大魔法の暴走は止らない!


「ここ 河原だから まだ木々が少ないけど すぐ燃え移ちゃう!

どうしよう」リア


「その前に焼け死んじゃう!」ナジュナジュ


相変わらず 事態が分からずに


きよとんとしているアシャアシャ


「水!水の女王アルテイシアよ その力を持ちて 炎を沈めろ!」


水の大きな塊次々と宙に浮かび 炎にぶつかる・・が 炎の勢いは止まない


まったく 効果なし


「私の魔法も全く 通じないとは・・」


いつもはポーカーフェースで落ち着いたアリシテア先生だが

珍しく慌てた顔をする


リア達を廻りを取り囲む 炎は勢いをます


「もうダメえええ!」とナジュナジュ ぽけ~とするアシャアシャ


「うわああ~」リアの悲鳴


「・・・炎・・火竜王サラマンデイアの名において 命じる 消えろ」

どこからか 声が響く


すると 突然 幻のように リア達を取り囲んでいた炎が消えた・・



すたすたと声の主がリア達の元に降りて来る・・



声の主 フードを頭から被った黒髪の少年 瞳は不思議な 焔の瞳


「!」その顔を見て驚くアリステア先生 だが すぐに元の顔に戻る



「・・あ、有難うございます」ほぼ同時に喋るリアとナジュナジュ


「・・助かりました 有難うございます」アリステア先生


肩をすくめて 黒髪の少年は言う



「・・旅の者だが 言葉は 黒の国とほぼ同じだな わかる・・」


「そこの・・小さな女の子・・凄い魔力の持ち主だな・・


将来が 楽しみだな・・まあ また魔法を暴走しないように 特に気をつけないと」


えへ・・と笑うアシャアシャ


そのアシャアシャの頭を優しくなでる


フードの下の服が見える・・それは古代の服・・

 

