はじまりは突然に。
初めて小説を書きます。
拙い文章ですが、読んでいただけたら幸いです。
よろしくお願いします。
魔法とは何か?
アニメや小説をはじめとした創作物の中では、時折登場し、魔法使いや魔女と呼ばれる存在が、その力を振るっている。
そういった創作物の中では、体内または自然にありふれている魔力という力をもとに、自身がイメージした現象を魔法という形で発現させている。
つまり、魔法とは魔力によって引き起こされる現象のことを言う。
……私はそうは思わない。
なぜなら、
イメージした現象であるのに、
魔力という不可思議な力を行使しているのに、
物理法則とはまるで関係のない現象を引き起こしているのに、
物理学に1日の長がある転生者と呼ばれる存在が、魔法と物理法則を掛け合わせているから。
もちろん、アニメや小説の中の話ではあるが…。
魔法とは、アニメや小説でいう魔力やイメージとは全く違う過程を経て発現されると思うのだ。
『魔法学入門』アイザック・シュタイン
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魔法が広く一般に普及されるようになった昨今。
科学とはまた違った力を得た人類は、目まぐるしい発展を遂げた。
それはもう、あんなこといいなな未来が簡単に実現してしまうほどに。
魔法の発見から、人類はその力の大きさを認め、魔法に期待し、そして恐れてきた。
どこぞの国のお偉いさんが、できのいい学者や有識者を集めて、魔法が及ぼす影響をじっくり考えてくれたおかげで、特に主だった戦争なんかは起こっていない。まあ、それなりな国際問題とからあるだろうけど…。
とにかく、魔法があるからといって急にエキセントリックな日常がくるわけでもなく、しがない学生の俺は普通に朝起きて、普通に学校へ行かなきゃいけないわけで…。
あー、申し遅れました。
山田 光、17歳。
男子高校生、彼女なしの童t
「よう!光!相変わらず朝から覇気のない顔してんな!」
…この朝から覇気のありすぎるが中学からの友人、佐々木亮真、17歳。チート男子高校生、彼女ありのリア充。
「なんだよ、また妄想の世界にでも入ってたのか?好きだな〜妄想」
「…ほっとけ」
「どうせ今日の1限にある魔法学の授業つながりの妄想とかしてたんだろ?」
「……」
「魔法とは、世界に対する命令である。ある一定の命令を世界に対して行うことで、強制的にその命令が発現される。命令を効率的かつ効果的に実行するために詠唱がある。詠唱とはその命令を言語化したもので、アクセスポイント、いわゆる魔力を支払い詠唱を行うことで、魔法が発現する。授業で習う詠唱は一般的で最適化された詠唱だから、差し詰めオリジナルの詠唱でも考えて女助けるヒーロー展開な妄想でもしてたんだろ?」
「そんなんじゃねーよ」
「そうか? ま、俺は嫌いじゃないけどな、そういう妄想も」
「つーかお前、今日は彼女と一緒に学校来るんじゃなかったのか?」
「あー。それが香奈のやつ、風邪ひいたみたいでよ。今日学校休みなんだわ」
「ふーん。そっか」
「ま、今日の帰りに見舞いにでも行きゃいいっしょ!」
150年前。アイザック・シュタインとかいう中二病拗らせた天才科学者が、ガチで魔法の実現のために、あらゆる手段で国から研究費を掻っ攫い、本気で魔法を実現して以来、俺達の生活に深く根付いた魔法は、今やなくてはならないものになっている。
アクセスポイント、魔力は世界に対する命令を行う上で必要な消費エネルギーみたいなもので、人それぞれポイント数は違うらしいが、一度消費したら寝るか休むかしないと回復しないらしい。
ちなみに俺のアクセスポイント、魔力は20ポイントで、亮真は112ポイント。17歳男子高校生の平均が18ポイントってことを考えると、亮真のチート具合がわかる。
「光も来るだろ?」
「行かねーよ。…邪魔しちゃ悪いし」
「なんだよ邪魔って。いいから来いって。香奈も喜んでくれるしさ!」
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「はぁ、結局行くことになるのか…」
放課後、結局亮真の彼女の見舞いに同行することになり、亮真に待ち惚けをくらっている。
(…なんか見舞いの品でもあったほうがいいのかな。
いや、でも俺の彼女じゃないし、変に見舞いの品があったらキモいかもしれないし、でもいくらなんでも部外者の俺が手ぶらで見舞いっていうのも…)
「買いに行くか…」
どうせ待ち惚けをくらって暇なんだ。今のうちに買いに行って、直接向かおう。
たしか亮真、東川公園の近くだって前に言ってたはずだし。
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「亮真の話だと、この辺りだったかな…」
薬局でスポーツ飲料を買い、亮真の彼女が住んでいるだろう住宅の近くまでやってきた。
しかし、よく俺もこんなことをしている。
若干の自虐と若干の俺いいやつ感に浸りながら、亮真の彼女の家を探していたのだが。
ドーーーン
妙に低く重たい、何か爆発音のような音が鳴り響いた。そして直後…
「! 地震か」
グラグラと、屋外にいても揺れがわかる程度に、その揺れ幅を感じていた。
数十秒続いているだろうか。ようやく揺れが収束しようと収まってきた頃、
「光!おいっ!光!」
少し遠くから俺を呼ぶ亮真の声が聞こえる。
だが、すぐにその声は大きくなり…
「光!お前どこ行ってたんだよ!まぁいい!とにかく、逃げよう!」
「はぁ?お前何言って…。逃げるって言ってもこのくらいの揺れじゃ…。!さっきの爆発か何かのやつか?」
「違う!いや、違わないけど。とにかく!早く!」
「いやいや、つうか彼女いいのかよ。逃げるより彼女の心配してやれよ」
「その彼女なんだよ!逃げなきゃいけないのは!!」
はぁ?と言おうと思った瞬間。俺は亮真の背後数メートル先から急に現れた何かを目撃した。
「おい…なんだよ…あれ」
「香奈だよ!あいつ風邪なんて嘘ついてやがった!なんだかよくわかんねー魔法の研究してやがったんだ!」
俺の言葉に振り返り、何かの説明を始める亮真。そして亮真の彼女が何かになった背景を教えてくれる。
亮真の彼女だった何かは、徐々に俺達との距離を詰めてきている。
「なんだよっ一体っ!!わかった!逃げよう!」
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「はぁ、はぁ、はぁ」
「ここまで来れば、はぁ、大丈夫だろ」
亮真の彼女だった何かから走って逃げてきた俺達は今、河川敷の高架下に逃げこんだ。
「で?何がどうしたんだ?一体…」
この疲労と恐怖の原因となった何かについて教えてもらわなきゃいけない。
「俺もよくわかんねー。ただ、香奈のやつ、俺が香奈の家に着いた時には外にいて、門がどうとか太陽がなんとかって」
「すまん、さっぱりわからん」
どうやらこのチート野郎の彼女は、別の意味でぶっとんでいたらしい。
「だから俺もわかんねーんだって!あいつ、急に詠唱しだして…そしたら急に爆発して…気づいたら香奈がアレに」
それはまた…。災難としかいいようがない。
亮真の彼女は、いわゆる詠唱事故。詠唱の失敗によるリバウンドの被害にあったようだ。
被害って言っても、自業自得なんだけど。
とにかく落ち着こう、まずは警察に連絡を…と言おうとした時。急に俺達の目の前に魔方陣が現れる。
そして…
「り ょう ま」
亮真の彼女が俺達の前に現れた。