30 進化!!!
「そう言えばお兄はいつはじめの街に来るの?」
「そうだなぁ、レベルが30になって1回進化したらかな?」
「え?レベル30って、結構かかるくない?」
「まぁ、それが周りのレベル20〜30ぐらい──二層から四層の話──だから丁度いいんだよね。」
それから世羅は何か考え込んでいるようで無言になってしまった。
「じゃあ、僕はログインするから皿はシンクに入れといてね。水も。」
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「よし、張り切ってレベル上げますか!っと、その前に。」
僕は正式サービスが始まってから思ったことがあったのだ。
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件名 運営の人達への要望
内容
行動などによってスキルを得られるとの事ですが、どの様なスキルが取得できるかがわかりません。これではボスモンスターとの戦闘やレイドバトルなどがあった場合に対策が建てられません。そこで熟練度などを付けて取得待機中のスキルを見れるようにしてもらいたいです。
P.N 【ナギサ】より。
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「要件も済んだしレベル上げに行こうか。」
装備を整え、三層に降りていく。三層の敵も新しい装備を付けたことによって今までよりも早く倒せてる気がする。2発だったのが1発になった。
流石に作業みたいにレベル上げをするのもアレなので五層のモンスターハウスに場所を変えていた。何回か勝っていると、出てくるモンスターが変わってレベルも上がっていた。
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名前 アンデットウルフ
説明
野生のウルフが死んで不死者となったもの。アンデットの割にはスピードが速く、群れを成すので一般的には狩りにくい。
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「はぁ、僕が不死者だからって遅いわけじゃないんだよ。」
物量で押してくるも、全てカウンターで仕留める。少し経ってから休憩がてらステータスを確認していた。
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名前 ナギサ
種族 腐死体【低位死霊種】
レベル 27
職業
称号
・
ステータス
STR 146(21up)
AGI 43(15up)
DEX 5
VIT 48(6up)
INT 13
MND 24
LUK 90
スキル
・初級鑑定 レベル25
・HP自動回復 レベル10
・光魔法 レベル3
・闇魔法 レベル1
・使役 レベル1
・姿勢制御 レベル8
・忍び足 レベル30(MAX)
・気配察知 レベル23
・初級格闘 レベル28
・見切り レベル24
・受け流し レベル30(MAX)
状態
・腐臭 レベル-
・聖光ダメージ5倍
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スキルレベルがMAXになってしまったな。丁度いいし、戦闘スキルの確認でもしようかな。
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光魔法
スペル
・ライトボールCT5s
・ライトヒールCT10s
・ライトアローCT7s
闇魔法
スペル
・ダークボールCT5s
初級格闘
アーツ
・打突【代用可】CT5s
・貫手【代用可】CT5s
・手刀【代用可】CT5s
・鎧通し【代用可】CT5s
受け流し
アーツ
・パリィCT0s
・パリィスタンス【パッシブ】
・カウンターCT10s
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ん、あぁ……普通にアーツとかスペルの存在忘れてたわ……でも、あれ嫌いなんだよね。体を無理やり動かされてる感じ。
「んー。【手刀】」
ブンっ!!!
体がポカポカと暖かくなり淡い赤色の光が手を包み込んで自動的に規定のモーションが高速で繰り出される。
「やっぱダメだな…何か設定で無いかな?アシスト切ったり出来るやつ。」
メニューを開いて設定から探す。なになに?システムアシストを切るとアーツやスペルの自由度が高くなりますが発動が困難になります。か……ええっと、メリットはCTが無くなる。規定モーションじゃなくても発動できる(規定モーションが無くなる。)。デメリットは発動が困難になる。アシストありとは発動方法が異なる。
「うん。アシストは取り敢えず要らんな!全部offっと……よし、続き行きますか!」
こうしてまた何度か続けていると……
「よーしよしよしよーし!多分ここらでラストだろうし気合い入れるぞー。」
と、意気揚々にモンスターハウスに入っていくとそこには既に自分の3倍はあるだろうモンスターがいた。
「な、何じゃありゃ?!」
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名前 ギガゾンビ
レベル38
説明
巨人族の死体が時を経てアンデットと化したもの。見た目通りパワー型でその一撃は死してもなお色褪せない。
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「なるほど、一撃でも貰えばお陀仏ってわけね。」
いいじゃないか、やっぱりこういう緊張感が欲しいよな。数の暴力じゃなくて。
「シィッ!」
僕はギガゾンビに向かって走り出す。当然相手も近づいてきたら攻撃をしてくる。ソレをパリィ(自前)で弾きその腹に掌底を叩き込む。
ドゥーン!!!
自分の勢いと僕のMAXSTRが合わさってもの凄い威力となりギガゾンビを吹き飛ばす。
「アーツとか無くてもコレだから無くて正解だね。多分あったら逆に弱体化するし。」
ギガゾンビが立ち上がり、鬼の形相でこちらを見ている。
「そんなに怒らないでよ。しょうがないな、パワー勝負をしてあげるよ。」
この時僕は調子に乗って、自分の種族のことを忘れていた。僕は一歩二歩と加速をして行く。ギガゾンビと初めと同じように攻撃をしてくる。
「ぜァァァァ!!!」
「ゴァァァァァ!!!」
僕とギガゾンビの拳がぶつかる。そして予想外の拳の重さに押される僕。
「(くそっ、調子に乗りすぎた!パワー型って言っても限度あるでしょ!)」
僕の腕はグチュグチュと音を立てながら曲っていく。
「ぁぁぁあああああ!!!」
お互いが吹き飛ばされ壁に激突する。ギガゾンビはなんとか耐えたようで僕にさらなる攻撃を仕掛けようと近づいてくる。
「くっ…不用意に近づいたら危ないよ。」
お前もアンデットなら聖光ダメージ5倍だろ!!くらえ!
ちゅどーん!
「はぁはぁ、なかなかに激戦だった。(調子乗ってたから)」
これで進化に必要なレベル30に到達した。
「進化したらこの腕とかも治るのかな?まぁ、やってみるかな。」
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【進化】
・高腐死体
・死者の王子【EXTRA】
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「死者の王子一択で。」
ピカーーー!
そして、僕は初めての進化をした。




