38 降臨
「私が最初に魔法でできるだけ殲滅します。それで魔王軍の数をできるだけ削るので、そこからお願いします。私は途中でエルナや陽綺と合流して魔王を叩きます」
「で、ですが。・・・もしも合流できなかったら?」
夏純は意を決意して、言った。
「その時は・・・私1人でも挑みます。最悪、時間稼ぎはするので・・・もしもの時は逃げてください」
夏純はそう伝えた。
自分よりも他人が優先だと。
自分よりもみんなが生き残ってくれと。
しかし。
「バカヤロー。ここまでやってもらって、危険ですから逃げます。なんて言えるか!なぁ、お前ら!」
「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」」
大人数の声が重なる。
「みんな・・・。・・・今回の作戦は防衛ではなく攻撃です。罠もなければ戦略とも言えない強行手段です。
・・・それでも、ついて来てくれますか?」
全員は一瞬顔を見合わせ。
「何を今更!」
「そうだそうだ!そもそも、死を恐れてたら冒険者なんてやってねぇよ!」
「そうだな!」
「それに、俺達はアンタ達が希望なんだ!どの道アンタ達が居なければ俺達は道標を失っちまうんだ。最後まで付き合うぜ!」
夏純は「ありがとう」と、言いかけて。
これは違うかなと思った。
この時・・・彼ならきっと・・・。
夏純は、全員に背を向けて敵の大軍が迫ってきてる方角へ向く。
「全員、ついてこい!」
彼ならきっと、こう言うから。
『『おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』』
人間の、魔王軍への攻撃が今・・・始まった。
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「・・・本当についてくるのですか?」
俺は元聖騎士団長に声をかける。
「・・・もう守るべき王はいませんし。私はあなたについて行こうと思います」
「・・・そ、そうですか・・・」
なんか、一瞬告白みたいでドキッとした。
アリサさん、年上の魅力とか・・・そうゆうのがあるから理性を揺さぶられてしまう。
落ち着けぇ。俺、落ち着けぇ!
ほら、素数を数えろ・・・。
素数ってなんだっけ。
うがぁぁぁぁぁぁ。
そこでふと、夏純の顔が脳裏を過ぎる。
・・・そうだよな。俺はやっぱりアイツじゃないと。
「?どうしました?」
アリサさんの突然の質問にドキッとしながらも、なんでもないです。と、なんとか答えた。
「それと・・・恥ずかしい話。私、飛べないので・・・その。」
あぁ、そうか。俺が運ぶのか・・・。
俺はアリサさんをどうやって運ぶか迷っていると。
「あ、少し待ってください」
そういい、突如脱ぎ始めた。
・・・え?
「う、あ、あれれ?とれない」
必死になってる姿が可愛い。
いや、それどころじゃない。いったい何を!
「ん、んん。これで・・・よし」
最後の・・・鎧が外れて地面に落ちる。
「よし、これで鎧全て脱ぎました。これで少しは軽くなるかなと。」
「・・・あ、あぁ、なるほどね!うん。わかってた。何も期待してませんよ!」
「え、ええ?ど、どうしたのですか?」
俺の荒ぶり方に不思議そうにするアリサさん。
・・・これ以上精神攻撃するのは辞めて頂きたい。
──────────────────
迫り来る魔物の群れ。
人型、昆虫型、動物型、翼竜型。
様々な魔物がエルナを攻撃しようと迫る。
「くっ、【ブレードリュミエール】!」
右手に生成した光の剣で敵を斬り裂く。
銀色の髪は、所々魔物の返り血を浴びてしまい、1部赤になっていたり紫担っていたりする。
「【天理・スピア・ザ・レイ】・・・【巨大化】」
天理と魔法の融合。
巨大な力を持ちながら応用が利かない天理。
小さい力ながらも応用の幅が広い魔法。
その二つが重なることで、応用が利く巨大な力が生まれる。
生成されたのは巨大な槍。
それも、ジャンボジェット機の様なサイズだ。
それを
「てぇぇぇぇやぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」
敵の中心へ向かって投げる。
敵を紙のように容易く薙ぎ払い、貫き、引き潰しながら魔王軍中心部まで進み、
「拡散!【セイクリッド・アロー】【クロス・ルイン】!」
槍が弾け、地面と水平に十字のレーザーと360°埋め尽くす光の矢が放たれる。
魔物は溶け、穿たれ。
様々な散り方をする。
これで魔王軍自体は最初の1割近くまで減っていた。
「・・・ごふっ!げほっげほっ!」
思わず地面に座り込み、下に向かって咳き込む。
地面は血反吐に濡れ、視界が赤く染まる。
血の涙だ。
血涙、鼻血、吐血。
既に5感が薄れ自分がどんな状態かもわからない。
「・・・ヒ【ヒール】」
少し五感が回復する。
さらに、視界を優先して回復させた。
そのせいで。
見たくないものを見てしまった。
オークだ。
あの、有名な、オークだ!
もう一度言(ry
「い、いや・・・嘘でしょ!?待って!」
オークのニヤついた顔。
(あ、これダメだ・・・。どうせならハル──)
その、瞬間。
黒いレーザーがオークの頭部を撃ち貫いた。
「なにしてんだよオーク如きが。」
聞きなれた声。
「大丈夫か?エル?」
大好きなあの人の声。
「まったく、俺の彼女に手を出さないでほしいぜ」
だからこそ・・・憎い。
憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。憎い。
「その声でっ!私を呼ぶなぁっ!」
エルナは渾身のストレートを放つ。
しかし、白いコートを着た陽綺の顔をした誰かは止めた。
「危ないな。助けて貰った人にその対応は」
肩を竦める陽綺。
それはエルナを更に怒らせた。
「アンタが仕掛けてきたんでしょうがっ!」
エルナは魔法を放とうと右手を男に向ける。
「はぁ・・・。【レジスト】」
突如、手の平に集まっていた魔力が霧散し、魔法がキャンセルされた。
「っ!それなら!」
エルナはブレードリュミエールを咄嗟に生成し、振る。
剣は喉に迫る軌道を描いている。
「だから、効かないって」
男の右手が剣を掴み・・・握りつぶした。
「なん・・・でっ!」
魔法が全て打ち消される現象。
「なぜ?当然だろ?」
男は当たり前のように言った。
「だって、エルナ。君が俺を邪神にしたんだから」
最近、バトルが多くてカロリー高いですね。
自分も思います。書いてて気づきました。
「カロリー高いよ!」
そう思われる読者のために、少し番外編?見たいなら話を来週載せようかと思います!
え、バトルが見たい?
大丈夫!
バトル・・・あるかも?
はい!まだ書いてないのでなんとも言えません!
というわけですので次回をお楽しみに!
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