「たいした事はしてない・・

それより変わった少女を見なかったか? 白の国の人間で金の髪でオッドアイの少女だ」


「!えっ! 白の国って?」リア


「ああ・・知らないのか?」アーシュ


「だって白の国は・・」さっとリアの口を塞ぐ アリステア先生


「・・ここは 貴方様の時代より 遥か彼方の未来の時代です


いにしえの伝説の黒の王・・火竜王サラマンデイア様・・」


「申し遅れました・・私の名はアリシテア 貴方様から見れば

魔法使いのはしくれです・・「


「こちらは私の弟子リア」 


「それとリアの友達のナジュナジュ と妹のアシャアシャ」


「・・・そうか・・ここは遥か未来か・・


俺達の事は 伝説として伝わってるのか・・」フードを脱ぐアーシュラン


長い耳 吊り上がった赤い焔の瞳・・


驚き 口も聞けないリアとナジュナジュ・・


随分と・・遠い時代・・未来に来たんだな・・


アーシュが回想する・・ 


瞳を閉じて ここにたどりついた 経緯の出来事を思い出す



アーシュは ここが遥か未来の時代と聞き 彼らに問う


「・・1つ聞く・・俺達の国は?」


「・・すでに失われました・・人々も・・時折


黒と白の国があったとされる地には 


白や黒の翼に長い耳や変わった形の耳を持つ者や両性体の人間が生まれます・・」

アリステア先生


「・・そうか・・それは少し残念だな・・」


「この事は・・」


「ふっ・・歴史に干渉する気はない 心配するな」アーシュラン


「・・で エイル・・白のエルトニア・・ オッド・アイの少女は・・?」アーシュ


「いえ・・見かけませんでした」


「そうか・・じゃあ 俺達は 彼女を見つけ次第

ここから 時の扉で 立ち去る」アーシュ


「あ・・・待ってください これを助けてくれたお礼です」ナジュナジュが差し出す


本当はアリステア先生の分・・ナジュナジュは心の中で思う 先生には謝ろう・・

でも きっと許してくれるよね・・


「ん・・キッシュにテインベリーの果実か」アーシュ


キッシュを一口食べるアーシュ

「上手い 料理上手だな・・しかし もっときのこは多い方が味がでる」



「え・・料理・・」


「これでも 料理上手だぞ 俺は・・


何せ 王宮のコックに乞われて 料理を教えた事もあるし


俺の専用のキッチンもある」アーシュ


「その事も 伝わってますよ・・貴方様のオリジナルの料理のレシピも


まあ・・歴史に詳しい者以外は あまり知りませんが・・」アリステア


「そうか・・」目元をほころばせるアーシュ


「このキッシュの中見の 白いのは・・?見た事ない 食材だ


「マッシュルームというキノコの一種です 黒の王さま」ナジュナジュ


「ふう~ん」アーシュ



「・・それから これを・・私からのお礼です」アリステア


「これは?」差し出されたのは小さなマスコット 犬の人形


「探しの物をする魔法の犬の人形です」


「何か エルトニア姫の物はお持ちですか?」


「丁度 エイルのハンカチがある」


「お借りします 捜しものだよ わんこ」

犬の人形に ハンカチを近ずける


「わんっわん」犬の姿に変身して こっちと右側を向き そちらに向かう


「探し物を見つけたら すぐ元の人形に戻ります」アリステア


「そうか すまん 助かった有難う」アーシュ


「いえ とんでもない こちらこそ・・お会い出来て光栄でした

伝説の偉大な王」アリステア


肩をすくめて くすぐったそうに笑うアーシュ


「テインベリーの果実はエイルとアルの好物だ 喜ぶよ」


「えっ・・アルって 水の女王アルテイア姫!」


「ここに来て 一緒に捜してるよ・・アルの事も伝わっているのか・・そうか・・」


「じゃあな」後ろを向き 軽く手をふって立ち去るアーシュラン


「お気をつけて!」「気をつけてねええ」大きく手をふるリアとナジュナジュとアシャアシャ 


「すごい人だったね・・でも子供の姿だったけど・・」ナジュナジュ


「何でも 一説には 一時 魔法薬か何かの魔法で子供の姿になって


身代わりや 変身の魔法玉で 正体を隠し続けて・・数年後 元の姿に成長したという

話がある・・本当だったのだな・・」リア


「さあ 我々は 巨大カモミールの花びらで 虫歯になった竜を治してやらないと・・行くぞ」


「・・それから 今度の美術展・・伝説の王達の肖像画展 私が連れて行ってやろう」アリステア


「ええ!いいですか」 「やった」 「わあ~い」喜ぶ リア ナジュナジュ アシャアシャの三人



そして・・こちらは 伝説となってしまったアーシュ達


「本当にこっちですかワン!」アーシュにアルテイシア わん子の三人は合流して


魔法の犬に案内されて エイルを捜して山道の森の奥に進む わん子とアーシュとアルテイシア・・


こっそり アーシュの耳元で そっと聞くアルテイア姫


「・・本当なんですか? ここが遥か未来の時代で 私達の国や人々がいなくなり

私達が伝説になってるって・・」


「・・なんで知ってる」


「実は 丁度 あの時 偶然 ちょっとだけ わん子さんはいなかったのですが・・


私 あの河原の傍にいて 

アーシュ様とあのネコの耳をした者達との会話を立ち聞きしてましたわ」


「・・そうか・・」


「そうか・・ってアーシュ様!」


「こら わん子に聞こえる・・静かに・・」


「・・・」黙りこむアルテイア姫


「・・歴史は変えられない・・仕方ない・・


あのケンタウロスの一族も滅び・・・生き残りは僅か・・もうすぐいなくなる


それと・・時折・・血を受け継いだ者達には 俺達の特徴が出るそうだ・・


まあ・・気にするな・・


テインベリーの果実やキッシュをあの黒耳の猫の女の子からもらったぞ」


「えっ! 女の子って」


「まあ あれは 正確には 両生体」上を見上げて言うアーシュ


「そうですか なかなか愛らしい子でしたね」アルテイシア


「・・そうだな このキッシュもうまかったし・・まだ沢山ある

帰ったら 皆で食べるよう・・」アーシュ


「はい アーシュ様 うふ」アルテイシア


わんわんわん!魔法の犬が吠える


「見つけたか!」アーシュ


「いましたワン!」


森の奥深い木陰で 眠っていたエイル 眠り姫


手には あのケンタウロスの魔法のオルゴール


エイルに近ずき そっと顔に触れる・・アーシュ


どうやら・・疲れて眠っているようだった


パチっと目を覚ますエイル

「ああ・・アーシュ それにわん子さん あ アルテイア姫」嬉しそうなエイル


「まったく・・あれほど あの魔法のオルゴールには触るなって言ったよな・・


前回も 時空を超えてあの銀色の髪のケンタウロス レグルス達との大騒動

・・忘れたわけじゃないよな・・」


ジト目で睨む アーシュ


「・・ごめんなさい・・心配かけたね 皆・・」エイル


「仕方のない子・・ まあ、いいわ 帰りましょう」アルは笑って言う


「あ、僕ね 最初 ここの街に着いたの・・


そしたら お菓子祭りってのが やってて・・公園の水道の口からココアが飲めたよ」



「・・まさかとは 思うが・・何か騒動を起こしたりは・・」


少し冷汗をかきながらアーシュは問う


「・・僕の姿を見て 伝説のエルトニア姫だとかなんとか・・騒いでたよ・・


それから お菓子も沢山もらったよ♪ 後で皆で食べようね!


