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第六話 地獄のカレーライス 後編

「おい! 金見のおっさん! 十日前から借金の利子を払ってないんだけど。どういうこったい?」スーツを着たガラの悪い男二人組みがおじさんに文句を言いにきた。なにかニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべている。

「また来たわ。」「帰れ! インチキ野郎!」団地の皆はおじさんの味方だ。

「こりゃすまない。必ず払うから今日の所は帰って下さらぬか?」おじさんは申し訳なさそうに頭を下げた。

「ふざけんな! こっちも生活掛かってるんだよ。お前が利子を払わないと今日の晩飯も食えねー。」わざとらしく頭を抱え困った素振りをしている。

「お! なら丁度良かった。カレーライスでよかったら好きなだけ食べていって下さい。きっと美味しいですよ!」おじさんはそう言うと、ご飯が乗った皿にカレーのルーを注ぎ、男に差し出した。

「ふざけんな! 本当に! お前みたいな奴が作ったカレーライスなんて食えねーんだよ!」男がおじさんの持っていたカレーライスを手に取り地面に叩きつけた。

僕は我慢出来なかった。「なんでそんなことするんだ! おじさんは今日、刑務所にカレーを届けないといけないんだ。僕を連れて行けよ。借金分ただで働く。」真っ直ぐ男達を見つめ力強く言った。僕の足は震えていた。

「は? 良いだろう。来い。ちょうどサンドバッグが欲しかったところなんだ。」カレーライスを地面に叩きつけた男が僕の胸ぐらを掴んだ。

「いい加減にせーや!」団地の人達が集まる中から声がした。

赤い服で全身を覆い、手には大きな白い袋を持っている。地下ではなかなか見ない人種。それどころか、顔に数字が入っていない。彼は冬になると忽然と現れては、僕達子供達に地上の物をプレゼントしにやってくる。みんなは彼をこう呼ぶ。サンタさん。ーー

「こりゃー、サンタさんではありまさんか! すみません。見苦しいところを見せてしまって。」男がそう言いながら僕から手を離した。

「上では、クリスマスで大人が子供を笑顔にしているのに、こっちでは大人が子供をいじめてるなんてみっともないと思わんか?」サンタさんはそう言ってこっちに近づいてきた。

「聞いてくださいよ。ここのおっさん。借金してるのに、利子を十日もサボっててね。そしたら……」

「そういうことなら、これはどうや?」サンタさんは男の話を遮り袋から何かを取り出した。

「これ、最新型のパーソナルコンピューターや。こんな小さいけど充電いらず。永久的に使える。持って入るの大変やったんやで。しかも通信料は俺が払う。こっちでも使えるように設備を整えてやる。これでこのおじさんの借金をチャラにしてやってくれや。それと、子供には今後手は出さへんように。」サンタさんは男達にそれぞれ手渡した。


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