31 光井 光輝
光井 光輝は小さい頃から親に世間体を意識させられながら生きてきた。
小学生の時も習い事を毎日欠かさずこなしていた。
そして、中学生になった頃。それは唐突に起きた。
入学式の日、1人で帰っていた時の事だった。
俺は他人に舐められないように、性格は尖らせ、成績は1位をとるように休み時間すら勉強にまわしていた。
すると案の定、クラスで浮いた存在となっていた。
友達がほしい。一緒に帰りたい。
そんな思いが帰り道、僕の頬を濡らしていた。
「どうしたの?」
突然かけられた声。
顔を上げると1人の少女が立っていた。
正確にはその少女の後ろに1人男子が居たのだが気づく余裕は無かった。
初めて彼女を見た感想は、「かわいい」だった。しかし同時に、泣いてる顔を見られた恥ずかしさがこみ上げてしまい、逃げ出してしまった。
──────────────────
(どうしよう、逃げ出しちゃったよ・・・)
逃げ出した事に後悔しつつ、登校する早朝。
いつもの通り道を歩いていると声が聞こえた。
「なぁ、待ってたって来るかわかんねーだろ」
「でも来るかもしれないでしょ」
(・・・あの声。)
そう、女の子のほうの声は先日逃げ出してしまった女の子のものだった。
「いやさ、そもそも女に泣き顔みられたら恥ずかしくて会えないって。」
(あと男子の言う通りだ・・・)
それが原因て逃げたしたのだ。恥ずかしくて会えない。
でも・・・仲良くなりたい。
その気持ちは本物だった。
「なぁ、夏純~。もう行こうぜ~。眠いんだけどー」
「ハルはいつも授業中寝てるでしょ!」
(あの人・・・夏純って名前なんだ・・・)
当時は知る由もなかった。
これが初恋で、その少女の幼馴染みにここまで憎悪を抱くとは。
──────────────────
「やっ・・・た?」
眼下には上半身と下半身に切断された相川 陽綺の姿。
これでいいんだ。
そう、思ってしまった。
油断してしまったのだ。
だからこその結果だろう。
陽綺の残骸は、風に飛ばされる砂の様に消えて背後から剣で切り裂かれた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
思わず声がでてしまった。
なにが?誰が?
そんな疑問はすぐに晴れる。
「神崎流剣術 "月光"」
「・・・くっ」
コウキは膝から崩れ落ちた。
「どう・・・してっ!」
「・・・【幻視】。相手に幻影を見せる魔術だ。異変に気づけばすぐに解けるが・・・おかしいと思わなかったのか?血が出なかったり、俺が斬られた事にイヴが無反応なわけないだろう?」
「クソォ、いつもそうやって・・・見下しやがってっ!・・・クッソがぁぁぁぁ!」
「・・・・・・」
「なんで・・・お前なんかに・・・っ!」
「・・・なんでそんなに夏純に拘るん───」
「黙れよっ!お前は!あの人の気持ちにすら気づかず!神崎さんを傷つけてるだけじゃないか!」
「気づいてないわけじゃない。知ってるさ。夏純が・・・俺に好意を向けてるくらい。」
コウキの表情がさらに険しくなった。
「知ってて・・・。知っててあんな風にあしらっていたのか!お前・・・とんでもないクズだよ」
「知ってるさ」
「っ!【ヒーリングテリトリー】!」
瞬間、コウキを中心に半径1mが光り、コウキの傷は完全に癒えた。
「いけっ!〈フラガラッハ〉っ!」
コウキは怒声混じりで〈フラガラッハ〉に命令するが動かない。それもそうだろう。
〈フラガラッハ〉の刀身はイヴが捕まえているのだから。
コウキが驚いている間に俺は〈フラガラッハ〉の柄を蹴り飛ばした。
コウキは左手からすり抜けた〈フラガラッハ〉の柄を見て──。
「・・・クッ・・・フハハハハッ!!いいぜっ!殺してやる!殺してやるよハルキ!」
こいつ・・・本当に殺す気だ。
目を見ればわかる。どれほどの狂気が、絶望が混ざりあっているのかを。
「力を出せ!主天使!」
瞬間、コウキの体全体から金色の光が溢れ出した。
それと同時にコウキの背中から、まさしく天使の様な翼が1対2枚で現れた。
「お前を殺す為にこの力を手に入れたんだ!」
「・・・羽なら俺だって生えるぜ?イヴ、もう〈フラガラッハ〉はいいよ。【エアドライブ】」
「はい、マスター。」
俺の背中から薄紫の羽が広がる。
コウキは高く飛び上がり、俺も追撃するために追いかけた。
しかし。
「【ジャッジメント・レイ】!」
コウキの前から極太の光線が放たられる。
「ヤバイっ!」
避けるの事はできる。しかし、避けたら下の観客席に爆風などの被害がでる。
斬っても1部は観客席に飛ぶだろう。
俺は魔力障壁を展開することしかできなかった。
幸いにも光線は障壁を貫通することもなかった。
しかし、熱と勢いは殺せずそのまま地面に叩きつけられた。
たが、これでいい。
俺は叩きつけられた瞬間に自分の周りに壁を作った。爆風、熱、光に埋め尽くされた空間の中に、俺はただ耐えることしかできなかった。
──────────────────
「な、なにいまの?」
戦闘中の夏純は物凄い光と爆発音に意識がそちらに逸れた。
「戦闘中に意識を逸らすなんて余裕でもあるのぉ~?」
「っ!」
突き出された拳に私は上体を逸らして避けた。
しかし、そこに逆サイドから迫る拳。
私はそのまま倒れるようにしゃがみ、相手の両足を蹴り飛ばす。
もちろん、両足が地面から離れた相手の女性選手は倒れ込む。
私はその選手に跨り抵抗出来ないように地面に押さえつけた。
「ど、どきなさいよ!」
「なら教えなさい!あそこで何があってるのか!」
相手選手は突然笑い出した。
「それくらいもわからないの~?あそこで戦ってるのは現勇者・・・コウキ ミツイよ」
「コウキ・・・ミツイ・・・。」
その瞬間、脳裏に閃いた。
「光井・・・光輝・・・。なんで彼が・・・」
いや、その事をハルは知っているのか。
「知って・・・いるんだろうな」
試合前の元気がないハルに説明がつく。
「今のうちに!」
突然、少女が抜け出そうとしたので。
「神崎流格闘術 "牙狼"!」
相手女性選手の腹部に打ち込み、気絶した相手を放置した。
周りの観衆からは拍手や口笛、歓声が飛び始める。
「ごめんなさい、あなたとのお遊びに付き合ってる時間はないの」
そう言い、夏純は陽綺の戦っている会場へ走り出した。
ブクマ15人に増えました!
みなさんのおかげです!
これからも「転生チートの復讐劇」を読んでいたたけるとうれしいです!
ブクマ・コメントなど、モチベが上がるので是非よろしくおねがいします!