お菓子をもらって 一緒に祭りの踊りの輪に加わって・・すぐ ちょっとした事があって


その後すぐに 魔法のオルゴールが光ってここに来たんだけど・・なんか眠くなって・・」


頭をかかえるアーシュ 目を見開いたまま 天を見上げるアルテイシア姫


「わん?」わん子 「どうしたの二人とも・・?」きょとんとするエイル



「・・・時の扉はレグルスがいて心配ないが・・


変身の魔法玉もある事だし・・いっそ 街のそのお菓子祭りを楽しみに行くか・・」アーシュ


「まだ約束の時間には早いし・・果実酒が土産に欲しいとレグルスも言っていたから・・」


「戻る時間に余裕を持たせても 2時間ぐらい楽しめるぞ」アーシュ



「・・アーシュラン様」泣きそうなアルテイア姫



「行きましょうワン」わん子 「行こうよアル アーシュ」嬉しそうなエイルとわん子


「決まりだな 行くぞ!」居直ったアーシュは笑う



で・・こちらは祭りの最中の街の広場・・リアやナジュナジュ達・・


「えっ!伝説の白のエルトニアが現れた・・て」


街は祭りの騒ぎに加えて その事で大騒動だった・・


「ああ・・ここに来ちゃったんだ伝説のお姫様・・」


青くなるアリステア先生


「ワシの歯も 伝説の姫様の魔法で 一発で治った・・


せっかく 山まで薬草の材料を取りに行ってもらったのに すまないな」と元、虫歯の竜


「・・伝説の姫様は 心配そうに 私の魔法は時々失敗するから・・と心配そうじゃったが

上手くいった」竜は言う


「まあ 治ってよかったですね」ナジュナジュ


「・・本当です」力なく笑うリア


「うんうん」とよくわからないけど 納得するアシャアシャ


「・・ちょっと・・伝説のお姫さまにも 水の女王アルテイア姫にも会いたかったな」

ぽそっとつぶやくリア


頭をかかえたままのアリステア先生・・


「・・竜の虫歯も治った事だし 皆で祭りを楽しむか・・」

やれやれという表情のアリステア


「ドーナッツの輪くぐり まだやっておるかの?」


「やってましたよ」リア


「じゃあ ワシは 行ってくるぞ 有難うな みんな」ふわりと翼を広げて 飛び立つ竜


「僕らも行きましょう アリステア先生 ナジュナジュ アシャアシャ」笑ってリア


無料で配られてるお菓子をほおばり ココアを飲み


今度は踊りの輪に加わる


「あはは 上手だよリア」 「ナジュナジュもね」「きゃきゃ」アシャアシャ


「・・楽しそうだな・・」ドーナッツを食べつつ いつの間にか 踊りの輪に加わてる

伝説の王様こと アーシュラン


「!!」「・・か、帰ったじゃないんですか!」


「また会ったな・・リア」


「エイルの正体もバレた事だし せっかくなら 皆で祭りを楽しんで帰る事にした

変身の魔法玉の力を借りてな」


耳だけはしっかり 黒の猫の耳になっているアーシュ

 

