23 大会終了と終わり
3回戦も終わり、残すところあと少し。僕の予想だとカナデが4回戦は勝ってくる。そして決勝までやってくるだろう。次の紙装甲に勝てばカナデと戦える訳だ。
とうとう僕の番が来た。あ、4回戦は当然カナデが圧勝だった。
『初戦が終わり、続いて準決勝1回戦。ナギサ対紙装甲さんです。これまで順調に勝ち進んでいる二人でしたが果たしてどうなるのでしょう?』
『ちなみに、私たち実況席では若干紙装甲さんに軍杯が上がってるよ。』
『それでは準決勝1回戦始め!!』
実況の山田さんの合図で試合が始まる。予想通りという感じで紙装甲からは来ない。
「どうしたんですか?来ないんですか?」
ここであえて挑発してみる。
「挑発しても俺は突っ込まないぞ。さぁ、来い。」
「挑発のつもりじゃなかったんですけどね……(嘘)いいんですか?貴方負けますよ?」
「どういう事だ。」
「簡単ですよ。僕はあなたの弱点に気づいただけですから。」
こうやって喋っているあいだにも、魔力を貯める。
「あなたの得意なバグカウンターはなんせ魔法には弱いんですからね。」
「!?」
準備していた魔法を展開する。何度も言うようだがこのゲームの魔法はイメージ操作ができるので紙装甲の周りを《ホーリーランス》で囲む。
「では、さようなら。」
紙装甲は光になった。
『試合終了!我々の予想を裏切り、ソッコーで終わってしまった準決勝1回戦。まさかの紙装甲さんのバグカウンターは魔法に弱かった!』
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準決勝2回戦
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「なぁ、カナデ。御手柔らかに頼むぜ。マジで怖いから。」
「大丈夫だぞ(´ー∀ー`)。すぐにすむから。」
カナデの第2回戦は一瞬で終わった。観客は(´ー∀ー`)が善戦するのを期待したのだが、やはりという感じで終わった。
最後の戦いはカナデに決まった。
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『さてさて、長かった大会も残すところあと1回になりました。α版最後の戦いを締めるのはこの人達。ナギサさんとカナデさんでーす!』
「よー、ナギサ。このゲーム面白いか?」
「うん。面白いよ?」
「いや何で疑問形なんだよ。」
「だって、当たり前の事聞くからさ。」
疑問に思ってそう言うと何故か呆れた様子のカナデ。だってそうだろう?面白くなければずっとやってないし、こんな大会も出てはいない。
『それでは決勝戦開始!』
「うん、そうだよな。それがお前だったな!!」
そう言いながら剣と盾を携えて僕に向かってくる。控えめに言って速い、初めから全開で行かなきゃやられそうだ。そう思った瞬間あの加速状態になる。加速した状態でもほかの人よりも速いがこっちは加速してもっと速いので半身になって避けそのままカナデがもともと居た位置に戻る。
「マジか、今の避けるんだ……一応《縮地》ってスキル使ったのに。参考がてらにどうして避けれたのか教えてくれないか?」
「参考もなにもただ見て避けただけだぞ?」
そうだ加速はしたがただ見切って避けただけだ。嘘はついていない。
今度は僕の方から行く。
2本の棍を右から左、左から右へと高速で振っていく。カナデは盾と剣で上手く受け流して避けてゆく。たたし、完璧には受け流せないようで時々擦ることによって起きるダメージに驚いている。
たまらずカナデは後に距離を取り体勢を立て直す。そのスキを見逃してあげるほど僕は甘くない。棍を片方投げ捨てて《神槍》を片手に作る。(この作業も早くなったものだ。)それを投げつけ、追撃する。
しかし、これは《魔法剣》で切り捨てられてしまう。
「ナギサ、まだ本気じゃないだろ?全開でやってくれよ。」
「そっちだって本気じゃないじゃないか!」
「いや、今から出すつもりだった。《聖剣》《勝利への道》」
カナデは2つのスキルを発動させる。《聖剣》でカナデが持つ剣が光り、《勝利への道》でその風貌が聖騎士のそれへと変化した。
「そこまで大盤振る舞いだったらこっちもしなくちゃな!《纏炎龍》《天魔化》。」
僕の風貌も2つのスキルによって変化する。僕の身体が火焰を纏い、魔法の属性変換で闇に変わる。その火焰が徐々に形を型どっていき龍の様な姿になる。そして、白と黒の対になる4枚の羽が背中から生える。
「お前さ、威圧感半端なくね?あと闇属性にすんなや。」
「お互い様だろ?」
『な、な、なんということでしょう!!!二人の姿が変わり、さながら堕天使に挑む聖騎士の様な光景です!』
僕達の変身によって静寂に包まれていた会場が一気に緊張の糸が途切れたかのように大歓声が会場を満たす。
「なぁナギサ。お前武器ないほうが強いと思うぞ。」
「そうかな?ってか、わざわざ強くなる方法敵に教えるとかバカじゃない?」
「うるせー。」
強い方が燃えるんだよ。と言った。うわっ、何処ぞの戦闘民族かよ…○ら、わくわくすっぞってか?アドバイスはありがたく受け止め僕は武器を捨てる。
「ハァッ!」
ドッと地面を蹴り、超低空飛行でカナデに急速に近づき拳と脚の連撃を食らわせる。初めは防げていたが地面に脚が付いてなく、飛んでいるので手数が足りずに攻撃をくらうカナデ。
「そっちは聖なる力だけどこっちは龍の力だ、そう簡単に防げるかよ!」
カナデに一発いいのを食らわして吹き飛ばす。
「はぁはぁそうかい?じゃあラスト行くぜ。《限界突破》《魔法剣》」
カナデの剣が聖属性の魔力によって刃渡り2メートル程の剣になる。
「そっちがその気なら僕だってやってやるよ!」
《天魔魔法》と《炎龍魔法》を合わせて拳に纏い、空に飛び上がる。重力の力を借りて翼で速度を付ける。
対するカナデの剣から光の斬撃が放たれ、剣は元の大きさに戻る。多分渾身。この一撃を破れば僕の勝ちだ。
そして二つの攻撃はぶつかり、周囲に衝撃を撒き散らす。
「オォォォォォッ!!!」
少しでも気を緩めると押し返されてしまう。僕の翼が羽ばたくたびに白と黒の粒子が翼から散りばめられる。
永遠に続くかに思われた均衡は突然途切れる。光の斬撃にヒビが入り、粉々に砕け散る。そして僕の拳はカナデの身体を貫き光に変えた。
『試合終了!優勝はナギサさんです!!!』
歓声が大地を揺らすかと思えるほど沸き、それがずっと流れる。
こうして最強プレイヤー決定戦は僕の優勝で幕を閉じ、FWOのα版が終わりを告げた。




