3 王様と御対面
ニアが言っていた王の間とやらに向かう間に説明されたのだが、どうやら俺は勇者らしい。そんなアホな。
なんでも魔王が復活し、今までおとなしかった魔物達が絶賛大暴れ中らしい。
そしてその魔王を俺が倒すそうですよ。ニアは大真面目に話してくれたけど正直帰りたい。ただしここがどこなのかも分からないし、携帯電話もない。ほんとはもっと聞きたかったけど、いろいろ聞いてたらニアに「時間ねえって言ってんだろうが!!」ってキレられました。この娘怖い。
そして今、王の間にいます。ニアは話にならなかったので王様とやらに文句を言ってやろうと思っていたのですが顔怖すぎです。軽く人を殺めそうな感じです。
「おお!勇者よ!どうかこの国を救ってくれ!」
お、おおお・・。このおっさん前置きも何もないよ。これだったらまだ、ニアの方がましだよ。
「おお!勇者よ!どうかこの国を救ってくれ!」
聞こえていないのかと思ったのか同じ事言い出したぞ。下手にもめるのもめんどくさいから穏便に断ろう・・・。
「いや、あのですね。僕は勇者ではなくただの平社員なんで・・・。」
「おお!勇者よ!どうかこの国を救ってくれ!」
え?なにこれ無限ループ?とか一瞬思ったけどそれはなかった。だって王様椅子降りて俺の目の前にいるもの。
「いや、あの、救うと言っても何をどうしたら良いか分からないですし・・。」
負けちゃダメだ!この圧力に負けたらめんどくさいことになる予感がする!断るぞー!断固として断るぞー!!
とか考えていたら王様が俺の手を両手で包み込んだ。
え?僕そんな気ないですよ?
「おお!勇者よ!どうかこの国を救ってくれ!」
その言葉の直後から手に痛みが走る。
目の前には目を血走らせた笑顔の王様。どんどん痛くなる僕のお手手。
というか本当に痛い!ミシミシいってる!ミシミシいってるーーーー!折れちゃうーーーーーー!
「やりますーーーーー!やりますやりますやらせてくだしゃーーーーい!」
「おお!さすがは勇者よ!では奥にある宝箱は自由に使うがよい。そしてまだ見習いではあるが、魔法使いのニアをお供にお連れていくのじゃ。」
どうやら勇者として生きていくしかなさそうです。