32 デジャブ?
ストックがだいぶ前から無くなっているのでしばしの休みを……
「チャットオープン【セラ】」
トゥルルルル
『はーい、お兄。どしたの?』
「あぁ、進化してスキルのレベルも上がったから外に出れるようになってね。今、始まりの街に向かってるところ。」
『おぉー!やっとお兄もゲームが始まるね。』
「まぁ、それだけ言っとこうかなって思ったから連絡した。」
『噴水のとこに居てよ。行くから。』
「分かった。じゃあな。」
『また後でねー。』
プツ。
僕は目の前に見えてきた始まりの街へ向かって再び走り出した。
始まりの街に入ってまず思ったのは懐かしい。だ。α版の時はここで悪質なプレイヤーと戦ったっけ?(フラグ乙)と思っていると……
「あぁ?どういう事だよ!何で売れねぇんだ?金はあるって言ってんだろ!」
「いや、だから言ってるじゃないですか。北に主が現れてから流通が途絶えてるって…」
「NPCは黙って売ってりゃあイイんだよ!」
そう言って男は足を振り上げる。
パシッ
「あぁ?なんだテメェは?」
「ソレはこちらのセリフだな。貴様は何をしようとしているのだ?」
「見りゃ分かんだろ。」
マジでこいつクズだな…
「あと先程から見ていたがこの世界の住人に対してNPC、NPCと…さては正式版からのプレイヤーかな?」
「だったら何なんだよ。ってか離せ!」
僕が手を離すとバランスを崩しフラフラしている。
「君はアイテムが欲しい。だが流通が途絶えていて買えない……と。」
「てめぇ、クソ恥じ掻かせやがって!」
はて?と、思って周りを見るとバランスを取れずにそのまま倒れてしまって周りのプレイヤーや住人達に笑われていたのだ。
「クソッタレめ、こうなったらデュエルで勝負だ!勝ったらてめえのアイテム全部貰うからな!」
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プレイヤー名【カース】からPvP【デスゲームモード】の申請が来ています。
報酬
勝利者が敗者の全財産
承諾しますか?
・YES
・No
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「OK、YESっと。あと、君が負けたらさっきの住人に謝ってね。周りの人たちが承認だから。」
カウントが始まり、ゼロに変わる。
「万に1つもねえよ!!!」
カスは自前の剣を振りかぶり突っ込んできた。こんなフェイントも何も無い突進を見るとギガゾンビを思い出すわ…
「なんで当たらねえんだ!」
「まぁまぁ、遅いからパリィしやすいんだよ。」
あのダンジョンの下層のヤツらに比べたら野球ボールぐらいの速さだ。
「そろそろ、攻撃始めるよ。えいっ」
僕はSTRに任せた技術も何も無い力技でカスの左肩を殴る。
「え?」
そんな声を発したのはカスの方だったかそれとも僕か、観戦者か……カスの左肩から下が宙を舞い地面に落ち、ガラスが割れるような音を出して消えた。
驚きはしたが僕は攻撃の手を休めない。一撃、二撃と当たるたびにカスの四肢は消し飛んでいく。
「今度からはこんな事しないよね?」
芋虫状態になったカスに聞く。
「し、しません!しません!だからもう許して!!!」
「そう。」
僕は彼の頭を踏み抜き、戦いに勝利した。
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WINNER 【ナギサ】
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「あ、そうだ。謝るのも忘れないでね。」
目の前に座っているカスに言うと、「ひぃっ」と、悲鳴をあげて走り去って言った。
こうして、どこかであったような事件?の一幕が終わった。
カースを主人公がカスって言っているのは誤字ではなく仕様です。




