9 思い出
なかなか忙しい日々で書きづらいです。
ネタはたくさんあるんですけどね〜(苦笑)
はやく助けたい。
そんな思いとは裏腹に体は動かなかった。それもそうだ。これも予定通りなのだから。
「・・・とりあえず」
まずはこのモンスターが先だろう。モンスターは完全にエルナを見据えていた(目はないけど)。
(このモンスターは目がない。光属性のフラッシュでの目潰しができない・・・)
そこまで考え頭を振った。
(弱気じゃダメ・・・そんなのじゃ勝てない!あの時みたいに守ってもらえないんだから!)
そういい、モンスターの足元に光弾を撃ち込んで地面を崩した。その崩壊にモンスターの足が食い込んだ隙にエルナは逃げだした。
(きっと彼が、救ってくれる。約束・・・してくれたから。)
そういい、昔の出来事を思い出していた。
これは夢だ・・・。わかっていても覚めないこの映像。昔の記憶が目の前を流れている。
あれは、近所の公園だった。
小学5年生の頃だ。夏純が風邪をひいて学校を休んでいた日。俺はクラスメイトとして、そして幼馴染みとして学校のプリントを持っていく途中だった。いつも近くを通る公園。しかし、その日の公園は少し違った。
いつも、この時間帯には人がいないはずなのだが。その日は6人くらいの集団が何かを囲んでいた。気になった俺は近づいて見てみた。すると、その集団の中心にいたのは銀髪の小さめのツインテールをした女の子だった。その子はこの集団にイジメられていた。その子と目が合った瞬間。彼女の口が動いた。声は物凄く小さく、聞き取りにくかったが確かに聞こえてきた。
たすけて・・・
と。
そこからは早かった。その集団を相手に俺は、
「イジメてるってことは、イジメられる覚悟はできてるんだよな?」
もちろん、その集団はこっちを見る。表情はお怒りだ。
「なんだよ、チビ。文句あるのかよ」
その集団の1人・・・リーダー格だろう。そいつがでてきた。全員俺より身長が1回り高い。きっと小学6年生だろう。
「集団で1人をイジメてるやつに文句がない奴がいると思うのか?」
その頃は既に格闘術の基礎は習い終えていたので勝てる自信はあった。
予想通り3分後。
ボロボロになったイジメ集団は走って逃げて行った。そして俺は思った、
(やっちゃった・・・)
と。小学生の頃、格闘技が少しできるせいで周りに凄く怖がられていた。夏純は俺のことを理解してくれていたからずっといてくれたが、周りは違った。
(また怖がられてしまう)
そう思った時だった。
「ありがとう・・・」
そう、彼女から声を掛けられた。俺はビックリしながらも。
「・・・怖くないの?僕のことが怖くないの?」
と、聞いてしまった。
しかし、彼女は
「なんで?君は私を守ってくれたでしょ?なんで怖がらないといけないの?」
と。
当たり前の様にそう言ってきた。
俺は思わず泣いてしまった。
「え、ちょっ、なんで泣いちゃうの!?
もしかして痛いの!?」
と、彼女は大慌てだったがどうでもいい。俺は泣きまくった。この日、人を助けても怖がられた少年が初めて、
人を助けてよかった。
そう思えたのだ。
彼女は、自分についた土や泥を無視して俺についた泥を払ってくれていた。
泣き止むと同時に彼女は
「もう、行かないと」
と、言って立ち上がった。
俺も立ち上がり、
「また・・・またなにかあったら助けるから!どこにいても、どんな時でも・・・絶対!絶対に助けるから!」
そう言った。
彼女は微笑み、
「ありがと」
と、言った。
そして、彼女は歩きだし・・・少しして振り返った。
夕日を背にした彼女は銀髪が綺麗に光ったりして綺麗だった。
「あなたのお名前は?」
俺は聞こえるように、伝わるように大きな声で言った。
「僕は、陽綺!相川 《あいかわ》 陽綺!君は?」
彼女は
「私の名前は・・・」
彼女の声は近くを通ったトラックによりかき消されていた。しかし、俺はみていた。彼女の口の動きを。名前は
「・・・エル」
ここで夢は途切れた。
目が覚めるとそこはあの夕日が綺麗な公園ではなく。冷たく、暗い洞窟の中だった。
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