表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生チートの復讐劇  作者: 黒咲 夜羽
第3章 決戦
48/51

43 転生チートの復讐劇

「・・・チッ、まだ生きていたか」

「オマエェ、ソノスガタハァ」

俺の姿・・・いや、髪の色が変わっていた。

黒一色だった髪色は、まるでエルナの様な銀髪へと。

「・・・エルナは?」

「ここよ!でも・・・!」

エルナはまるで、火が消える寸前の様に明滅していた。

「・・・ありがとう、エル。」

「そんな顔しないでよ・・・ハル。力を託したのは・・・私の意思・・・。この因果を・・・そして、あのハルを倒して・・・憎悪から救ってあげて」

「・・・わかった。エル・・・いや、夏純の気持ちは俺が受け継ぐ」

「ハル、私も手伝うわ」

「夏純・・・。わかった。一緒に2人を弔おう。誰でもない、俺達の手で!」

俺の右手には復讐刃イヴ、夏純の手にはルスが握られている。

「今からお前を、このふざけた因果(復讐劇)から」

「救ってあげる、ハル」


「「神崎流神剣術 "神刀羅刹しんとうらせつ"!」」


2人で正面から突っ込む。

狙いは首。

その2人の神速の太刀を魔王は防いだ。

だが、2本の剣は魔王の腹部を貫いた。

「ナ、ナゼダァ・・・フセイダハズ」

「ああ、そんな時間軸もあったな。

俺達は防がれた瞬間にお前を過去に送って、斬る数瞬前に俺達が戻る。絶対に防げない神の太刀さ」

我ながら反則な技だ。

チートをチートでねじ伏せる。

時間まで干渉してしまうとは。

「じゃあな、陽綺。魔王としてのお務めご苦労。・・・来世こそ、夏純を頼む」

最後の一言を聞いた瞬間、魔王は一瞬穏やかな顔になり

「・・・アリ・・・ガト・・・」

そう残し粒子となり消失した。

「ハル・・・」

「夏純・・・。あの約束、今なら果たせそうだな」

「約束?」

「あぁ、戻ったら俺の気持ち話すって・・・言っただろ?」

「・・・覚えてたんだ?」

「もちろん、そろそろ自分の意思に素直にならないとな」

「・・・それで?」

「俺はお前が好きだ。この世界でも、異世界でも誰よりも!心から大事に思ってる」

「ハル・・・!」

夏純はうっすらと涙を目に浮かべ、陽綺へと飛びついた。

「私も!大好き!」


これで一件落着・・・といかないのが俺たちだ。

エルナの力を受け継いだ俺は元の世界へ戻れる可能性を感じ試した。

結果から言うと成功したのだが・・・。

「なんで吸い込まれるのよ!」

夏純が叫んだとおり、白い楕円型ゲートに吸い込まれたのだ。

そして

「キャーーーーーーー!」

青い空、青い海、地平線に見える島々。

そう。

何故か上空に転移させられた。

「ルス!夏純を浮かせてくれ!イヴ頼む!」

「そ、それがマスター。」

剣から聞こえる申し訳なさそうな声。

「魔術は空気中のマナが無いと使えません。この世界魔力無いのですが・・・」

「ま、マジかよ・・・手はないのか!?」

「・・・微かに残るルスとイヴの魔力を合わせれば精霊魔術は発動できます・・・。しかし、1人しか浮かせれません・・・」

「なら答えは簡単だ」

俺は復讐刃を夏純に投げた。

夏純は慌ててキャッチしながら、叫ぶ。

「ちょ、ハル!」

「イヴ、やれ!」

「・・・わかりました・・・」

夏純の背中から黒と白の羽が1対現れる。

自然と、浮力が生まれた夏純と違い俺は落下スピードで加速する。

「ふむぅ、どうするか」

いや、魔術ではなく魔法なら発動できるんじゃないか?

魔術は空気中のマナを使うが、魔法は体内の魔力を使うはず・・・。

「やってみるか!」

想像するのは飛行機、鳥。

「・・・・・・いや、キツイぞこれ」

もう一度、想像する。

鳥、飛行機・・・

(ハル・・・)

ふと、エルナの顔が浮かんだ気がした。

「エルナ・・・」

死んだら、会うのだろうか。

しかし、そんなマイナス思考に反して俺は謎の浮力に包まれた。

「えっ!?」

俺の背中にはまるで天使の様な翼が生えていた。

「・・・最後までエルナに助けられてしまったな」

俺達はゆっくりと海面に落ちた。


──────────────────


その後話としては、アメリカからの大型船タンカーに拾われた。

目的地が日本ということでそこまで乗せてもらうことに。

・・・ちなみに、夏純が英語を全て通訳してくれた。

ビショビショに濡れていた俺達は個室に案内されタオルや着替えを貸して頂いた。今は個室についていたシャワー室に入っている。

「・・・長いようで短かったな」

俺は上着を脱ぎながら独り言の様に呟いた。

「どういうこと?」

「いやさ、夏純が死んで異世界に転生して助けに行ってさ。あんな強敵達と戦って・・・それで生き延びた。1年も過ごしてないはずの時間がとても長く感じた」

「あ・・・そういえば、そうだね」

真後ろから聞こえる布が擦れる音。

「沢山の敵を葬った」

「でも沢山の人を救った。その2つは事実よ」

ベチャ!

と、下のタイルに水分を大量に含んだ制服が脱ぎ捨てられた音がした。

「いや、なんで俺の真後ろで脱いでるの!?」

「いいじゃない、前は恥ずかしがったけど・・・もう、今更感がしてきたわ」

「いやいやいやいや!貞操守ろうよ!」

「別にいいじゃない、それとも私の裸は見たくない?」

「見たい・・・じゃなくて・・・」

「私達、今18歳よ?

・・・子供ができてもおかしくないわ」

「あなたは何言ってるんですかねぇ!?」

ツッコミ入れながら振り向くと

「本気で裸でいらっしゃるだと!?」

慌てて視線を背ける。

すると、背中に触れられる感触がした。

「ちょ、マジで──」

「怖かった」

か細い声が後ろから聞こえた。

「・・・え?」

「怖かった!殺されて!気づいたら檻の中!最後なんて国を巻き込んだ戦争のリーダーをさせられた!みんなの命が散る度に悲しかった!遺族から恨まれるのが怖かった!」

「夏純・・・」

「でも、ハルが居たから・・・。ハルがあの檻から助け出してくれた。あの地獄の様な世界から・・・一緒に居てくれるだけで嬉しかった」

「・・・・・・」

「私、頑張った・・・だから、ご褒美くらいいいじゃな──」


「マスター、私達も濡れているのでできるだけ早くお願いします」

ドアの奥から聞こえるイヴの声に驚く2人。

剣を持っていると何かと聞かれたり捕まったりしそうなので、イヴとルスには人になってもらっていた。

もちろん、海でなってもらった為2人ともビショ濡れだ。

「わ、わかってるわよ!すぐ終わらせるから」

「お、おう!そうだ!」

「・・・マスター達。もしかしてお2人で入っているのですか?」

「「ギクッ」」

し、しまったぁ!

「それなら〜私達も入ろう〜」

ルスの声と共に、イヴはルスに押される形で入ってきた。

「ば、このシャワー室狭いんだぞ!」


きっとあの2人の・・・別の時間軸の俺達(転生チート)の復讐劇は終わったのだろう。

はい、最終話です。

ですが後日談もあるので、是非見てください!

来週の土曜の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