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転生チートの復讐劇  作者: 黒咲 夜羽
第3章 決戦
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番外編3 New Start

 

「...と、いうわけなんだが...とりあえず各々構えている武器を下ろそう?」


 話を聞くこと数分。

 この骸骨、ガルドという名前で元はこの国に仕えていた宮廷魔術師だったそうだ。しかし、妻とこの洞窟に移り住み、共に寿命を迎えたそうなのだが何故か分類的には魔物である生きる骸骨、ワイトマンとして目覚め、時々この洞窟へとおとずれる冒険者を今の魔法を使い、驚かしていたようだった。


「まぁ...アンデッドが生前の自我を保ったまま再び生まれ落ちるという話は聞いたことありますし、危害を加えるようなつもりもなさそうなんで大丈夫ですかね?」

「そうだな...」

「いやぁ物わかりのいい若者達でよかった」


 俺達が構えていた武器を下ろすと、どうやって動かしているのかわからないがその骨の顔には喜びの表情が見えた。


「それにしても一体なんでこんな洞窟に奥さんと移り住んだんだ?宮廷魔導師だったんなら生活に困ることもなかっただろうに」


 ふと生まれた疑問を口にすると骸骨―ガルドはその顔に影を落とし、悲しげな表情で話した。


「お前達はまだ生まれてなかっただろうが...あの頃、この国は他国と戦争に明け暮れていた。丁度、魔法が更に発達してきた時代でな、魔法がただの人殺しの道具へと変わっていった」


 きっと彼の体に今、涙を流す機能が残っていたのならば涙が頬を垂れ、地面に滴り落ちるほどの悲しみを語っているようだった。


「儂たちの魔法は民家を焼き払い、人を撃ち抜き、死体の山を造り上げるだけの兵器となってしまった」

「それは...」


 俺はこの骸に軽い気持ちで理由を聞いてしまったことを恥じた。その辛さを推し量る事が出来るほど、俺はまだこの世界を知らない。


「なんか...思い出させちまったみたいで悪かった」

「ふふ...別に良いさ」


 謝罪の言葉をガルドに示すと、彼は悲しそうに笑った。


「儂はな...魔法は人を喜ばせるためにあるんだと考えていた。初めて魔法が使えた時、それを他の人に披露した時、生活の中でそれを役立てた時、自分の弟子が初めて魔法を使えるようになった時。ただ、嬉しかった。どれも、人を殺す為の魔法なんかじゃない。使い方次第で人を殺す兵器になるとわかっていても、儂はそんな事のために使う物だなんて考えもしなかった」


 ガルドは昔を思い出したのか、歓喜の表情を浮かべた。きっと、本当に彼は人の為に魔法を学び、人の為にその力をつかってきたのだろう。


「妻も、儂と同じ考えでな。いつか二人で人を喜ばせる為の魔法を使い、そんな店を出そうなんて良く話していたよ」


 彼は笑いながらそう語る。だが、骸の顔面にはまた影が宿った。


「そんな折に、戦争が始まった。勿論宮廷魔導師として、儂も戦争に駆り出された。そして...今まで人を喜ばせるため、楽しませるためだけに使ってきた魔法で...人を殺めた」

「ガルド...」

「何百、何千と人を殺したよ。罪のない子供も、幸せに暮らしていた夫婦も、等しく平等に敵として。いつ終わるかもわからない戦争で、これ以上儂と、妻が好きな魔法が、殺戮兵器として使うことに耐えられなかった。見ていられなかった。だから、儂たちは逃げた。この洞窟に移り住み、そっと戦争を...人の醜悪さを憎んだ」


 そこまで話したところで、ガルドは暗くなってしまったな、と咳払いをした。


「まあ、そういうわけだ。あ、ちなみにさっきの幽霊は儂と妻が共同で作った魔法でな。びっくり箱の要領で人を驚かし、楽しませようと思って作った。儂も妻も人を驚かせるのが好きでな、いきなり驚かせてすまんかったな」


 笑いながら、ガルドはこちらに謝罪してきた。

 いやまあ実際楽しんでた子はいますけどね...怖かったんです。それ以上に。


「あれ骨のおじいちゃんが自分で作ったの!?」

「あぁ、そうだよ。楽しんでくれたかね」

「うんうんうん!!すーっごい面白かったよ!!」


 ガルドは、リンドのその答えを聞き、目を見開くような仕草を取り、今度は嬉し泣きをしているかのような表情で笑った。


「そうか...そうか...それは...よかった。...本当に、良かったよ」

「えへへへへへー」


 彼はそう言って、リンドの頭をくしゃくしゃっと撫でた。


「しかしまあ、実際すごいと思うぞ?二種類の幽霊を作って、遠隔操作も出来るなんて、俺にはそんなこと出来なかった」

「ふぁ?二種類?遠隔操作?何の話だ?」


 俺は、彼とその妻が作った魔法に素直に賞賛を向けたのだが、当のガルド本人はなんのことがわかっていないらしい。


「いやだから、ほら。俺達に見つかる前にさ、1回半透明な幽霊で俺達を追いかけただろ?」


 少し、嫌な予感が頭をよぎりつつも、俺は彼に確かめてみた。すると、やはり嫌な予感を強めてくれる言葉をガルドは発した。


「なんのことかさっぱりわからんぞ?儂と妻が作り上げた魔法は赤、青、黄色、黒の幽霊を作って、それを操るだけだ。半透明な幽霊なんぞ作れん。しかもそれを維持させるには半径5m以内におらねばならんのだが...」

