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1 おはよう

名前マツ、工場勤務、25歳、朝起きたら勇者になっていました。

この世界をどげんかせんといかん。

やあ皆!みんな寝坊をした事はあるかな?

学生の頃の寝坊なら大体が笑話で済むけど、社会人になるとそうは言ってられなくなるんだ。

たったの五分や十分の遅刻で上司の元まで行き謝罪をしなくちゃいけない。

ましてや、それを頻繁に繰り返すようになると普段温厚な上司から蹴りを入れられるぞ。これは実体験済みだから間違いない。

ただ遅刻しても怒られないパターンがあった、それが今週の頭の話。

起きたら出社時刻を四時間経過していたんだ。怒られはしなかったもののクビという言葉が足音をたてて近づいてきたよね。そりゃもう後ろを振り向いたらそこにいるレベルに。

そして遅刻のプロの道が見え始めてきた俺にとっては、朝起きた瞬間にもう判断できるよね。遅刻したかどうかをさ。


つまるところ、今、目を開けなくとも遅刻している時間だということがなんとなくわかる。多分太陽がてっぺんあたりにいる気がする。もうあれだ、クビという存在が僕の肩に手をかけている。

決めた!たった今決めた!俺今日からインフルエンザになる!季節外れのインフルエンザ!そうと決まれば早速電話だーーーーーーーーーーーーーーー!!!


パチクリッ


え?なに?どこ?ここどこ?夢?


「おはようございます!」


声がした方向に目を向けると、そこには可愛らしい女性が一人。

え?俺昨日何したっけ?え?あれ?今日仕事は?あれ?誰この娘?デリヘル?

俺給料日前にデリヘル呼んだの!?でもここどこ!??


「ど・・・どうしたんですか?」


目の前にいる女性が、こちらの様子を伺うように声をかけてきた。

あっ、そうですよね。さっさと料金払えってことですよね。で、でもお金がない。

しょうがない。とりあえず謝ろう。


「今月お金ないんで支払来月にしてください。いやほんとすいませんでした。」


謝罪するにしては言葉足らずな気もするが、とりあえず土下座も追加して勘弁してもらおう。

なんなら次回もこの娘を指名しよう。というより寝起きの頭がはっきりしてくるにつれて、俺の怒りは張り裂けんばかりになってきた。


チックショーーーーーーーーーーーーー!!!!!こんなかわいい娘があたったのに何にも覚えてねーーーぞーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

悔やんでも悔やみきれない後悔。こんな可愛い娘との素晴らしき一時を何も覚えていないだなんて・・・。


寝心地の良いベットの上で一人打ちひしがれていると、先ほどの女性がなにかに納得したような顔で答えた。


「ぁあ!宿代のことですか!!それなら心配ありませんよ。ここはボーラ王国の王城の客室です。勇者様もこちらに来たばかりですし、払っていただく必要はありませんよ。今のところですけどねっ!」


後半は半ばちゃかしたように答えてくれたが、そんな事よりもだ・・・・。


勇者様ってなに?俺どんなプレイを所望したの???




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