冥王
なんで・・・死神の声が・・・聴こえる?
そんなのは簡単だ、確認班がやられた・・・作戦はばれていた、そんな自分に怒りが込み上げる
すると死神がまた喋る
「えっと?まずは・・・私達を罠にはめようとした罰を受けてもらうね!」
そう死神が言った瞬間、最前列の方から悲鳴が上がる
ここからでも見える、赤い何かが・・・吹き出ているのが
「何をした・・・ガキ・・・」
死神はまた怒るかと思った、だが
「ふふ・・・ふふふっ・・・アッハ、アハハハハハハハハハハハハ!!!ねえ!どんな気持ち!?!?悔しい?悔しいよね!だって自分のミスで仲間がまた死んじゃったんだからね?ほんっと・・・私達のマスターとは、ふふふ・・・大違いだね!!!」
主を抑えていたものが無くなる、我を忘れて一言言う
「殺す!!!!!」
誰もが混乱しているときに主は死神に向かいひたすら走る
「主!落ち着いて!!作戦は失敗した!だから何か命令を!!」
アテナが主に向かって言う、それに主は
「殺せ!!どんな方法でも!何を使ってもいい・・・殺せ!!一人も逃がすな!!!!」
まともに会話などできるわけもなかった
「アテナちゃん!今はあなたが命令をして!」
紗季が続けて言う
「死神は隊長に今は任せるしかない!でもほかの隊員は単独では動けないよ!」
「・・・わかった!最初の作戦の時の班で行動!目的はキャンプではなく周りに注意して!やつらは単独で行動してる可能性が高いわ!数がいれば戦える・・・!」
隊員たちは頷きすぐに体勢を立て直す、最前列の班がやられたが主が一人で行ったため班の数は変わらない
だが、体勢を立て直した瞬間を狙われた・・・前にいた隊員の一人が消えた
「来た・・・!」
そして、また作戦は外れた・・・敵は単独ではなかった、アテナ達を囲むように六角形で現れたのだ
だが、アテナ、零、紗季は近くに出た敵に向かい走る、気づいたのだ、その後に続き班のリーダー達も目の前の敵に向かい走る・・・全員が気づいた
こいつらに、まともな作戦は通じない・・・必要なのは覚悟と力である
そして今アテナの前にいるのは
「神力使いのあなたと当るとは運が良いのか悪いのかですね・・・」
「ええ、ほんっとそうね・・・けどこんな美少女に倒されるなら運が良いんじゃない?」
消滅の魔法を使う男、紫雨だった
主は死神ただ一人を狙い走っていた、しかし今はさっきの冷静の無さは無くなっていた
「ったく、そんな挑発にまんまと引っかかるかよっての」
最初は確かに引っかかっていたけどね
主は魔法も使えなく、神力使いでもない、だがそんな人達がいる中でなぜ隊長になれたか、戦闘が人よりできたというのもあるだろう、しかし一番の理由は冷静さだった
死神までの距離はあと500m・・・まともにやりあっても勝てない・・・どうするかね
左腕はもう再生してる、刀で戦うのが基本になるだろうが・・・あいつは体型は子供だが頭はどうなんだろうか・・・もし子供なら・・・普通ならありえない作戦だがやってみるか!
死神まであと200mまで来るすると向こうもこちらに走り出してくる
「やっぱりあなたすごいね!すぐに冷静さを取り戻しちゃった!」
「そりゃどうも・・・って!はっや!」
もう50mくらいだぞ!
死神は大鎌を自分の手から出す
「本物の死神じゃねえか!」
「あ、私一応神力使いだから!言うの忘れてた!」
いや、敵に言わないほうが・・・ってまあ、今言っても大して変わらんか
「来い・・・!」
走るのをやめ、その場で刀の抜く構えをする
「それじゃ、始めよっか・・・!!」
死神も鎌を振りかざす、その姿に子供らしさはなく・・・本物の死神のようだ
鎌が来る瞬間に刃を抜く、刃と刃がぶつかりキィーンと甲高い音が鳴る
ぐっ・・・!やはり力が強い・・・!
死神は鎌を引きもう一度振る、それを後ろに飛び、かわす
「大鎌は振りがいちいち大きいからかわしやすいな!」
「私の武器はッ!鎌だけじゃないよ!」
すると死神は左手の人差し指を立て何かを唱える
「死を唱えし者よ、死神の名の下に詠唱せよ!死の災害!」
主の周りに黒く丸い小さな粒が大量に出る
「ん・・・?なんだこれ?」
特に何もおきないぞ?