どこで調達したのか 服装も変わって この街の人達と変わらない


「アーシュ この子達 知り合い?」


アーシュが一緒に踊ってる相手 


嬉しそうに笑う 

白ねこ耳のオッドアイの瞳に金のウエーブのかかった長い髪の可愛らしい美少女・・


「‥伝説のエルトニア様・・?」リア


「?伝説って・・?」微笑を浮かべ首をかしげるエイル


「・・後で 詳しく話す・・お仕置きもな・・」ちらんとエイルを見るアーシュ


「え・・うそ・・」冷や汗をかくエイル


「伝説といえば・・そこにいるのが 水の女王アルテイシア」と左手で指をさす


そこには 長い黒髪黒耳の美少女いや美人・・アルテイア姫と・・フードを被った子が

嬉しそうに お菓子をぱくぱくと食べている


「・・フードの方はわん子 魔法使いの弟子だ・・知ってるか?」アーシュ


「はい・・魔法使いと弟子のわん子さんの方も伝わってますよ・・あまり知られてはませんが・・」


「・・わん子の方は何故か魔法がきかなかった・・だからフードを被っている」


「・・あの一説なんですけど・・薬師で魔法使いのジェンという方に

魔法か魔法薬で 子供の姿になったって・・」


「・・よく伝わってるな・・魔法薬で 子供の姿に変え ついでに俺の記憶も吹っ飛ばした」


「え・・記憶もですか・・」リア


「あ・・そこは伝わってないのか」上手に踊りながら 話すアーシュ


「ま・・あんまり 聞くな 俺も未来の事が知りたくなる・・

ちょっとアンフェアだ・・」アーシュ


「? 未来?」エイル


「・・エイルは黙ってる・・おしおき・・怖いぞ・・」軽くジト目になって睨むアーシュ


「・・はい」ちょっとすねるエイル


「まあまあ・・この後 僕らの家で食事でもどうですか?」リア


「僕が作る事になってるです 頑張りますよ


美味しいキノコもありますし」ナジュナジュ


ちなみに キノコとは 

リアが魔法(アーシュの名前のついた呪文)で倒した巨大きのこ・・ 


「・・いや そろそろ タイムリミットだ・・変身の魔法も時空の扉も・・

消えてしまう 残念だな・・」アーシュ


踊りながら アーシュとリアの肩が触れる 「あ・・すまん・・」といいかけて


アーシュの瞳が金色に変わる 一瞬にして リアの過去の姿を視るアーシュ


過去見の力が突然 発動した


瞳を見開く 見開いたまま しばらく茫然として 動きを止めるアーシュ 


アーシュの瞳が金色の変り 動きを立ち止まったアーシュの様子に心配そうなエイル


「もしや・・その金色の瞳 過去見の力ですね アーシュラン様・・僕の心を


・・まさか未来を・・」硬い表情のリア


「・・いや 視えたのは 一瞬だけだ そこまではわからない・・」アーシュ


「そうですか・・」ほっとするリア


アーシュの瞳も元の焔の瞳に変わる


「・・・もしもし?」 待っ青になり 指を指して立ち尽くすアリステア先生


「ああ さっきの・魔法使いか・・助かった エイルはすぐに見つかった有難う・・」

事もなげにアーシュ


「・・あ・・有難うって そんな場合では・・」アリステア先生


「アーシュラン様 そろそろ帰らなくては・・」アルテイシア


「そうですワン」わん子


お土産のお菓子と・・レグルスに頼まれた果実酒の土産などを


沢山抱えてアルテシア姫とフードを被ったわんこがやって来た


「はじめまして・・そちらがリア君にナジュナジュ君ね


それに魔法使いのアリステアさん


わたしがアルテイシア・・会ったばかりだけど・・急ぐから」

ウインクする黒猫耳のアルテイシア


「すいません ワン!」フードを被ったわん子


「・・そうだな・・じゃあ これで・・また いつか・・


ま・・本か・・絵でも会ってくれ・・」ひらひらと手を振るアーシュ


「それじゃあ」エイル


「お気をつけて」四人を見送る リア達・・


「・・また会えたらいいね 」リア「そうだね」ナジュナジュ


「・・・」沈黙するアリステア 


「うん!」アシャアシャ



その後の伝説の王達の肖像画の展示会・・


人々が噂をしている なんでも伝説の王達が街に出現したって・・


「まあそううち噂も消えるだろう 気にしない気にしない ははは」苦笑いのリア


青くなるアリステア先生


「おお アリステア先生」と声をかけてきた中年の男


「こんにちは ステラ教授・・リア ナジュナジュ

アシャアシャ 


この御方は この肖像画展の企画者で 長年


伝説の白と黒の国の歴史を研究されてる教授だ」


「はじめまして こんにちは」


「はじまして こんにちは 教授」


「はじまましってええ 」それぞれに三人


「おお こんにちは リア君にナジュナジュ君 


それに アシャアシャちゃんだね 話は聞いているよ・」グレーの猫耳の

にこにこ顔の優しそうなステラ教授


「ところで・・聞いたかね あの噂・・お菓子祭りに


伝説の黒の王 火竜王サラマンデイアと白のエルトニア姫が現れたとか・・


それに 猫耳をして 我々に化けたアルテイシア姫に フードを被った二本足で立つ犬・・」


「・・いや あの噂なら・・」きっとデマで そのうち消えるでしょう・・


と言いかけたアリステア先生だったが


「いや その噂は真実だ 間違いない! 実は最近 発見された 黒の王アーシュランと


水の女王アルテイシア姫・・それに白と黒の国の2つの国の片腕の王リアンの日記に 記載されていたんだ!」


「・・・・」歴史に干渉しないと・・言ったのに・・あの黒の王様は・・



それに 何故に・・何故・・水の女王アルテイシア姫と


白のリアン様の日記まで 記載されてるんだ!


「・・一つ 残念なのは 接触した 我々の人物たちが分からない事だ・・


一人が料理上手で・・キッシュとテインベリーの果実を渡したのは 

黒の王の日記に記載されてるだが・・


何としても探し出すぞ・・ハハハ」力こぶしのステラ教授


「言葉は元々 この国は黒の国の言語を継いだ物だから 通じ合ったらしいですよ ふふふ・・」

本当に嬉しそうなステラ教授


「・・・・」何も言えず 青くなるアリステア先生


互いに顔を見合わせ・・苦笑いになる ナジュナジュとリア・・


まあ・・私達の事は 伝わってないなら・・それで・・と思いかけたアリステア先生に


突然 とどめの一撃の一言


「あ 黒の王様のお兄ちゃんなら アシャアシャの頭なでなでしてくれたよ~うふ


アシャアシャの魔法がしゅごいね(すごい)って 褒めてくれたああ


はんちゃむ(ハンサム)でかっこよかった!」」

嬉しそうに言うアシャアシャ


「な・・なんと・・!」唖然として びっくりするステラ教授


「・・・うんん~と まだ12,13歳 もしかしらもっと上かも・・かなああ 

それぐらいの子だったよ」アシャアシャ


「あ あの絵 あの子そっくりだおう! でも もう少し上!」と

黒の王アーシュランの子供時代の絵を指さす アシャアシャ


「魔法で 子供の姿になった話は 一説ではあるが・・」ステラ教授


青くなり 固まったままのアリステア先生・・


互いの手を握り締めて これまた凍りつく

リアとナジュナジュ


ここで ゆっくり ゆうう~くりと アリステア先生の方に向く ステラ教授


その笑顔は まさに 獲物を目の前にした獣のよう・・目はギラギラと光っている


「・・じっくり・・たっぷり たあっぷりと 御話は聞かせて頂きましょうか?


