37 様々な思い
目覚めは最高だった。
なんせ金髪美少女の膝枕だからな!
はい。ごめんなさい。そんなこと思ってる余裕ありませんでした。
俺が目を覚ました時に見えたもの。
それは低い天井だった。
いや、本当は天井ではないのだが・・・。
(アリサさん、胸がでけぇっ!)
そう、視界を覆っていたのはでかい胸だった。
眼福です!
「あ、気づきましたか?」
「デカイことに?」
「はい?」
「あ、いや、なんでもない。えーと、あ、そうか・・・俺はイヴに気絶させられたのか」
俺は気絶させられる前のことをすんなりと思い出せる程には気絶に耐性が出来てきた。
・・・いや、気絶させられてるから耐性付いてないのか?
「えっと、イヴ・・・というか俺の精霊魔剣知らない?」
ずっと起きて、俺の目覚めを待っていたに違いないアリサさんに声を掛けると
「え、ええと、先程出ていったきり戻ってなくて・・・」
戻ってない?
まさか、アイツ1人で!?
「さり気なく私の事忘れてませんか~?」
「うおっ!?」
起き上がりアリサと対面して座っていた俺の頭に柔らかい物が乗った。
その柔らかさのせいで、俺の頭の形に変形始めてるが・・・。
「ルス?」
「そうですよ~。ちなみにイヴはそろそろ帰ってくると思いま~す」
「帰ってくる?」
てっきりあの白コート追いかけたかと思ったのだが・・・。
その思考を打ち切るかの様に、ガチャリとドアの開く音がした。
「戻りました・・・マスター、目覚めましたか」
「お、おう」
「しっかり休めたようでなによりです」
「休め方は無理やりだったけどな」
皮肉混じりに言うと。
「すみません。でも、マスターに休息を取ってもらわないと・・・本当に危なかったので」
今冷静に考えると、確かにそうだと思う。
俺が苦しんでいなかったぶん、2人に負荷がかかっていたのだろう。
「・・・すまない。冷静になってなかった」
「そんなことより~、体の調子はどう~?」
「調子?」
そう思い気づいた。
調子が良すぎる。
「休んだだけでこんなに良くなるもの・・・なのか?」
「い、いえ!その、私と・・・」
「私達2人で回復魔法かけ続けたのよ~。
闇属性が強いせいで回復にすこし時間かかったけどね~」
「う、なんかすまん」
「いいよ~。寝顔にみんなで癒されてたから~」
・・・え?
チラッとアリサを見ると・・・サッと顔を背けやがった!
背けて入るものの少し見えてて・・・
・・・顔を赤くしてヨダレでてるんだが。
「って、そうじゃない!アイツ追いかけないと!」
「そう言うと思って」
サッとイヴが俺に3個の包を渡した。
「おにぎりです。
これで移動しながら栄養補給可能です」
「お、おう」
形は少しめちゃくちゃだが・・・
「ありがとう。ちょうど腹減ってたんだ」
俺は受け取り・・・咀嚼する。
「・・・!?め。めちゃ・・・」
この鼻ツーン感。
「具がワサビのみって何!?」
「流石マスターです。初手でハズレを引くとは・・・」
「ここでそんなロシアンルーレット入れるとは思わなかったぞ・・・」
マジでツーンでするんだが・・・。
本気でやばい・・・。
「まったく~、そんなにツーンってする訳ないでしょ~」
そういい、俺の食いかけを・・・
「え、それはまず──」
カプッ。
モグモグ。
ゴクン。
「え、ちょ、ルス?」
「ほら~、全然なに・・・も・・・んんっ!」
ルスが一瞬物凄い顔をしたと思った瞬間。
「うぅ・・・」
うわ、涙になってる・・・。
「お、おいルス?大丈夫か?」
「は、鼻ツーンって・・・したよぉ~」
「やっちゃったか」
俺は他のおにぎりに疑いを持ちながら
「いくか・・・アイツの所に」
──────────────────
幹部全員の殲滅を確認し、あとは残党処理に入ってた夏純率いる防衛隊。
順調に処理は進みつつあった。
「夏純さんの指揮で最大の危機も軽く超えれましたな」
「これは魔王も頭を抱えてるでしょうな」
と、兵士達の気は緩みかけている。
(本当に魔王は頭を抱えているのだろうか?)
夏純は今回の魔王軍の動きが不自然すぎると思った。
敵もそうだが、魔王幹部の動きもおかしかった。
「夏純さん!大変です!」
そんな、思考を遮る叫び声が耳に届いた。
「・・・どうしました?」
夏純の冷静な対応を見て、慌てていた兵士も少し落ち着きを取り戻した。
「・・・今、遠方連絡部隊からの連絡が来ました。・・・魔王幹部を大幅に超える魔力量の所持者を2つ確認。
その2つは大量の魔物を率い・・・こちらに向かっています!
その数は先程の100倍規模の模様!」
パリィん。
誰かが・・・もしくは自分だろうか。
コップの割る音と共に焦燥感が襲う。
(さっきの100倍?嘘でしょ。
先程の襲撃は比較的に楽と言っても、負傷者はでているのよ?ここの人数じゃ・・・相手にできる数じゃないわ。例え全員出しても・・・魔王らしき2つの相手、私が引き受けるには重すぎる・・・)
「・・・エルナは?エルナは遊撃にでていたのでしょ?今、どこにいるの?」
現在、唯一の頼みの綱に縋ろうと聞くが
「それが・・・この報告を同時に聞き、この事の報告と伝達を伝え・・・1人でその軍団の方向へ・・・」
「1人で!?」
本気で頭が混乱し始めた夏純。
どういう神経でそんな思考に至ったか理解できない。
「・・・冒険者や騎士団全員に通達。後方支援をしていた冒険者含めて、戦える人を1人残らず戦闘配備。今度は守らずに・・・逆に攻めます。戦闘できない人は早急に避難させて下さい」
守れない・・・ならば攻めるしかない。
それが夏純の決心だった。
しかし、それは逆に戦う人の死亡率を上げる行為だった。
(どうすれば・・・いいのよ・・・)
──────────────────
「・・・なんで・・・なんでいつも!」
エルナは怒りに任せて、魔法を魔物の大軍へ撃つ。
「なんで最後にはいつも私の前に立ちふさがるのよ!」
星のように無数に輝く光の矢。
矢は流星のように輝き無数の魔物を貫く。
しかし、居なくなった事を気にしないかのように魔物達は攻めてくる。
「【天理・ホーリーレイ】!」
視界を埋め尽くすほどの極光が魔物を焼き払う・・・いや、消失させた。
「【ホーリーレイ】【ホーリーレイ】【ホーリーレイ】っ!」
次々に消えていく魔物達。
それに伴いエルナの消耗は激しくなる。
「天理」。
それは女神や天使などの天界の住人が使う事を許された事象。
しかし、女神として顕現してない今。
その力を振るうには適していないのである。
「なん・・・で・・・。ゲホッ!ゲホッ!」
口元を押さえて咳する。
しかし、手に何かが付着する感覚があり、見てみると。
「・・・血?」
吐血していた。
その事に気づくも、
「ハァッハァッ。【天・・・理っ!ジャッジメント・レイ】!」
エルナが視界に認識した悪全てをホーリーレイで穿つ事象。
「やっぱり・・・天理はキツイ。魔法に切り替えようかな・・・」
しかし、その隙を与えないように魔物が襲ってくる。
「絶対に・・・魔王は私が殺す!」
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