27 超最短育成チート
「そういや、今度の対抗戦。
なんとかなるんじゃね?」
授業中何気なく聞こえた言葉だった。
「対抗戦って?」
俺もこっそり会話に混じった。
最近では男子女子どちらにも馴染み、アカデミー生活は充実していた。
っ!。これがリア充か。
「おら、ハルキー。
ここ答えろー」
「うげっ!」
まだリア充は遠いのかもしれない。
「光属性と闇属性が扱われにくい理由を述べろ!」
「え、えーと・・・」
ちょんちょん。と、隣からつつかれる感覚が。
「復唱して。光属性と闇属性は」
と夏純が小声で言ってくる。
「光属性と闇属性は」
「こら、教えてもらうな」
「「・・・・・・」」
(マスター)
まさかの救いの神が!
(なぜ闇属性が扱いにくいのか、イヴには理解できません)
「なぜ闇属性が扱いにくいのか理解でしません。・・・あ」
「それなお前が闇属性使いまくってるからだろうが!一般で答えろ!」
しょぼんとなり座る俺。
「おら、リンド答えろ!」
前に座るリンドを見ると
「・・・すぅ」
熟睡のご様子だ。
「・・・・・・」
教師は無言でチョークを投げる。
しかし、リンドは突然右にスライドしチョークを躱す。
(・・・・・・ドラゴンの直感だろうか。いや、もはや第六感だな)
そんな感じで授業は終わり、俺はさっきの話を聞きに行った。
「なぁ、さっきの対抗戦ってなんだ?」
「え?あぁ、1ヶ月後な隣の国の学園との対抗戦があるんだ。形式は代表選手5人の1体1の戦い。勝った人が多い方の勝ちって感じだ。まぁ、うちは最近勝ててないんだけどな。」
「つまり、この学園が弱いってことか?」
「ハッキリ言うな〜。まぁ、実際そうなんだけどさ」
「大変なんだなぁ」
「で、そこでお前なんだよ!」
「俺?」
「あぁ、今度勇者があっちの学園についてるんだけど、お前なら勝てるんじゃね!?」
「勇者?いやいや、流石に無理だって。
知らないけどさ」
勇者って事は何かしらチート盛りだくさんなんだろうし。そんな奴に勝てるとは。
そこで、ふと視線に気づいた。
クラス全員が俺を見ていた。
「え、えと・・・なに?」
「そうじゃん!この学園の救世主じゃん!」
「え!?」
「そうじゃんそうじゃん!」
これはめんどくさいパターンだな。
「わかった、やるだけやるよ。
でも、あまり期待はしないでくれよ?」
よっしゃーーー!
と、教室内で歓声があがった。
(勇者・・・か。さしずめ俺はアニメでいう立役者ってとこか)
いいぜ、立役者?脇役?
ふっ、無様に散らしてやるよ勇者!
気付かぬうちに微笑み・・・いや、ゲスい笑いが出ていたらしい。
クラスメイトが全員ドン引きしていた。
「うわぁ〜、ブラックハル久しぶりに見た」
夏純とエルナは半分呆れているようだった。
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「さて、今日から1ヶ月。対抗戦への練習をしてもらう」
翌日の朝、突然このような事を言われた。
「せんせーい。毎年より早くないですかー?」
俺も毎年のペースは知らないが、確かに早いと感じた。
「王様からの命令だ。
学園屈指の力を持つハルキ・アイカワとカスミ・カンザキ。そしてエルナ・アレシアに教師役をやってもらう。」
「「「うげ・・・」」」
「・・・もう少し嫌がる感情隠そうな?」
そう言われてもって感じなのだが。
「この学園で最強と言えるのはお前達だ。なら戦闘についてお前達が教えるのが妥当だろう?」
「え、今まで先生がやってたじゃないですか・・・」
「それは基礎だけだ」
確かにそんな気がしてきた。
じっさいここ最近、基礎がしっかりしていた。
「それに、王様からの命令でもある」
(なるほど、このまえ来た時伝えようとしたのはこの事か。それで、大量の金はこの指導料・・・ってとこか)
「いいですよ、みんなで目標に向かって努力する。嫌いじゃないですし」
「おぉ!そうか!それは助かる!それじゃあ、これから1ヶ月頼むぞ!」
そういい、教師は校舎内へ。
「いや、現場監督くらいしようぜ・・・」
職務放棄もいいところだ。
「えーと、どうするか・・・」
とはいえ、教えたこともないんだが。
俺が考えるに
エルナ→光属性・・・✕
俺→闇、雷・・・△
夏純→火、水、風、雷・・・〇
ってとこか。
光属性使える人ここいないし。
う〜ん。
ここは
「夏純、後は頼んだ!」
「やっぱりそうなるの!?」
どうやら思考は同じ結論を出していたらしい。
「エルナは・・・」
「ちょっと、そこで止めるのは失礼じゃないですかね。言うなら言っちゃいましょうよ」
「そうだな。・・・今回役立たずだな」
「もうちょっとオブラートに包んで下さい!」
そんなやり取りをしていると、
クラスから笑い声が聞こえてきた。
「なんか、いつも通りだな」
そんな声が聞こえてきた。
「いやいや、俺達特訓だからって態度変えたりしないぞ」
そんな軽い会話を交わす。
「そうだな。剣で戦う人と魔法て戦う人に別れてくれ」
そうさ、魔法で戦わないといけないなんて決まりは無い。
「これからは・・・育成チートだ!」
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そして、1ヶ月が立った。
生徒はクラスメイトだけでは無く、先輩達にまで及び、気づいたら俺達は生徒全員の憧れになっていた。
しかし、陽綺は途中から教師役を辞退していた。
理由は、対勇者を想定した訓練をしたい・・・だそうだがそれが果たせたかは本人しか知りえない。
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