先生・・それに 確か 料理上手だと言う話を聞いたよ ナジュナジュ君 ふふふふふ」


「・・・・はい・・その前に 展示会を鑑賞したのですが・・」


何とはなしに後ずさりながら言うアリステア先生・・


にこりと満面の笑顔で 逃がすまいとするかのようにアリステアの腕をがっしりと組み

歩き出すステラ教授


「詳しい解説もしますよ・・ふふふふ」ステラ教授


「あ・・あ・・有難うございます 教授」心中 少々 怯えながらアリステアは答える


「さあ 君たちも・・お菓子も一緒に食べようね アシャアシャちゃん」


「うわ~有難うごじゃいます」嬉しそうなアシャアシャ


「・・行こうか・・ナジュナジュ」苦笑いをしつつリア・・


「・・そうだね・・後が何か怖いけど・・・」引きつるナジュナジュ


「・・ふふっふ・・我々の名は歴史に残りますよ!おめでとう諸君」ステラ教授


でも・・そんな事しなくても・・

将来の暗黒の女王さま・・こと大魔法使いアシャアシャがいる


その関係者たちとして 確実に・・


きっかり しっかり がっちり歴史には名前を遺す運命・・



・・・そして・・


くしゅん 黒の王宮のバルコニー・・軽くくしゃみをするアーシュ


「あら お風邪? 大丈夫ですか?」アルテイシア姫


「・・いや なんでもない 大丈夫だ」アーシュ


二人で椅子に腰かけて お茶を飲みながら 話をしている・・


「エイルは今日はいないのですか?」アルテイシア


「ああ・・要件があって ナーリンと


また 森に住む魔法使いで薬師のジェンとわん子の所に行った


一応・・セルトも付いていったが・・


俺は 俺の身代わりでは 対応が難しい 黒の貴族との謁見が一時間後にあって


例の変身の魔法玉を使って 会う予定だよ」


「ところで・・今日はどうしたんだアル? なんか元気ないが・・」アーシュ


「あの・・アーシュ様・・先日の件ですが・・


バレましたわよ・・白の武官リアン殿に・・」困り顔でアルテイシア姫は言う


「・・・えっ・・」目を見開くアーシュ


「‥何故・・」アーシュ


「それは・・」とアルテイシアが言いかけて・・そこに


「それなら 私から御話しましょう 黒の王 火竜王サラマンデイア様」

にっこりと笑うリアン


「・・リアン・・」アーシュ


「失礼・・ドアが開いていたもので 勝手に入りました 御話も聞こえてきましたし」


「ごきげんよう アルテイシア姫」にこやかに爽やかに微笑むリアン


「ごきげんよう リアン殿・・」少々引きつり微笑むアルテイシア姫


「頂きましたお菓子・・何処かの街で買われたものと言われてアルテイシア姫に

頂いたのですが・・このキャンデイ


それは白の国のある地方の有名な菓子職人が発明したばかりの物と同じ物で

まだ 試作段階で 出回ってないのですよ・・


その地方を治める白の貴族は 同じ武官で仲がよくて わざわざ先日 私に送ってくれたんです」

にっこりと笑うリアン


「・・・」左腕の肘をテーブルにつき 下を向いた顔を左手で思わず押さえるアーシュ

顔は引きついている・・


「・・・・」何も言えずに沈黙するアルテイシア姫


「・・で 問い詰められて・・白状したのかアル?」アーシュ


「・・・はい」アルテイシア


「確かに伺いましたよ 全てね」リアン


「そうそう・・聞いた話なのですが


リュース公の領地の近くの地で 猫耳としっぽがついた種族が暮らしているそうです・・


手先が器用で 滑車や蒸気を使った発明品で 暮らしを向上させてるという話です


平均寿命は ほぼ人間と同じ


魔法は 使えないのですが・・リュース公の領地の者達の一部が そこに住み着いたとか・・」


「おそらく その者達とも深く交わり 魔法が使える子孫が出るでしょうね・・


いえ・・出てたそうですね・・遥か先の時代・・


そして・・未来 私達の国や人々はいなくなる・・消える・・


残念な事です・・」リアン


「伝説だけは 残る・・


多くの書物に肖像画・・子孫に白と黒の国の人間の特徴も・・


それに魔法の技・・


魔法の呪文の詠唱に 俺達の名が使われてるそうだ・・リアン お前もな・・」

ため息をつくアーシュ


「私の国・・白の国にいた最後のケンタウロス族の者が病で死にました・・


もう残ってるのは あの銀の髪の美しいレグルスが残した 幼い娘のレグルスだけです」

少し 切なそうに言うリアン


「あのレグルスは成長しない・・」アーシュ


「えっ・・」リアン


「あの小さなレグルスは・・娘じゃない 分身だ・・


エイルを追って 時空の闇の時間に飛び込んだ時


時空に彷徨う レグルスに会った 


彼女は未来と過去の時間を行ったり来たりしている


・・彼女がそう言った 彼女は全ての過去と未来の出来事を知っている


あのままの姿で 誰よりも長く生きて 寿命が尽きるまで・・


そして・・死んだその日に 時空を彷徨うレグルスの魂も 安息の時間を迎える・・」


「未来は変わらない


生きている・・許されてる幸せな安楽の時間を楽しめと・・彼女は俺を諭すように言った」


「エイルとわん子には 全ての事は秘密にしますわ・・他の方々にも・・」アルテイシア姫


「そうですね・・この事は我々の胸の中だけに・・」リアン


「そうだな・・しかし・・日記には 書いていいぞ リアン殿 アル

俺も書いておく・・」


「ええっ!でも・・」アルテイシア


「どうせ エイルが遥か未来の街の祭りで正体がバレて大騒ぎしたんだ 今さらだ・・」


「はあ・・そうでうね・・」今度はアルテイシアがため息をつく


「・・それもいいですね・・私も今度はお供して時空の彼方に行ってみたいものです」

リアンは微笑む


「まあ 機会があったら 誘ってやるよ」笑うアーシュ


「アーシュランさま?」アルテイシア


アーシュの瞳が金色に変わっている 表情も硬く冷たい・・


もしかして・・まさか・・他にも・・アルテイシアは思い 問いかけようとした時に


「アーシュ リアン兄様! アルテイア姫も来てるって聞いたよ


お土産 王都に寄って買ってきたよ 一緒に食べようね!」エイルの声


「戻りました アーシュ様 皆さま」今度はナーリン


「お泊りに来ましたワン!」こちらはわん子


「レグルスも来たよ♪」小さなケンタウロスの少女レグルス


「おや 我らの姫のお帰りですね」リアン


「ああ・・」笑うアーシュ


「うふふ」こちらも笑うアルテイシア



・・・そして話は戻って・・

再び 未来 にゃんこの王国・・展示会


・・多分 あの白のエルトニア姫が 街の祭りに現れてた事を知った時点で


もういいか・・と思って 日記にアルテシア姫も黒の王・火竜王サラマンデイア

アーシュラン様も 記載されたんだろう・・


それに居直って 祭りにまで 来ていたから・・


だが・・しかし・・何故 最後の白の宗主 白と黒の国の王 片腕の王リアン様の日記にまで・・?


