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転生チートの復讐劇  作者: 黒咲 夜羽
第2章 アカデミー編
18/51

18 情報整理?

「そういえば、寮は借りれますか?」

というか、借りれなければ困る。

俺は念のため、ジンに訪ねた。

「それが・・・すみません。あまりにも急なことでして、部屋に空きが・・・」

・・・え。

「ギルドマスターからはここの寮に入れと言われたのですが?」

「すみません、彼奴あやつは昔から伝達が苦手でして・・・すぐに代わりになる部屋をお探しいたします。」

「では、今日は宿に泊まります」

エルナと夏純もそれで良いと頷いている。

「本当に申し訳ございません。」

「いえ、急だったのは事実ですし。仕方が無い事です。」

「これから学園長に会って頂いて宜しいでしょうか?入学についてのご案内をさせていただきます。」

「分かりました」



校舎に入り(校舎内を靴で入ること以外日本と大差無かった)1階の1番奥の部屋に着く。扉の上の札には〈学園長室〉と書かれていた。

コンコンと、ジンが綺麗なノック音を響かせる。

『どうぞ』

「失礼します」

ジンにならい、みんな入る時に『失礼します』と言った。

「なるほど、合格のようだね」

そう言ったのは、椅子に腰掛けた老女だった。白髪で顔にもしわがあり、歳は老いているが、威厳が確かにある人だ。

「ここで学ぶことはあまり無いかもしれないが、見聞を広めるという事やこのアカデミーの図書館の資料でいろいろ知って欲しい」

「あの、学ぶことはあまり無い・・・とはどういうことでしょうか?」

夏純の疑問はもっともだ。

俺達は学ぶためにここに来た・・・という事のはずだ。

「ふっ、あんまりアタシを舐めるんじゃないよ。この歳になっても相手の力量は分かるつもりだよ。そこの男。あんた、最近有名なハルキ・アイカワだろ?」

「有名かどうかは置いといて、そうですね」

「やはりね。あの馬鹿はいったい、何を考えているのやら」

あの馬鹿とはきっと、ギルドマスターを示しているのだろう。

「すまないけど、寮に空きがなくてね。一応探しておくがあまり期待は」

そこで、ジリリリリと昔の黒電話のような着信音が鳴った。

学園長は引き出しを開けるとそこから受話器を取り出した。

((この世界に電話あったんだ!?しかも、黒電話!))

いや、正確には違うだろう。本来、受話器と本体はケーブルで繋がっているはずだが、それは繋がってい無かった。

(魔力・・・かな?)

かすかに、魔力の流れを感じた俺はそう推測した。

学園長は「すまないね 」と言うと、通話を開始した。

「・・・なんだい、アンタか。・・・・・・なんだって?それは本当かい?・・・・・・わかった、今丁度目の前にいるよ。・・・伝えとくよ」

そういい、受話器を元の位置に戻した。

「ハルキ・アイカワ。王からの勅命で王宮へお呼び出しさ」

「「「王宮!?」」」

「きっと、魔王幹部討伐の褒賞だろうね」

「そんな事の為に・・・いや、そもそも褒賞なんて・・・あ」

俺はいい事を閃いた。

「もし、褒賞貰えるなら。家貰えば良くね?」

「「・・・はい?」」

学園長とジンの声が重なった。

「そしたら、空き部屋の心配無くなりますよね?」

「い、いや、待っておくれ。魔王幹部の討伐報酬が家?あんた・・・欲はないのかい?名誉、地位、大金、領土。考えればキリがないほど出てくるだろう?」

「名誉も地位も今で充分ですし、大金・・・ほどではないですけど、それなりに稼いでますし、領土はめんどくさそうですからね」

「はぁ〜。あんたがそれでいいならそれでもいいけどね。まぁ、決めるのはアンタさ」

「よし、いつ行けばいいのですか?」

「明日さ、それまで宿に泊まっていな。授業への参加は明後日からでいいさ」

「ありがとうございます。あ、1つお願いしても?」

「可能な限りなら応えようじゃないか」

「俺達の正体を隠して欲しいのですが」

「・・・どうしてだい?」

「・・・みんなによそよそしくされたくないですし。馴染めなかったら俺ボッチになるじゃないですか」

「「私達もいるよ〜?」」

なんか聞こえたが今は無視しよう。

「わかった、そこは配慮しとくさね。それで終わりかい?」

「終わりですねー。それでは、宿をとるのでこれで」

時間的に早いが早いに越したことは無い。そうして、俺らはアカデミーを出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺達は、ギルド近くの宿で2部屋とった。