「「それってもしかして...」」


 夏純とエルナが言葉を綺麗にハモらせた所で、俺の悪い予感は的中した。


『クェェェェェェェェェェエエエエエェエエエエェエ』

「な、ななななんじゃありゃあ!?」

「「うひぃやぁぁぁぁぁぁあ!」」

「またお化けー!」


 ガルドはあるのなら目玉が飛び出そうなほど驚き、夏純とエルナは言わずもがな。リンドはやはりさっきよりも更に興奮していた。


 あれを作り出したのは俺でもガルドでも無く、そもそも魔法の反応が無い...と、いうことは...。


「全力で逃げろおぉぉぉおおおおお!!!」



「もうやだぁぁあ怖いよぉ!!!」

「...ブツブツブツブツ...やはりもうこのままこの洞窟ごと灰にして...」

「本物ってことなのかあれは!!なんじゃ、楽しくなってきたぞ!」

「お化けお化けー!あはははははは!!」


 皆各々の思いを口に出し、大声で叫びながら走った。どうやら今回はこの幽霊も見逃してくれないようだ。いつまでも追いかけてくる。


「くそぉお!どうすればいいんだよ...ッ!?」


 ずっと逃げ続けた。しかし宛もなく走り回っていたため、追いつかれてしまいそうになったその時。俺達の前方に光が差し込んだ。


「出口だ!!走り抜けろぉぉぉぉぉぉお!」

「...まって!!あなた!!」


 俺達が出口へと踏み出そうとした時、その声は響き渡った。


「「「「え?」」」」


 その声が聞こえた方向―つまり、俺達を追いかけていたゴーストのいる方向に目を向ける。

 そのゴーストをもう一度はっきりと視認すると、ガルドがその場に震えながら膝をついた。


「ミーナ...ミーナ、なのか?」

「あぁ...ガルド。やっと、やっと分かってくれた。久しぶりね、あなた」

「え?...............え?」

「「「どゆこと?」」」


 抱き合おうとし、しかし触れられないでその場に倒れた骸骨と、抱きしめた格好のままその場に静止する半透明な幽霊。そしてそれを見て首を傾げる四人組という果てしなくカオスな状況がここに広がった。




「...んと、驚かしすぎてごめんなさい。私が目覚めたのってほんとに最近だから、ついつい人の反応が面白くって」


 てへ、と笑いながらこちらに謝る幽霊―ミーナ。


「いやぁ本当にこんな性格の妻で申し訳ない」


 感動の出会いの反動なのか、にやけ面のままこちらに謝る骸骨―ガルド。

 どうやらこの半透明な、本物の幽霊、ミーナはガルドの話に出てきた妻であり、つい数日前に目覚めたのだそうだ。その数日間は、この洞窟内を散策し、もしかしたらガルドも自分と同じような姿で目覚めているかもしれないと探し回っていたらしい。




「戦争は...もう終わってる。でも、もう儂たちでは人を喜ばせる為に魔法を使うことなんてできないな」

「こんな姿だもの...しょうがないわよ」


 二人は悲しげに、それでいてもう諦めたように笑っていた。


 約十数分。二人は思い出話に花を咲かせていた。

 そして俺達はこのままではガルド達が浮かばれないと、何かいい案を捻り出すべく頭を抱えていた。するとリンドが閃いた、とでも言いたげな表情で叫んだ。


「...お化け屋敷!!」

「「「あっ」」」

「ん?な、なんだ?そのおばけやしきというのは」

「...ここは崩落してて危ないから...」

「...つまり、街の近くの洞窟に移り住んで...」

「...看板とか作って広告も出して...」

「...うんうん、いけるいける」


 ガルド達を会話から置いてけぼりにしながら俺達は皆で円を作り、作戦を練った。


「お、おーい?お前達?どうしたんだ?」

「ガルド」

「ん?」


 話を終え、俺はガルド達に向き直りニヤッと笑った。


「お前達の夢、俺達が叶えさせてやるよ」




「んあ~。疲れたぁ」

「洞窟を1つ、丸々改装するのは流石に骨が折れました...」

「でも、これでもう大丈夫なんじゃない?」

「そうだなぁ...あの二人なら、この先もどうにかやっていけるさ」

「私も頑張った!!...からまた皆で遊び行こーね!」

「あぁ、そうしよう。...っと、そろそろ出発するぞ?依頼が詰まってるんだ」

「「「おー!!」」」


 街を出る時、チラッと掲示板に目を向ける。そこには、【ガルドのお化け屋敷・オープン!!】と、書かれているチラシが所々に貼られていた。


 そして、街近辺の小さな洞窟から毎日のように「クェェェェェェェェェェエ」という叫び声と楽しそうな子供の笑い声が響き渡ることに、そう時間はかからなかったらしい。


「おかしい・・・」

エルナは1人、自室で考え込んでいた。

「こんなの、私は知らない・・・」

はい、番外編3です!

予定してる番外編はこれで終わりですが、完結しても書けそうな内容などあれば書こうかなと思います!

本日は本編と番外編2話を投稿するので、本編もよろしくお願いします!

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