口元をずっと引きつらせつつ アリステアは思う


偶然・・その答えをステラ教授が口にする


「いや 驚きましたよ あの日記を発見して 読んだ時は・・ 


何故 二番目の時間旅行に加わってなかった


最後の白の宗主リアンの日記に記載されてるのか・・」ステラ教授


「なんでも このキャンデイ 白の国で料理職人が初めて作った試作品で


それを偶然 手にいれたリアンが アルテイア姫に土産だと手渡されて 気がついたのが

きっかけで 問い詰めたとか・・」手にしたキャンデイを見せるステラ教授


・・成程・・それで・・


「あ 三人が描かれてる絵だ・・」とリア


小さな絵・・大人の姿の黒の王に ソフアに座っている

二人の姫・・エルトニアとアルテイシア・・


「その絵は 雪深い地・・不毛で今は誰も住んでいた地で発見されたんだよリア君」


「そこは 以前 白と黒の国の宿敵で 巨人族が暮らしていた地だ・・


多分 巨人族の王によって 闇に落ちたもう一人の火竜王サラマンデイア

テインタル王女の持ち物だっただろう・・」


「有名な あの巨大な巨人の骨で作られた 異形の城の遺跡で見つかったんだよ」ステラ教授


「ほら こっちの大きな家族の肖像画・・


この幼い少女がテインタル王女・・」ステラ教授


テインタル王女の瞳は あのアーシュランと同じ 不思議な焔の色・・


「うわあ 本当に綺麗で可愛い 黒の王妃もすごく麗しい 二人よく似てる」ナジュナジュ


「もう一人の火竜王サラマンデイアの名の通り・・焔色の瞳だね・・」リア


「あ・・でも アーシュラン様いないね・・」ナジュナジュ



「この頃 アーシュラン様は 人族の側室の子としてないがしろにされていたんだ


まだ子供だった時に 白の国に人質に出されたんだ・・」アリステア


「その時に白のエルトニア姫と出会い 恋をした・・」


巨人族によって 黒の国は滅ぼされて 黒の王族は 幼い王女テインタルと


国にいなかったアーシュラン以外は皆 殺された・・」


「予知能力のある アーシュランの父王は それを知っていたが 避けられない運命だったと・・


アルテイア姫の父親 リュース公の日記には書いてある・・」アリステア


「そのリュース公って 娘のアルテイシア姫と一緒に巨人族と戦って

黒の国を取り戻した一人だよね・・」リア


「そうそう・・魔法学校で 習ったねリア君」ステラ教授


「はい」リア


「こっちが アルテイシア姫とその父親リュース公の肖像画だよ」ステラ教授


「あ 金髪だ!黒の国の人間と同じで 耳は長いけど 羽は白い・・結構な美男子・・」

ナジュナジュ


「母親は白の王族だそうだ・・名前はわからないが・・」アリステア


「こっちは黒の王に仕えたセルト将軍とその妻のナーリン」ステラ教授


「妻は若い人間の女性 耳の形が 普通の人間・・


セルト将軍は 今はいない竜人だ・・魔法は使えないが・・怪力だったそうだ」


竜の顔と鱗に覆われた大男・・


「これも巨人族の城の遺跡と黒の国の王都の遺跡で見つかった あの伝説の魔法画だよ」


二枚の魔法画 赤い子竜と四枚の白い翼のオッドアイの白鳥の絵


「赤い子竜は まだ幼い黒の王子アーシュランをモデルにしたもの

もう一つのモデルは エイルの叔母にあたるエリンシア姫か エルトニア姫だろうと言われてる」


「一説には 描いた画家は竜人だったそうだ・・」


「伝説って・・あの!」 ナジュナジュが驚いて言う


「そう百年前まで まだこの魔法画の幻影達は生きていた・・」


「絵もあと一枚 もう一つ・・白い竜達の魔法画の絵があった


手を触れたら絵の中から飛び出し 美術館の中を飛び回っていたが・・」


「あの百年前の大惨事・・自然の驚異・・


地震と津波と大火事が同時に 美術館のある街を襲った」


「すると 街の人々を守る為に 三枚の魔法画・・白い白鳥と赤い子竜と 

白い竜たちとユニコーンなどの幻影達が絵から飛び出し


その持てる魔力で 赤い子竜は 大火事を消し去り


白い白鳥は 津波を止めて ゆっくりとした普通の波に変え


白い竜とその仲間の幻影は 地震を止めてた・・


その日 以来・・白い竜達の絵は消え去り・・

2枚の絵は残ったものの・・ だだの普通の絵になった


恐らく 魔力を使いきったのだろう・・」


「こつちは 白い竜達の絵の複製画だ」白い竜達の絵を指さすステラ教授



アーシュの子供時代の絵を見ながらステラ教授は・・


「そう言えば・・リア君・・君 


黒の王アーシュランに心を読まれたろう?」ステラ教授


「えっ?」リア


「金に近い髪の少年の心を視たと


見つかった黒の王とアルテイシア姫の日記に書いてあった・・」ステラ教授


「自分の最後や先にエルトニア姫が死ぬ事も・・


テインタル王女やアルテシア姫の事も・・


リアンが王になる事も・・」ステラ教授


「・・そうですか・・」リア


やっぱり あの時 踊っている時に身体に触れて

金色の瞳に変わった・・ 視たんだ 僕の心・・記憶を・・


「えっ! 先に死んじゃうのエルトニア姫?」 ナジュナジュ


「・・うん 黒の王アーシュランの為に 若くしてね・・


後を追うように彼も すぐに・・妹のテインタル王女も彼の為に犠牲になる・・」リア


昨日会ったばかりの あの伝説の黒の王・・生身で見た彼・・明るい笑顔とか話声


本で読んだ時の感情とは違う思い


複雑な思い・・同情と悲しみ・・


「リア・・」泣きそうなナジュナジュ


「うん・・ナジュナジュ でも もう全ては時の彼方なんだね・・」リア



夜・・まだ大人の姿のアーシュ・・食事会の宴が開かれ

バルコニーで 星を見てる


「アーシュラン様 貴方 あの少年 リアの心を 


