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2話 状況確認。この世界の最近の歴史と魔法

生まれてから半年が経ち、視力や聴力も安定し、状況の認識と意味のある発声が出来るようになった。

意味のある発声と言っても喉が出来上がってないので、ママというのが辛くマンマとニーニ程度だが。

はいはいは出来るが、移動は部屋の中に制限されてしまっている。


常にメイドがいるので外に移動できないし、私自身面倒くさがりで、ここの環境は快適なので無理に動こうとも思わない。

そもそもはいはい程度しか出来ないし、これは結構体にくる。寝たきりだった幼い体にはかなり厳しい筋トレだ。

とは言え歩き出すために鍛錬は欠かせない。このはいはいは私への試練なのだ・・・!(キリッ)


情報収集のために動く必要があると思うかもしれないが、前前世の記憶のおかげで状況認識に必要な情報は揃っていた。

誕生後、すぐに言葉がわかったのもそのおかげだ。少なくとも言語が前前世と同じで、似た世界であることはすぐに分かった。

メイドや家族は私に有難いまでに尽くしてくれていて退屈することもなかった。


さて、現状についてわかったことをつらつらと説明しよう。

この家は父、母、兄、私の3人家族で、結構裕福なイイトコの貴族だ。

メイドがいて部屋が豪勢なので貴族だろうというのはもちろんだが、父がどう見ても南方エルメル方面将軍その人である。

記憶の中の彼はルークという名前なのだが、父もルークという名前である。

記憶の中の常に嫌らしい笑みを浮かべていたキザで小憎たらしい青年と違い、今の父は常にニッコニコデレデレしている。

すごく…いい人に見える。


なので最初は別人説を考えたが、名前も顔も同じ。

じゃあパラレルワールドとか他の世界線ってやつなのか?と思ったが、少なくともここは前前世の私が過ごした世界のようだ。

何故なら、母が聞かせてくれた「500人の勇者」というお話ではなんと私…前前世であるザルツが主人公となっている。

話としてはだいたいこのようなものだ


カンエ皇国暦1058年、突如南方のカローネ帝国が300年続いた不戦条約を破って大軍をもって攻め入る。その数10万。

その10万もただの10万ではない。帝国5大魔法使いとカローネの精鋭中の精鋭で敵将はカローネ黒竜を駆る帝国の第一王子クロード。

彼らは砦から見えないように、街道ではなく魔物のはびこる魔の森を抜けてきたようだ。信じられないことだ。

魔の森はただの森ではない。天候が熱帯から寒冷へとくるくると変わり、魔物がはびこる死の森だ。ここにくるまでどれほどの数を減らしたのだろうか?


谷の砦で守るは前方のみとはいえ、その数の差は歴然。ここを突破されれば平野につながり、街道を使って村や町はあっという間に飲まれてしまうだろう。


クロード王子が空から檄を飛ばし、土の魔法使いマダールの創りだした砦の壁を超える10メートルの土のゴーレムを先頭に大軍が迫る。

そのゴーレムの右手に乗る火炎の魔法使いフィネスは両の手から火炎放射を作り出す。

左手に乗るのは雷の魔兵ザガス。彼は全身金属鎧を纏い、破格の防御力を誇る上、鎧武者を瞬く間に倒す雷撃を使いこなす。

ゴーレムは砦壁に迫り、手を砦壁に置いた。

それを陽動として風の魔法使いフロウは風魔法による身の軽さをいかし砦壁を駆け巡り縄ばしごを垂らしていく。

縄ばしごをつたって瞬く間に敵は満ち、最早これまでと思われたその時、

ザルツの罠によりゴーレムは瓦解。


水魔法部隊が下方の銃眼からゴーレムの膝に水流を当て、ゴーレムの硬度を下げたところを

力自慢の風魔法部隊が、緊急でこじ開けた上下複数の大銃眼から簡易の吊り下げ破城槌で攻撃し、ゴーレムの膝は耐え切れず崩壊した。

ゴーレムは足をやられバランスを崩し、思わず左手で砦壁を握る。左手に乗っていたザガスの悲鳴が聞こえた。そのまま落下に巻き込まれた。

彼も風魔法が使えるとはいえ、金属鎧フル装備で8mの高さがある砦壁から落ち、ゴーレムの頭部に押しつぶされては助からなかったようだ。

ついでに、記録によるとゴーレムの腹部にいたマダールも打ち所が悪く天に召されたようだ。


さて、ゴーレムの右手に乗っていたフィネスは無事生き残り、砦壁に残っている。

フロウの垂らした縄梯子により砦壁も敵が登ってきている。厳しい戦いになると思われたが、

仲間の死を見たフィネスが錯乱し、四方八方に火炎放射を撒き散らし、敵味方を巻き込んで戦局を混乱させた。

これにより半分の縄梯子は焼け落ち、特に逃げ場のなかった敵兵に甚大な被害が出た。彼は魔力切れを起こしたところを矢で射殺された。

火炎放射中に殺すのは簡単だったが、彼はこちらに利する存在と化していたので力と心が落ち着くのを待ったわけだ。

敵は一時撤退となった。初日は彼らが勝利したわけだ!