「それは死の細菌、触れるとその触れた部分が死ぬよ!」
なんだそれ!!チートじゃねえか!
「くそ、動けねえ・・・?いや、待てよ・・・触れたらこの黒いのは消えるが代わりに触れた部分が死ぬと言う事だろ、てことは・・・何かを触れさせればいいってことか!」
だったらと言い、下に無限にある砂を掴む、そしてそれを黒い物体に向かい投げる
すると黒い物体はぼふっという音とともに消える
「よし!」
しかし、そんなことをしてる間、死神に回り込まれていた
「少しは後ろも気にしてね!」
大鎌・・・ではなく小さなこぶしで背中を殴られる
「がハッ!」
口から少量の血が出る、小さな手から出るとは思えないほどの力だった
だが、これは主にとってチャンスだった
主が近づいた死神の手を掴む
「え?」
そして後ろに振り向く力と腕の力を合わせ死神の顔を殴る
「痛った!女の子を殴るなんて!!」
死神が少し後ずさる
「まだ終わらねえぞ!」
そのまま刀を死神に向け振る
すると、いきなり死神の雰囲気が変わり、口調も怖くなる
「調子に乗るなよ、人間が!!」
刀が当たる瞬間、刀の刃を手で止める、そして上に振り上げ下に叩きつける
「いっっつ!!」
体が砂の上に叩きつけられ、砂が舞う
こいつ・・・ほんとになんなんだよ
砂が散り、死神の方に振り向くと手をこちらに向けて何かを唱えていた
「死神の怒りに触れた者に制裁を・・・!処刑!」
死神の手に風が集まり、刃が生まれこちらに飛んでくる
急いで立ち上がり横に飛んで攻撃を避ける・・・が、風の刃は向きを変えこちらに来る
「追尾式かよおおおおおおおお!!!」
どうしよう!!どこまでついてくるのかわからないし!
その場で走り周りなんとか離そうとするが、全然離れる気配はない、むしろ風の刃のスピードが上がってきている
「ハァ・・・ハァ・・・!あ~もう!めんどくせぇええええええ!!!!」
風の刃が来てる方に向きを変え、刀を鞘に戻す、そしてまた抜く構えをする
「斬る・・・!・・・斬れるかわからんけど」
抜刀で風の刃を斬る、すると半分に割れ・・・分裂した
「・・・最悪だ、これ」
かわすことはできない、分裂した小さな風の刃が体に刺さる、時間を空けずに奥から来ていた風の刃もグサリッ・・・グサリッと続々と刺さる
主はその場で倒れる、倒れたところからは血がだくだく流れている
死神からさっきまでの恐ろしい雰囲気は無くなって元の話し方に戻る
「あれ?もしかして・・・死んじゃった?」
死神が主に近づく、動いてはいない
「・・・嘘、マスターに怒られちゃう・・・どうしよう・・・」
死神は焦ってる顔をしている・・・だが
「マスターのお仕置き・・・うへへへへええええ!!きゃー!楽しみかもー!」
すぐにいつもの感じに戻る、そして主を軽くつついて反応がなかったので来た道を戻る
しかし、これが死神の失敗となる
死神が後ろを向き2.3歩進む、その時
ズッ・・・そんな音と共に体の真ん中から強烈な痛みが死神を襲う
「えっ・・・?なんでッ・・・?」
死神が首だけ後ろに向ける、そこで見たのは
銃を向けている、主の姿だった
「なんで・・・!なんで死んでないのよ!!」
主から血は出ていない、いや止まったというのが正しいだろう
「悪いが、俺はもう人の体じゃない・・・アテナと契約を結んだからな」
銃の引き金に指をかける
「嫌・・・だ・・・マスター・・・助けて・・・!」
銃で撃たれても死ぬことはない・・・だがそれは急所以外のことである、ただでさえ心臓に刀を刺されていて急速な再生を行い命を保っている状態の時にもう一つの急所の頭を吹き飛ばされれば・・・生きることはできないだろう
死神の足は震え、目には涙を浮かべている
・・・これは戦いだ、たとえ容姿が子供でも・・・こいつは・・・敵!