踊りを踊っている最中にでも 視て


全て・・これから起こる 未来の出来事を知りましたね・・」


アルテシアが固い表情で 問いかける


「ああ・・」 相変わらず夜空を見上げて 肯定するアーシュ


「それで・・?」 くるりと振り返り アルテイシアを見るアーシュラン


思っていたよりも 今は表情は明るい・・


「‥知りたいか・・?」アーシュ


「ええ・・」アルテイシア


黄金の・・金の瞳に変わるアーシュ


「生き延びるのは お前とリアン殿だけだ・・」


「リアンは最後の白の宗主で 白と黒の王になり

俺の子供を跡継ぎにする・・」


「お前は国と俺の子供の為にも 再婚して リアンの妻に・・2つの国の王妃になる」


「エイルは 生まれてくる俺の子供を守る為に 白の宗主リアンの妻になり」


「で・・俺の為に 俺より先に死ぬそうだ・・そして俺は後を追うように すぐに逝く・・」


「テインタルも俺の為に死ぬ・・」


「詳しい事までは 読み取れなかった・・本当は視るつもりはなかった


無意識のうちに 過去見の力が発動した」黄金の金の瞳でアーシュは言う


「どうやっても 運命の黒いクモの糸から逃れられない・・


昔 俺は 最初の時空の旅で 出会った未来の俺に言われた」


「未来の俺が言うには 大きな戦があるそうだ・・出撃直前だった


鎧を纏ったアル・・お前の姿もあった


出撃の寸前に リアンにエイルを託し 過去の俺にそう言った・・」


「許されてる幸せな時間は多分 あと数年か・・」アーシュ


「・・・私がリアン殿の妻になる前に 再婚と言う言葉をいいましたね」


「私は最初は 誰の妻に?」


叫びたい衝動を押さえつつアルテイシアは出来るだけ静かに問う


「・・俺の事が好きなんだろう・・アル


俺の第二の王妃はお前だアル・・」


「アーシュ様」 力が抜けたようにアルは言う


「・・ずっと言ってじゃないか?アル 俺の第二王妃になるって・・」


「まあ・・確かに俺が本当に成長して 大人になったら


お前に押し倒れて襲われるだろうと・・ずっと思っていた・・


正直 ちょっと怖いかなって・・思った事もある」


にゃりと笑う 焔の瞳に戻って 口をちょっとゆがめて 笑うアーシュ


「・・その通り・・貴方が大きくなったら 私 きっと酒にでも酔ぱらって


エイルより先に貴方を押し倒すとは思っておりましたけど・・」


右手で半分 自分の顔をおさえ 目を閉じて ため息をつきながら言うアルテイシア



まあ・・実際 アーシュ様は覚えてないけど 大人の姿の頃 酔っぱらって


アーシュ様の部屋に押しかけて 本当に追し倒して・・それから・・


気分が悪くなって 吐いちゃって・・大失敗したけど・・


「なんだ アル・・もうすでに一度 俺を押し倒したのか?

襲うのは 失敗したが・・?」


手をいつのまにか取って 金色の瞳を輝かせながら言うアーシュ


「あ、アーシュ様 私の心 過去見しましたね・・」軽く睨むアルテイシア


「すまん つい・・」また焔の瞳に変わる


「この事 未来の話は俺とお前アル 二人だけの秘密だ」 


「時が来て全て終わるまでは・・俺が死ぬまでは

 リアンにも秘密だ」 


「だが日記に書くのは 構わん・・俺が死ぬまでは・・話は秘密・・命令だ・・」


つかつかとアルテイシア姫の傍に近寄り 指先でひょいと顎を持ち上げて・・


「アーシュラン様?」きょとんとするアルテイシア姫


笑みを浮かべ言うアーシュ 


「第二王妃の座はお前のものだ・・アル」


アーシュの方から アルテイシア姫の唇を重ねた


そっとくちずけを交わす


「俺との・・どの勝負にもお前がいつも勝つ・・俺の負けだ」


「降参する・・」


「剣と魔法の勝負は別だがな・・

 

3,2の勝負の練習試合・・1つはお前が必ずお前が勝つが・・

残りは俺だ・・」


くすっと笑うアルテイシア


「・・・約束しましたよ 私の黒の王様」頬が少し赤いアルテイシア


「・・一応 エイルにも第二王妃の事は打ち明けるが?構わないかアル」


「彼女にも その事は宣言してましたし・・


気にせず 了解すると思いますわ・・貴方が一番 愛しているのはエイルですもの・・」


「ほら・・向こうのバルコニーに一人でいますわ・・


行ってキスでも されたらいいと思いますよ」首を少し傾け 笑みを浮かべアルテイシアは言う


「・・じゃあ お言葉に甘えて行ってくる・・」アーシュ


「はい 私の王様」笑みを浮べたまま アルテシア


向こう側のバルコニー


「エイル・・」アーシュの呼びかけに くるりと振り返るエイル


「アーシュ」笑うエイル


「・・告白する事がある・・アルに成長して 大人になったら


彼女に押し倒されて 襲われる前に 第二王妃にすると約束した・・」アーシュ


驚いたようだが すぐに笑みを浮かべエイルは言う

「うん・・わかった・・おめでとうアーシュ」


突然エイルを抱きしめて 今度はエイルの唇を重ねてくちずけする


エイルは目を閉じ 腕をアーシュの背に廻して 同じく抱きしめる


「・・第一の・・黒の王妃は 僕でいいの?本当に?」


互いに抱きしめたままエイルは言う・・


「ああ・お前を愛してる エイル・・元の大人の姿になるまで 待ってくれ」


もう一度 確かめるようにくちずけを交わす・・エイルとアーシュ


「僕・・私も愛してる‥アーシュ」


うっすらと瞳を開けるアーシュ・・瞳の色は黄金の金


どうやっても 誰がとめても・・お前は俺の為に 先に死ぬだろう・・エイル


俺は短い時間でも・・愛するお前のいない世界に耐えられるだろうか・・

そして どっちに似るだろうか お前と俺の子供は?


俺は その子供に会えるのか?