「・・・いや、おかしいだろ」

俺は2部屋を聞いて(エルナ、夏純)・(俺)を予想していた。

しかし、現実は(俺、夏純、エルナ)・(荷物)となっていた。

おかしいよね?

「年頃の女の子が男子と1つ屋根の下なんて、神が許す訳がない!ほら、早くでーてーいーきーなーさーいー」

「私が許します!」

・・・あ、こいつ女神だった。

「神の許可でた!突撃ー!」

「って、ちょっと待った!お前らどこまで知ってるの?」

「「え?」」

こうして、情報整理が始まった。


俺達はベッドの上で3人で向かい合うように座っていた。

夏純はエルナから今までの事全て聞いていたようだ。

「でも、すごいよね〜。精霊王?だっけ。」

「そういえば、イヴ。なんで、復讐刃リベレーションの形状とか俺の魔力の色が変わってたんだ?」

壁に立てかけていた復讐刃リベレーション に尋ねると、パァと光り、イヴの姿となった。

「簡潔に答えますと、イヴとマスターの魔力の適応を最適化したとイヴは答えます」

「最適化?」

「はい。それにより、前よりも効率よく魔法・魔術の使用ができます」

「それで、俺の魔力が黒くなったと?」

「はい。あと」

イヴはそう言うと剣になり、俺はそれを咄嗟に掴んだ。

(アカデミーには、あまり強い人がいなさそうなので最適化すると共にリミッターを付けました。)

よく見ると、今までよりも俺にあった片刃長剣になっており、紫色の宝石みたいな(きっとコアだろう)の周りを2つの黒い鎖みたいな物が浮かんでいた。

おぉー!これなら手加減しやすい。

出力がかなり抑えられ、只の頑丈な剣みたいになっている。

昔は十字架になれていたが、イヴの特性の1つである『刃を消せない』により、最近は自分で歩くか俺の腰に収まっている。

「・・・刀」

パァと光を放ち、刀になった。

鞘も変化し、綺麗な黒刀となった。

本来、手を守る為のつばは無く、変わりにそこに宝石が来ていた。

「なんの手応えもなく手に馴染むな」

パッと人の姿に戻ると、

「これが最適化の結果と、イヴは答えます」

すると

「いや〜、精霊王って何にでもなれるんだね〜」

と、夏純が言った。

「いいえ、それは違うとイヴは答えます」

そういい、イヴは夏純とエルナに変身の条件などを説明した。

俺はさっきの通り、全て知っているので大体を聞き流していた。

そうして、気づけば話の流れは思い出話に変わっていた。

「小学生の頃、調理実習で私、自分の指切っちゃってね〜。その時、1番慌ててたの私じゃなくてハルだったんだよ〜」

「あー!それ私も見てました!あれは面白かったですね〜」

訂正、思い出話という建前の俺への精神攻撃だ。

思い出話 (俺への精神攻撃)は気づけば夜になり、軽い食事と風呂に各自で入り寝た。

(明日、王宮か。・・・打首とかになったらどうしよう)

(・・・マスターを打首にできる人なんていないと、イヴは思います)

(あ、それもそうか)

部屋の明かりを消しているため司会は暗い。

隣の部屋にはエルナと夏純がいるはずだが静かなところを考えると寝ているのだろう。

俺は毛布を自分に掛け直し・・・あれ?

毛布が途中で止まった・・・というより目の前に何かがある。

それを触ってみると。

柔らか・・・いや、硬い?