「終わりだ、死神」
そして、引き金を引いた
その頃アテナは紫雨との戦いに終止符を打とうとしていた
「消えろ」
紫雨がアテナに向かい手を向ける、すると黒い弾丸が放たれる、速攻魔法・・・詠唱無しの魔法である
「盾よ、契約者の我を守護せよ!」
そうアテナが言うと光の盾がアテナの前に出現する、そして黒い弾丸が当たり消滅する
そしてすぐにアテナが魔法を唱える
「闇の力を持つ者に光の一撃を、閃光騎槍!」
光の槍が5本生まれ、紫雨に向かって撃たれる
最初の2本はかわし、3本目は黒い弾丸で消すことができた紫雨だが、もう2本はかわし切れず、右横腹と左の肺の部分に当たり、貫通する
多量の血が紫雨の体から流れその場に倒れるように砂漠の上に座り込む
「やっぱ・・・神の遣いには勝てない・・・ですね」
「神の遣い?悪いけど、私はあんなやつらの遣いになったつもりはないわ」
アテナが紫雨に近づく、そして紫雨に向けてさっきの光の槍を生み、向ける
「じゃあね、闇の魔法使いさん」
そしてアテナは紫雨に向かって槍を刺す・・・しかし
グニャン
「へ?」
紫雨が急にぐねぐねになる、そしてスポッ!という音とともに消える
アテナは一瞬呆然とするが、すぐに我を取り戻し周りを見る
「どこ行ったの!?」
周りを見渡すと他の所も騒然としてる
「アテナちゃん!なんか相手が急にいなくなったよ!?どういうこと!?」
「紗季ちゃん!・・・わからないわ、なんで消えたのか」
零も歩いてこちらに来る、右腹から血を流してる
「零!?大丈夫!?」
紗季が心配して声をかける
「・・・大丈夫だ、大した傷じゃない」
「急いで治癒魔法使うね!」
紗季はすぐに零の傷口を自分の魔法で癒す、詠唱はない
「零、あなたのところも敵が?」
「ああ、視界が曲がり消えた」
敵全員・・・消えた、作戦の可能性が高いけど・・・あんなに追い込まれてからってどういうことかしら?
アテナが次の行動を考えている間に零の治療が終わる
「終わったよ、零」
「・・・助かった」
紗季が嬉しそうに笑う、零はそれを見て頬が赤くなる、がすぐに戻る
その間に各班も集まる、幸い誰も倒れていない様だ
「アテナさん、これからどうしますか?」
一人の兵が言う
アテナは少し迷うが、とりあえずと言い
「主の所に行きましょう、こっちが消えたと言う事は死神もいなくなってるはずよ」
全員が了解と言い、主がいる場所へ歩き始める
一つ砂漠の山の奥にいるはず・・・無事でいてね、主
今、主はあり得ない光景を見ていた
死神に向かって銃を撃ち、勝つのを確信していた・・・が
銃を撃った途端目の前がぐねぐねとなり、死神が消え、銃弾はその奥の砂漠に当たる
そして少し離れたところに傷を負って座り込んでいる死神部隊全員と一人の男が立っている
それに主は見覚えがあった、黒い戦闘服に黒いマント、なにより口元が隠れた黒いマスク・・・そう、その男こそ
「死神・・・ッ!!!」
そして、その男が主の方を振り向く
「久しぶりだな・・・主・・・」
主はすぐに男に向かって走り出す、全力で走る
「死神ィイイイイイイイイッ!!!!」
こいつこそ、俺の知ってる死神・・・闇軍のトップ
そして、今回の最大の敵・・・!
男は走ってくる主を見ながら
「その名前、懐かしいな」
主が男のもとまでくる、そして刀を振り上げる
「お前に、俺の名前を教えてやる」
男が自分の腰につけていた刀を持ち、抜く
そして主が振り下ろす刀をはじく
「!!・・・クッ!」
主は1.2歩後退する
そして男が言う
「俺は闇の世界の王であり、闇軍のトップ・・・冥王・・・冥王ハデスだ」
そう言うとハデスの体から黒い霧が放出され、主とハデスを囲む
「さぁ・・・始めよう」
主が構える、わかったのだ・・・逃げられないこともこれがこの戦いの最後の戦いなのも
ハデスの手元に黒い杖が現れる、杖の先には紫色の玉がついている
「来やがれ・・・裏切者が・・・!!」
ハデスが杖を構え詠唱する
「冥王の名のもとに集え、闇の冥力よ・・・神の殺戮!」
闇の斬撃が主をめがけて来る
だが、主は落ち着きながら、抜刀の構えをする
「抜刀・・・神斬!」
主も斬撃を飛ばす、そして二つの斬撃が触れ、爆発をする
煙と砂で視界が見えなくなる、が
「おらぁああ!」
主が刀を振り、煙と砂を飛ばす、すると
ハデスが抜刀の構えで、目の前にいた
少し書き方を変えてみました、これからも少しづつ変え、自分に合った書き方を見つけていきたいと思います。
少しでも気になるところがあれば教えていただけると幸いです!
感想も良ければお願いします!