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徒然なるままに

合言葉

作者: 高原 夕晞


 伝えたら言葉が返ってくる。それだけの事なのに、うれしくなるのはどうしてだろう。

 笑えない理由だとしたら、ここにしかつながりがないから。だろうね。

 ただいま、っていえば「おかえり」って返ってくる。

 ほかの挨拶だって同じように。


 声も、顔も、名前さえ知らないのに。

 同じものに興味をひかれて。

 この広い箱の中で、出会えたのは奇跡なんだろうね。


 そりゃあ、少ししか知ることはできないよ。

 でも、この出会いだからこそ、本当の自分が見せられる、ってこともあるんじゃないの?


 好きなものにはしゃいでる君。

 怖いものにおびえてる君。

 お出かけに喜んでる君。

 つらいときに愚痴を言う君。


 全部全部、君なんだ。


 もっともっと君の事が知りたい、そう思うのは間違いじゃないよね。


 僕らだけしか知らない秘密があったっていいんじゃない?

 知らない者同士だからこそ、見えるものはあるんだと思う。

 ……たとえ、見回した時にだれもいないとしても。

 目を閉じれば誰かが後ろにいてくれる。

 なーんて、変かな?


 でも、そのおかげで僕は踏み出すことができたんだ。

 今までの僕とは変わることができたんだ、と思う。


 今だってすごく怖いよ。

 でも、誰かとつながっているんだって思いたいんだ。


 たとえそれが独りよがりだとしても。

 僕はここに居たいんだ。


 聞こえないのなら、叫べばいい。

 見えないのなら触れればいい。

 悲しいのなら涙が枯れるまで泣けばいい。


――そして、その後に思いっきり笑えばいい。


 トンネルはいつか抜け出すことができる。

 出口を求めることをあきらめて、歩くことをやめない限りは。



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