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転生チートの復讐劇  作者: 黒咲 夜羽
第3章 決戦
37/51

35 象徴

前回から投稿が遅れてスミマセン!


元聖騎士団長、アリサ・アシュリー。

生存確認。無傷の模様。

帝王、脈無し

死因、刺殺。

凶器は持ち去られた模様。

傷から両刃の片手剣と予想。

この状況から察すると・・・。

「えーと、アシュリーさん?

現状第1容疑者になりますけど?」

俺の言葉に「はっ!」と気づいた様だ。

「わ、私では無いっ!騎士の名誉に誓って言おう」

「そう言われてもなぁ。

では、どうして死体を放置していたのですか?」

と、聞いてはいるものの、オレはアシュリーが犯人では無いと思っている。

そもそも動機が無いだろうし、現場に留まるほど馬鹿でも無いだろう。

それに彼女が目を覚ました時、彼女は帝王の死に実感が無かったようだ。

犯人が殺した事を覚えてないなんて事はそうそうないだろう。

「えっと、確か・・・そうだ・・・襲われただ!4属性の魔法使う人に」


──────────────────


エルフォード王国、外壁の頂上にて。

「はぁ。」

ハルキが帝国に向かっている時、夏純はハルキの事を考えていた。

「ハルは・・・話してくれるかな」

ハルキは地球からもう1人転生者がいる事知っておきながら自分に話してくれなかった。

それが知らない人なら『ふぅ~ん』で終わったり、いずれ会おうみたいになるが・・・今回は知り合い。

しかも、自分に好意を向けていた男子である。

「・・・っ!もしかして、ハルはそれに気づいていたから私に光井君の事を言わなかった?・・・ということは・・・ハルは私を独占しようとした?・・・・・・いや、流石に考え過ぎかな」

思考が途中からオーバーし、空回り感があった。

そもそも、自分に向けられている好意に気づけない男が、他人が他人に向けてる好意なんて気づく筈ないのだ。

「はぁ。」

「ため息28回目。幸せ逃げちゃうよ?」

隣を見ると、いつの間にいたのか・・・エルナがいた。

長いツインテールの銀髪は風に揺られ、鯉のぼりの様だ。

「幸せならとっくに逃げてますよーだ。どうせこの後ハルにも逃げられるんですよー」

この世界に来てからは、エルナやリンド。

そして、学園のクラスメイト達美少女揃いにモテモテである。

地球でも付き合いたい男子ランキング4位と、陰ながらモテていたのだ。

それが今や『狂った勇者を倒した英雄』となっている。

モテない筈が無い。

「私、個性無いからな~。

幼馴染としてしかハルに接する事ができないし・・・」

「いやいや、4つの属性を使える人が何文句言って───」

その瞬間、エルフォード内で警報が鳴り響いた。


『緊急警報!大量の魔物が我が国に向かって進行中!これは・・・魔王軍の侵略です!』


かつて無い程の音量で響いたのは、かつて無い絶望の宣告だった。


──────────────────


「4属性?それ・・・本当に言ってるのか?」

思い当たる人物が・・・居ないわけではない。

「はい。私も驚きました。まさか4属性駆使する人がもう1人居たとは・・・」

「もう1人?いや、待て。少し整理させてくれ」

犯人は4つの属性。

つまり、犯人はコウキではない。

そして4属性使えるのは夏純・・・だが、こいつは『もう1人』と言った。

「夏純以外に4属性の魔法を使える奴がいるのか」

「はい、白いフード付きのコートを着ており、フードを被っていた為顔は見れませんでした」

「・・・まて、そいつはどこに行ったんだ?」

帝王を殺し、そばに居た聖騎士団長は殺さない・・・そして、アシュリーさんの武器はコウキに与えられていた?

そして、その武器を持ち俺を殺しに来た。

・・・あまりに不自然だ。

その瞬間、窓の外から差し込んでいた日差しが途絶えた。

その瞬間。

大量の魔物。

見たことない魔物から見たことある魔物まで勢揃いだ。

それが、エルフォードの方角へ飛んで・・・または走っていた。

そして、俺はその飛んでいるドラゴン・・・と言うより龍に近いそれに乗った白いコートの男を。

「あいつかっ!」

俺は追いかけるために駆け出そうとし

『マスタ~。それ以上動くと体が~』

その声が聞こえた途端。

カクンッ。

糸が切れた人形の様に倒れた。

「な、なん・・・で」

コウキとのギリギリの戦い、そして帝国までの単独飛行。

疲労とダメージが蓄積された身体はとうとう限界を迎えていた。

「すみません、マスター」

復讐刃リベレーションからイヴの姿へ変えながら告げてくる。

「マスターの痛覚神経をできるだけ遮断していたのですが・・・これ以上戦闘するとマスターの身体が自壊しそうだったので・・・今はルスが痛覚、運動神経をカットしています」

「待・・・て・・・。まだ・・・戦え・・・る」

「それほど軟弱な相手ではありません。申し訳ないですが・・・」

イヴは手刀を構え

「少々眠って頂きます」

イヴの細い手は俺の首元に命中し、俺は意識が途絶えた。


──────────────────


「イヴ~。なんであんな嘘ついたの~?」

ルスも人に変身しながら訪ねた。

ゆったりとしたウェーブがかかった白く長い髪。

そしてイヴとは対称的に豊満な胸部。

ゆったりとしたお姉さんの雰囲気を醸し出す彼女こそ、光の精霊王『ルス』だ。

「・・・嘘はついてないです」

「でも~本当の事も言ってないよね~」

「・・・アイツとは戦わせてはダメです」

イヴの重い雰囲気にルスは気づいた。

あのコート男は普通ではないと。

「え、えっと・・・」

いろいろ出遅れたアリサは何も言えず、ただただキョロキョロとルスやイヴ、そして倒れた陽綺を見ていた。

「だ、誰・・・?」

剣から人へ、その異常さを見たことにようやく気づいたのだった。

──────────────────


その頃エルフォードでは、冒険者、衛兵ほぼ全員が駆り出されていた。

もちろん、エルフォード防衛の為だ。

そして、総隊長は・・・

「カスミさん!AからD班スタンバイOKです!」

「カスミさん!言われた通り火災対策してきました!」

「カスミさん!トラップ作成にあと5分かかります!」

そう、神崎 夏純が仕切っていた。

「トラップは急いで!」

「そしてそこの君、もしものために住民全員に避難体制を!」

夏純、陽綺。

主にこの2人がみんなの象徴となっていた。

この過酷で絶望的な状況でも、全員の指揮が下がっていないのはこの2人がいるからだ。

だから、それ故にこの先の出来事にだれも気づくことがなかった。

転生チートの復讐劇も終盤に入りだしました。

次の小説のプロットなど立てていると、時間がいくらあっても足りない状況に・・・。

これから先、2週間に1話までペースダウンの可能性も出てますが、そうならないように頑張りたいと思います!


励みになりますので、ブクマ・コメント等お願いします!

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