12 討伐
崖の上にたどり着いた俺は戦闘痕を見つけ・・・それが道に沿って続いているのを見つけた。
「くっ、急ぐしかなさそうだな」
俺は戦闘痕を追いかけた。
「もうそろそろかな〜」
エルナ自分に掛けていた封印を限界まで解除し、ガーゴイルを弄ぶように動いていた。
(なんで私はこんな事してるんだろうと思ってた。でも、記憶のおかげでわかったよ。エル)
これも予定通りらしい。
攻撃を避け続けるのに飽き出した私は周りばかり気にしてた。
「あ、そろそろ来るみたい」
次の瞬間、5本の黒く細い槍がガーゴイルの両手両足を貫き地面に縫い付けた。
最後の1本はガーゴイルの頭を綺麗に貫いた。
「大丈夫かエルナ!?」
陽綺が慌てて駆け寄ってくる。
俺は5本の黒い槍を生成しガーゴイルの討伐した。
エルナには傷らしい傷はない。
「よかった〜。大丈夫か?」
エルナは「?」と首を傾げるも
「あ、私はエルとしての力の1部を解放したの。だから、陽綺さんと肩を並べて戦えますよ」
エルナの弾んだ声に
「よかった、あの時の約束・・・守れたか?」
エルナは一瞬驚くが
「そっか、全部思い出しちゃったんだ」
「あぁ」
「じゃあ、どうして封印したかも?」
「・・・わからない。けど、想像はできる」
小さい子供がこんなでかい力・・・扱えるわけがない。
「暴走しないように・・・だよな?」
「・・・うん。そうだよ・・・。それが、彼の願い」
「彼?そもそも俺が魔力を扱える・・・いや、持っていることをしってる奴がいるっていうのか?」
「うん・・・。でも、その人の事はあなたがよく知ってるよ。」
「俺が?・・・海さんか?」
「・・・それは、正解とも言えるし間違いとも言える。でも、信じて!その人は誰よりもあなたやあなたの仲間の事を思ってるの!」
「・・・信じてもいいのか?」
予想する限り、夏純か海さんだが2人とも悪い人じゃない。そこまで心配する事でもないか。
エルナも真剣な目をしている・・・というか泣き出しそうにすらなってきているし、大丈夫・・・と、思う。
「わかった。信じるから、信じるからその泣きそうな目をするなよ・・・」
「そういえば、結局このモンスターが討伐目標で良かったんだよな?」
「え、う、うん・・・」
・・・なんか間が開くなぁ。
「あ、あのね、ハルキ・・・」
どう会話を切り出すか考えているとエルナから話を切り出してきた。
「いきなり難しいクエストにしてごめんなさい!」
「え、あぁ、うん。そのお陰でこいつにも出会えたしな」
そういい、軽く復讐刃を叩いた。
「さっきの能力・・・闇の精霊王ですか」
「ん、知ってるのか?」
「はぁ、知ってるもなにも・・・有名ですよ」
「有名?」
「えぇ、能力の強さから沢山の人に求め、たくさんの人が拒否されたものですよ」
「そうなのか・・・ん?俺は?」
「う〜ん、闇属性値が高い・・・からですかね?」
「とりあえず、休みたい・・・というかもう・・・ダメだ・・・」
疲労の蓄積、精霊魔術によるイメージの継続。それが重なりとうとう限界が来たのだろう。俺はそのまま意識を失った。
気がつくとどこかに横たわっていた。
「ここは・・・」
「あ、気がついた!ハル、大丈夫?」
「夏純・・・?なんで・・・」
「?どうしたの?」
(あれ、俺なにしてたんだっけ・・・)
見渡すと見覚えがある・・・というか、夏純の部屋だ。
「もう、夜だよ?まったく〜、勉強教えてって言ってすぐ寝ちゃうんだから」
そうだ、テスト前で勉強教えてもらって・・・あれ、テスト?何が?いつ?いま・・・俺は・・・
「大丈夫そうだね」
「え?」
「はるはちゃんと自分の役目を理解してる」
「なにが、どういうこと・・・だ」
(何かが・・・なにかが引っかかる・・・)
「はる、待ってるからね」
それはとても。とても眩しい笑顔だった。
しかし、気づかなかった。眩しさの中に光る、数滴の涙に。
「あ・・・」
気がつくとどこかのベッドに横たわっていた。
「俺・・・」
目が開いてるはずなのに視界がぼやけている。
(涙・・・泣いているのか・・・)
「あっ、起きました!すぐにエルナさんを!」
誰かが何かを叫んでいる。
(エルナ・・・そうか。ダンジョン・・・あれ、ここどこ・・・)
意識がまだ完全とはいえない状態みたいだ・・・。・・・夏純が・・・。
「夏純ーーーーーーーーーっ!」
思わずはね起きた。
あ・・・夢・・・か。
「陽綺さん!」
エルナか・・・
「やっと意識がもどったんだね」
「俺・・・は・・・何があったんだ・・・」
エルナは俺が意識を失ったあとの事を教えてくれた。
「そうか、あの後俺を運んでくれたのか・・・。でも、よく俺を運べたな」
俺は高校生の体つき、エルナは中学生・・・しかも女子だ。俺を運べる体格とは思えない。
「その子が手伝ってくれたんだよ」
そういい、復讐刃を見た。
「イヴが?」
「うん、心配してたよ」
「はい、心配しました」
「うおっ!び、びっくりした」
振り返るとイヴがいた。
「マスターはイメージ力がありますのであとは制御・・・と言いたいところですか制御も凡人よりも高いレベルでできているのですぐに実戦でもつかえます」
「そ、そうか。」
「ところでハルキ」
「ん?」
エルナが気まずそうに伝えてきた。
「魔王幹部討伐、明日だよ?」
え。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
窓の外は既にに暗い。つまり・・・
「寝て起きたら、城へ攻めろと・・・」
「あ、安心して!」
エルナが「大丈夫!」と自信に溢れて言った。
「今回でランクAになったから討伐にも参加できるし、参加申請はもう済ませてきたから!」
(そういう問題じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!いや、助かったけど!)