敵の勢いは弱まったものの、敵の数を生かした部隊の順次交代による昼夜問わずの継続的な攻撃が加えられた。

砦の者達の疲弊を待っての総攻撃は明らかだった。そしてその日は訪れた。


彼らは散っていったが、その猛攻をたったの500人で6日間防ぎきり、3大魔法使いを討ち取り、援軍に繋げ国を守った忠義の英雄。


…そして私の父がその援軍の大将であり、救国の英雄である。

嫌なやつだったが才能はあったのだ。

これも救国の英雄ルークとして母に聞かされた。


奪われたばかりの砦だが、自国側の砦壁を壊していたことが功を奏し、あっという間に砦は奪い返した。

そこからは決定的戦力を欠いてしまった帝国と皇国の睨み合いが続いた。

そして一月後、帝国側で内戦が発生。


実は帝国の補給線は伸びに伸びていた。帝国北方は砂漠地帯であり、魔の森周辺は少数民族が住む帝国と皇国の緩衝地帯であった。

帝国は魔の森を抜けるために森の民の協力を得ていたが、食料不足からくる強制的な食物の収奪が原因で森の民が蜂起し、森の民は皇国と和平を結ぶ。

皇国はそれを機に砦から出て追い打ちをかけ、帝国を敗走させた。

帝国は物資を捨てて逃げるはめになり、敗走の間、餓死と砂漠地帯による脱水でかなりの死者が出たようだ。


そしてそれから4年、今に至る…と。

さていくつかおかしな点を答えていこう。


まず4年しか経ってないという点。まあこれは異世界と時間の流れが違うのだろう。


次に、魔法が弱すぎないか。大魔法使いでアレなの?という点。

そう、この世界では魔法はあまり強くないのだ。いや、強いのだがファンタジーとしてはそりゃないだろうという程度だ。

ただし、この世界では誰もが低級の魔法が使える。


土魔法であれば半径5mも土に魔力を流せれば一流。一般人はレンガの生成や食器の生成に用いる程度。

火魔法であれば5m程度の火炎放射を使えれば一流。一般人は火打ち石程度だ。

風魔法は体を少し浮かせる程度で一流で、体術と組み合わせて加速、増強として使う魔法だ。一般人は体が軽く感じる程度。

雷魔法は生活に直結しないため、使えるもの自体少ないが、金属を触媒として、相手を感電させることが出来るものが一流とされる。

水魔法は…帝国の大魔法使いが戦闘に参加してない時点でお察しだが、空気中から水を生成し、だばあと流すだけなのである。

ホースみたいに水流を発射することができるので何かと便利だが、水分補給のための後方要員としての扱いになる。

一般人なら気候によるがコップの水を満たす程度。


そして、帝国が間抜けすぎないか…という点。

300年も太平の世でみんな平和ボケしてたんです。多分。

それだけになぜここまで無茶な侵略をしたのかは気になるところだ。


しかし、こんな世界だからこそ、魔法だからこそ現代の知識が生きるのだ。考えるだけでワクワクしている。

雷魔法のように、なにかをきっかけとすれば、魔法は輝く。エンジンなどの知識がないのが残念だが、自転車程度なら何とかなりそうだ。

これらの魔法は攻城兵器の巻取りや灯台の灯りその他いろいろに転用することも出来る。

この世界は中途半端に魔法があるせいで、科学や兵器が遅れている。単純な物でも魔法をエネルギー源にすればかなりの可能性がありそうだ!

でも灯台作ると自転車の価値が薄れそうだな。嫌だな。必要な物だけ都合よく出していこう…可能な範囲で。


ついでに、私は以前よりも魔法の才能がありそうだ。

少なくとも前前世の頃は12歳ぐらいまで魔法は使えなかった。というか、大抵の人はそうだ。

しかし、今の私はこっそり魔法を使っている。

すでにはいはいの補助に風魔法を試し、おねしょのフリして水魔法を使い、メイドさんが寝た後にろうそくの火をつけたり消したりしている。

なお、筋トレのために普段は風魔法は切っている。おねしょはメイドさんに迷惑をかけたので、火魔法の応用で乾かすことにしている。


物を作るためには土魔法の訓練がいるが、そのためには外にでるために、はいはいを卒業しなければいけない。

先は長そうだ…

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