21 本戦第1回戦
今年ももう終わりですね。今年は皆さんどんな年でしたか?来年もぼちぼちやっていくのでよろしくお願いします。
良いお年を。
遠のいていた意識が再び覚醒し、ログインが完了する。そのまま本戦のある闘技場へ行く。
その闘技場へ行く途中で僕はアイラさんに出会った。と言うより待ち伏せされてた。
「こんにちは。」
落ち着いた様子で話しかける。むしろ少し余裕のある様子だ。
「こんにちは。何か用事でも?」
できる限り僕も余裕そうに振る舞う。実は結構落ち着きが無かったりするのだ。
「ええ、今回の本戦の件で少し話があってね。もしよろしければお互い全力の魔法で決着を付けない?」
「なるほど、参考がてらに理由を教えてくれませんか?」
「そうね…正直に言うとナギサ君に勝てる気がしないのよ、それも長期戦だと尚更ね。だったら一発勝負を提案して全力でやった方が楽しいなって。」
「……分かりました。その提案お受けしたいと思います。」
「そう、良かったわ。じゃあまた試合でね。」
アイラさんは満足げにその場を去っていった。提案して来たからには何か秘策でもあるのだろう。アイラさんは魔法を主に使うから、魔法勝負になるだろう。
「僕も早く行かなきゃ。」
僕は急いで闘技場に向かった。
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闘技場
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『さぁ皆さんごきげんよう、昨日ぶりですね。』
『最強プレイヤー決定戦本戦始まるよ!』
『まだ始まるまでに時間があるのでミニ情報をお知らせしたいと思います。まず一つ目はこの本戦に出場したプレイヤー方はその順位によって正式版に関係のある特典があります。』
そう山田さんが言うと観客席からブーイングと罵声の嵐が飛び交った。物は投げないで下さいね。
『なお、予選で負けてしまった方々にも参加賞として特典はございますのでご心配なく。』
と言うと……途端に手の平を返したように喜ぶ声が聞こえてくる。
『続いて二つ目は……『はい、山田どいてー』ナァッ!?また貴様か!!』
『さぁさぁ続いて二つ目はァッ、お待ちかね本戦出場プレイヤーの情報だァ!』
オオォォォ(゜ロ゜*)(゜ロ゜*)
『盛り上がってるねぇ。ただし、個人情報とかプレイスタイルは公開しないよ。あくまで掲示板に載ってた情報だけだかんね!』
『まず1人目ッ!アイラさん。彼女はね、凄いよ。掲示板で付けられた二つ名は《歩く災害》《天災魔術師》etc……があるね。理由なんだけど、β版版であった防衛戦で披露したアレが主な理由だね、α版の今回でもアレは出来るのかな?』
『続いて2人目、紙装甲さん。名前によらず実は結構硬い装甲。名前に惑わされてはダメだぁ!そんな理由で付けられた二つ名は《表記詐欺》《紙という名の鋼》etc……。』
『3人目と4人目この二人はよく一緒にいることが多いので同時に紹介したいと思います。アックスさんと(´ー∀ー`)さんです。アックスさんは身の丈以上の斧を扱います。実際使えるとは思ってませんでしたけど。(´ー∀ー`)は二刀流の短剣使い。いたって普通だけど普通も極めれば強い!そんな二人の二つ名は《斧の怪人》《斧魔神》etc……と《一般を極めた者》《一番星》etc……』
どこかでオイッ!Σヽ(゜∀゜;)という声が聞こえた気がする。
『5人目、カナデさん。カナデさんは大盾に片手直剣というオーソドックスなスタイルで、外見のこともあり二つ名は《貴公子》《聖騎士》《騎士王》etc……と呼ばれています。何故かこの人だけ二つ名がまともですね。』
『6人目、ナギサさん。今大会のダークホースと思いきや掲示板では結構な有名人!最近では同じ日に全てのフィールドボスエリアで目撃されたとか…そんな彼の二つ名は《軍人》《幼女天使》《撲殺天使》etc……。しかし!これだけは言っておこう。つい先程手に入れた情報だが、軍人さんは男の子だ!オトコの娘だぞ!』
その瞬間一部の者達は大きなショックを受け、またある者達は歓喜の雄叫びを上げた。
なんか2回目字が違うんじゃないか?
『7人目、8人目はAUXさんとスネークさんですが、すみません。掲示板にあまり出てきていないので情報がありませんでした!』
会場にドッと笑いが起きた。可哀想にこれじゃあ公開処刑じゃないか…
『という訳で前座は終わりでそろそろ第1回戦を始めたいと思います。』
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会場
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『という訳で前座は終わりでそろそろ第1回戦を始めたいと思います。』
そろそろ始まる。やれることは全てやったしこれで負けたら仕方がないだろう。
余談だがナギサは現時点で最強プレイヤーと言えるプレイヤーだ。ここまで心配してるのはただの勘違いによるもの。
すこし緊張した様子でステージにあがるナギサ。向かいには別の意味で緊張しているアイラがあがり司会が主叫ぶ。
『それでは、第1回戦始めぇ!!!』
「それじゃあ約束通り…ね。」
「はい、分かりました。」
僕達はお互いステージの端に立ち見つめ合う。
『おおっと?どうしたことか?二人がまだ戦わない。』
「じゃあ行くわよ。《魔力増強》《複数展開》《魔法合成》《メテオ+フレア》」
アイラさんの周りに10個の魔法陣が現れ、魔力が高まっていく。
『アイラさんが多くのスキルを発動したぁ!まさかこれはβ版のアレなのか?魔力増強が付いていることによってさらに凶悪なものになっていく!』
流石だなぁ、当たり前だけど予選で見た時よりも凄いや。
「負けられないな。」
魔法はイメージが一番大事だ。と、僕は思う。
まずは《天魔魔法》で神槍を10個円状を展開。
それから炎龍魔法を威力重視でカスタムして真ん中にセット。
「行きますよ。第壱射《撃て(ファイヤー)》!!!」
先ずは10本もの光の槍がメテオに当たる……がこれだけでは止まらない。アイラさんの魔法は僕の光の槍を破ってこちらに来る。僕の魔法はこれで終わりではない。
「第弍射《炎龍の咆哮》!!」
正しく龍の咆哮の様な一撃が僕の元から放たれる。そしてそれは瞬く間に一つ、二つとアイラさんの魔法を消していく。
そしてついにその時はきた。アイラさんの魔法が全て消え、直撃した。
ゴォォォォォンッ!!!!!!
もの凄い土煙が立ち込め、その中でアイラさんは光となって消えた。
『試合終了!勝者、ナギサ!』
ワァァァァァ!!!!!!
『初戦からとても白熱した戦いでした。これを今後第一次魔法大戦と言うことにしましょう。』
『馬鹿野郎、こんな戦い2度目があったらたまりませんよ。』
第1回戦勝者
ナギサ




