2 現実とのお別れ
神崎家に入り、俺は最初に夏純の両親に挨拶をした。
「こんにちは、海さん菫さん。今日もよろしくお願いします!」
海さんが夏純の父で菫さんが母だ。俺はここで海さんに剣術を教わっている。その間、菫さんは夏純に弓術を教えている。海さんは、強く集中力が高く隙がなかなか生まれないため、いままで勝てたことが1度もない。
「あぁ、陽綺くん。今日もがんばろう。」と海さんは言ってくれた。それを聞くだけでやる気がでるというものだ。
「では、道場で待っていてくれたまえ」といい、2人は道場ではなく家に向かって行った。なにか、準備があるのだろう。自分の中でそう解釈し道場に入った。中に入ると道着に胸当てをした夏純がいた。
「あ、陽綺!ちょうどよかった!こっちに来て手伝って!」
見てみると夏純は右手を壁と棚の隙間に突っ込んでいる。
「・・・夏純なにしてるの?」
いや、見ればわかる。何かを隙間に落としたのだろう。だが、思わず聞いてしまった。
「矢が隙間に落ちちゃって・・・」
なぜそんなとこに矢が落ちた!?と、ツッコミたくなるがこれが夏純のデフォルトだ。クラス委員長で、成績がよく学校1番の美少女は、実は天然だったのだ。別にそれが悪いわけではない。そうゆうところも可愛げがあっていいと思うし、真面目すぎるのも付き合いがめんどくさいからな。だが・・・
「か、夏純・・・その・・・袴がめくれかけてるから直してくれないか?」
「ふぇ?」
といい、夏純の視線は徐々に袴に行き・・・顔が一気に赤くなった。
「わ、わわっ!」
といい必死に抑えてるのもご愛嬌だろう。
「ほら、取ってあげるからそこどいて」といい、夏純が立ち俺は矢があるであろうとこにしゃがみ・・・気づいた。
夏純の後ろに剣を夏純の首に落とそうとしている男が夏純の真後ろにいることに。
「夏純っ!避けろっ!」
自分でも言葉が足りなかったのは分かってる。だが、説明の暇なんてなかった。
しかし夏純は幼馴染なだけあって信頼してくれてたのか、びっくりしながらも右に身を投げるように飛んだ。直後に、夏純の首があった所を刃物が通過した。
「ほう、今のを避けるとは・・・なかなかやるじゃないか」
「誰だお前っ!」
夏純は怖くて声もでないのか何も言わなかった。そうだろう、いきなり殺されかけたんだ。俺だってほぼ半信半疑だ。夢だったと言われた方がまだ信じれる。だが、目の前の男はそんな幻想と共に俺も殺すかもしれない。目は離せない。目を離した隙に俺か夏純が殺られる・・・!
「まぁいい。どのみち殺すしな」
といい、夏純の方を向いた男は
「死ね」
その一言と共に右手を手刀のようにし真っ直ぐに夏純に向けた。普通ならなんとも思わないだろうが、俺は直感でアレは確実に夏純を殺すモノだと察した。
「クッソーー!」
俺には止める術も知らないし無い。・・・だが。
男の右手から光のレーザーのようなものがでて俺を貫いた。レーザーみたいなのは熱があったのか、それとも刺されたことで傷口が焼けたせいだろうか。傷口がとても熱い。
「っ・・・」
うめき声をあげる暇もなく倒れてしまう。そう、止めれないなら俺が盾になればいい。
「え・・・嘘・・・でしょ・・・。ハル・・・ねぇ、ハルってばっ!」
俺は、夏純の声をほとんど無視し夏純が落としていた矢を、驚いて動けない男の目を狙って投げた。
「グッ・・・」
それだけだった。しかし、効果はあった。これで、一矢報いた・・・。そう思った瞬間に、男はまた左手からレーザーをだし夏純を貫いた。
一瞬で死んだのだろう。声もあげずに、そのまま俺に被さるように倒れた。
嘘だ・・・ろ・・・。夏純を守れなかった、その悔しさと男への恨みだけが積もっていく。
「確か・・・女の方だったか。」
といい、夏純の上に何かの紙を置いた。
触れるなっ!と、いいたいが吐血で意識が朦朧とし声が出ない。
そのまま、男は夏純に乗った紙に手を伸ばしグッと何かを流し込んだ。一瞬夏純が光ったが、それが収まると同時に男は道場の隅っこに行くと影に沈んでいった。
それを見ると同時に俺の意識も闇に沈んでいった。
2話目です。小説投稿めっちゃ楽しいです。
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