外は柔らかいのに中が硬いという何かの食品みたいな感触を触り続けていると。

「んっ・・・マスターは変態さんだと、イヴは思います」

「・・・・・・」

思考停止・・・理解可能キャパシティを超えています。再起動不可・・・じゃなくて

「うぉぉぉぉぉぉっ!?お、おま、お前なんでここにいるの!?」

「・・・部屋2つなのでてっきり2人ずつかと、イヴは思っていたのですが」

「あ・・・」

いつも剣でいるからそれでいいのかと思っていた。

「イヴはお遊びだったのですね・・・所詮物扱いだったのですね・・・」

「いや、その・・・すまん」

弁明の余地無しだった。

「まぁ、特に気にしてないのですが」

本当に気にしてないように言う。

「・・・やはりイヴは気にします。罰として一緒に寝てもらいます」

「え・・・いや、ほらね?若い男女が1つ屋根の」

「年齢で私は若くないと思いますし、私は精霊なので性別とかで、表せるのかわかりません。それなら、むさ苦しいマッチョな男の姿になりましょうか?」

「本気で辞めて頂きたいです」

「なら、これで我慢してください」

もちろん、イヴは人間の形では今の姿以外を取ることはできないのだからマッチョでむさ苦しい男の姿など取れないのだが、この時の陽綺は知らなかった。

「わかった、俺は壁を向いて寝る。イヴは反対側を向いて寝る。これでいいか?」

「・・・それで勘弁しましょう」

「あいよ」

そうして俺は、眠りについた。


イヴは自分のマスターの睡眠を察するとベッドから出て、窓の外を見ていた。

月明かりに照らされる少女の姿は、どこか幻想的だった。

イヴは自分のマスターを見て、本当に寝たのか近づいて確認したが・・・やはり寝ていた。

「・・・やはりマスターはヘタレです」

陽綺は誤魔化したつもりだろうが、イヴは覚えている。

結局夏純の告白にも答えず、エルナの気持ちにもら気づかない振りをし、隣で寝ている女子に何も思わず寝る。

「マスター、それはただの問題の後回しだと・・・イヴは思います」

契約しているイヴには分かっていた。精霊は契約相手の心を知ることが出来る。陽綺は、自分の心を誤魔化す事が得意なのか・・・いや、自分の心に嘘をつき、それを意図的(・ ・ ・)()れている(・ ・ ・ ・)のだ。

しかし、そんな陽綺も動揺している時は他の人と同じレベル・・・というかそれ以下まで心が読みやすくなる。

たとえば、告白された時だ。

陽綺の、その時の心は

『好きだけど、その心が自分の本心か分からない。傷つけるかもしれない。離れていくかもしれない。それならば。このままがいい。』

だった。

「どうしてマスターは、そこまで臆病なのですか?マスター程の剣術、魔力保持量、魔力放出量、才能。どれをとっても人間離れしているレベルです。やろうと思えば1晩で、この国を壊滅・乗っ取り、何でもできるほどの力を持ちながら、何にそんなに、怯えているのですか?」

イヴは知らなかった。

幼い頃、その力で他人から少し距離を置かれていた事に。それが、今も心の奥深くにトラウマという根を張り、心を蝕んでいる事に。そして、それを否定するあまり、気づかないうちに自分の心に嘘をつき、嘘をついたことすら意図的に忘れるという事が出来てしまっていた。

その結果、陽綺は自分自身を信じる事さえ、そんな簡単な事さえ出来なくなっていた。

(・・・マスターを支えるのはイヴ。イヴの役目。マスターには苦しんで欲しくない)

その決意と共に、イヴは再び陽綺のベッドに入った。

(マスター・・・温かい)

それを最後にイヴの意識は微睡みに落ちていった。


次の日の早朝にエルナと夏純に、イヴと寝ているところを見られ、ロリコンやら浮気者やら罵倒されるのは悲しい運命なのだろう。

はい、今回は何気にイヴがメインに来ましたね。

陽綺の選択をこれからも見守って頂けると嬉しいです!

良ければ、ブクマ・コメントよろしくお願いします!

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