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第五話 地獄のカレーライス 前編


学校帰りは一日の中で一番幸せだ。

退屈な授業の拘束から解放され、家に帰るとおじさんが夕飯を作って出迎えてくれる。道に茂る雑草、天井の灯全てが自由の象徴に見えた。

地下は灯が無いと真っ暗だ。きっと何処かで明るさが調節されていて、まるで地上にいるかのように朝昼晩がある。また、地上との季節を同じにするように冷暖も調節されている。

目の前を大きな全自動車が横切る。すぐ近くに留まった。

中からポリスロボットと共に人が降りてくる。今日もまた何人かがここにやって来た。

怯える眼鏡、悪そうな金髪、髭が妙に綺麗に生えた馬面。

彼らに自由はない。僕にも本当は自由なんてない。ここに空も海も存在しない。僕は地上に行ったことはない。話で聞くだけだ。

今日も授業で聞いたが、人々はここを地獄というらしい。

僕は、ここで生まれた。悪魔なんかじゃない。唯の人間だ。

学校の近くには刑務所がある。きっと彼らはそこに連れて行かれる。

地獄の釜の底だ。僕は、まだましなのかもしれない。

今日はなんだかカレーの匂いがする。おじさんの作るカレーはピカイチにうまい。

少年の歩むスピードがだんだんと早くなっていった。

道は土を舗装したところもあれば、アスファルトで舗装されたところもある。土の道には小さな綿が咲いていたり春になると黄色い花を咲かすこともある。今は冬のせいか雑草くらいしか生えていない。

家は、団地になっている場所が多いがおじさんと僕の住む家は珍しく一軒家だ。この辺だと割と豪邸だ。でもお金はない。

家が見えた。白い家の前で大勢でカレーを作っている。団地の人達も集まりだしている。

「ただいま。いい匂いだね。」教科書の入ったカバンを扉の前に置きおじさんに挨拶した。

「おー! お帰り。今日は、刑務所に服役中の方達にもカレーを作らないといけなくてたくさん煮込んでいるんだよ。カレーは量を多く作れば作るほど旨味が増すんだ。」嬉しそうに白く伸びた髭を触りながら、片手でお玉を回している。

おじさんは誰にでも優しい。そこがおじさんの良いところでもあり悪いところでもある。ーー



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