・・いずれにしろ その時は 俺が見た未来通り・・必ず すぐに お前の後を追う・・


幸せな時間はあと少しだけ・・それまでは 一緒に 幸せな平安な日々を・・エイル



そんな二人を見守るアルテイシア

 

長年の想いが叶い アーシュ様に妻にしてもらえると約束された・・


エイルだけだった・・あのアーシュラン様に・・受け入れられた・・


だが・・未来を知ってしまった 二人だけの秘密・・

 


私は残り リアン殿と結ばれ

アーシュさまとエイルの子供を育てる・・・


しかも エイルが先に死ぬ 次にアーシュ様・・ アーシュ様を助ける為に

テインタル王女・・あの可哀そうなテイが犠牲になる・・


可哀そうなエイル・・テイ・・涙が浮かぶ・・

その涙を拭う・・


大きないくさが起こるという それは運命(さだめ 止められないのだろう・・


宿命・・私達の宿命・・


セルト将軍達はどうなるのだろうか・・・戦で死ぬのか・・


ナーリンは?


・・未来 リアン殿と結婚して もし子供をもうけたら・・


それは女の子がいい・・


アーシュ様とエイルの子供と恋をして結ばれる・・

間違いなく・・


静かにアルテイシアは思う・・


この与えられた幸せな時間は大切にいたします・・私の王


たとえ 後・・ あと数年だとしても・・


今 とても私は幸せです・・貴方はエイルと私達二人のもの・・


決して その時まで・・運命が引き裂くその日まで 放しはしません


穏やかで満足そうな微笑み 瞳にはまた涙・・


「アルテイシア姫?」宴に出てたリアンが声をかける


「あら リアン殿」アルテイシア


「・・ん・・涙 どうされました?」リアン


「あ・・ああ ゴミが目に入っただけですわ」アルテイシア


「そうですか・・一曲 踊りをお願いしても 構いませんか?」リアン


「はい」アルテイシアはリアンに微笑む


一緒に踊りながら アルテイシアは思う


確かに美男子で 優しい人・・この人ならエイルを守り幸せにするだろう


エイルが死ぬその日まで・・


そして 私も・・・アーシュ様を失っても・・彼なら癒してくれるかも・・


・・私 アーシュ様を失って・・どこまで 耐えられるだろう・・



多分・・今日 私が知った未来の事を 時が来て 話す事が許される日に告白したら


きっと リアン殿は こう言う・・


まったく あの男 黒の王アーシュラン殿は


全ての責任を 私に押し付けて・・まったく・・!


ぶつぶつと 怒りながら言うわね・・


ああ・・それとも


何故?その話を私にしなかったですか!アルテイシア姫!


知っていたら エイルを助ける事も・・未来を変える事も・・姫!


まず 私の事を責めるかしら?


そして エイルとアーシュ様 二人の間に出来た子供を大事に育てる・・

私の事も受け入れる・・


貴方は とても優しい方だから・・


「今日は 切なそうな顔をされてますが 何か心配事でも」リアン


「いえ 大丈夫ですわ ダンスを有難うございます


一緒に 果実酒でも飲みませんか?」アルテイシア


「いいですね お付き合いします」リアン


バルコニーではアーシュとエイルが二人仲良く 宴の様子を

椅子に座って 見てた・・


「リアン兄様とアルテイシア姫 二人とも踊り上手だね・・アーシュ」エイル


「ああ・・そうだなエイル」


「ぼ・・私達も踊る?」エイル 「ああ・・じゃあ 行こうか?」アーシュ


「ああ・・あ!」 「どうしたの?」 「流れ星だ・・」


「本当だ」エイル


・・夜空・・遥かな未来 出会った猫耳の彼らも きっと この星空を見てる・・


アーシュは思う・・


また 会って あのキッシュを食べてみたいものだが・・あの子達にも会いたい・・



そして 遥かな未来・・夜・・


「流れ星だよ リア」 「本当だ ああ・・今日は遅くなっちゃた・・」


「ステラ教授・・なかなか解放してくれなくて 大変だった・・


また 話をする約束もしたし・・でも 食事やデザートを奢ってくれて


美味しかった」リア


「うん」ナジュナジュ 


「・・」複雑な表情のアリステア先生


「ところで 今晩は 泊まっていけば? お泊り用に 二人の着替えも置いてあるし・・」


「いいですよね アリステア先生」リア 「もちろん」アリステア


「明日も 休日で 学校もお休みだし お言葉に甘えちゃおうかな アシャアシャ」ナジュナジュ


「うん お泊り お泊り♪」嬉しそうなアシャアシャ


「有難うございます アリステア先生 有難うリア」ナジュナジュ


「あの黒の王の本も 私の書庫に沢山ある 読むといいナジュナジュ」アリステア


「有難うございます 嬉しいです」ナジュナジュ


「あ また 流れ星!」ナジュナジュ


「本当だ!」リア 「星空がきれいだな・・」アリステア


「きっと いにしえの時代で あの黒の王様達も きっと見てるね・・」リア


「僕もそう思うよリア」ナジュナジュ


「・・・いつか また会ってみたね・・」ナジュナジュ


「そうだね・・ナジュナジュ」リア


ちょっと また複雑な表情になるアリステア先生・・無言・・。


夜空の星が輝く・・・全ては時の彼方・・


そして リア達も 将来の暗黒の女王アシャアシャもまた 伝説に・・


歴史に刻まれて残る・・



リア達は気がつかなかったが・・


物陰から 白銀の髪をした女ケンタウロス レグルスが

面白そうに楽し気に リア達を見てる  


時間の狭間 全ての時間を見渡す場所にいるレグルス


彼女は 当然 未来も知っている


あの小さな黒猫耳の女の子アシャアシャ(後の暗黒の女王さま)の事も・・



「・・すべての事は 遥か時の彼方に・・」レグルスは小さく呟いた・・



時の彼方・・継られ続く・・永遠の時間・・すべては 遥か時の彼方に・・


FIN

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