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皆さんに楽しんでいただければ幸いです♪

 状況だけ先に説明しよう。

 グレイは圧倒的だった。

 襲いかかってくるあまた“天使”達を悉く返り討ちにしている。

 これを圧倒的と言わずにしてなんという。

 だがグレイは優しすぎた。優しすぎて向かってくる一切の同胞を殺さずに帰していた。

 これでは無限に向かってくるのは明白だったが、それを教えてもきっとグレイは殺す事を選択しないだろう。


「どうやら、間に合ったようですね」


 と、ふとそんな声を後ろから掛けられた。

 見ると底に立っていたのは紛れもなくシルファーさんだった。

 その後ろには荘厳な“天使”達が立ち並んでいた。


「ふっ、遅れるわけはあるまいて、何故なら我々のいるところでもあるのだから」


 その隣に立っているのはルシファーさん。

 さらに後ろには荘厳な“悪魔”達が立ち並んでいる。

 一体何をしにきたのだろうか?


「あなたを助けに来たのですよ、真木さん」


「あなたを助けにきましたよ、真木さん」


 二人はそう答える。

 何故だろう? 二人にはグレイがいるだけで私が安全になっていることが理解出来ないのだろうか?


「グレイは殺せないでしょうからね、“天使”達を。だから、私達がそれを肩代わりしてあげます」


「それくらいしか私達に出来る事はありませんからね」


「…………何で?」


「理由なんて、たった一つしかないじゃないですか」


「あなたが、グレイを信じてくれている、グレイを解放してくれる、それだけで私達にはそれをするだけの価値を得られるのですから」


 シルファーさんが手をあげる。


「さあ彼の者の手助けをしよう。ミカエル、ラファエル、ガブリエル、アザゼル、ウリエル、ベガ、我らが本当の“天使”の姿を見せつけてやれ」


 声に反応して後ろの“天使”達は返事をせずに、ただ手を掲げた。

 それが返事のようだ。

 続いてルシファーさんも手を掲げる。


「さあ“天使”に遅れを取ってはいけない、我らも行こうか。アスモデウス、レヴィアタン、マモン、サタン、ベルフェゴール、ベルゼブブ、その力を持って目の前の“天使”を滅せ」


 今度も返事はなく、ただ手を掲げるだけ。

 どうしてそんな反応できるのだろうか。


「「「「「「我らが大天使長の名のもとに」」」」」」


「「「「「「我らが大悪魔長の名のもとに」」」」」」


「大天使長? 大悪魔長? どういうことですか?」


「大分前の話ですよ、私が神の右席を陣取っていた頃のね……」


 シルファーさんは悲しそうに言うとグレイの方に向けて歩き出した。

 その後ろ姿には無言で引き寄せられるカリスマが持ち合わされていた。


「彼の事はきにしなくてもいいですよ、彼はあんな調子ですからね。深く詮索してやらないことも優しさの一つなのですよ」


「……それでも、救ってあげたい!」


「ふふ、彼はもう救われていますよ♪ だって真木さん、あなたが彼のことをきちんと見てるんですから♪」


「それはどういう……?」


「秘密です♪ なんせ彼の秘密は私の秘密なんですからね♪ では、私も行きましょうか」


 ルシファーさんが前に出る、その後ろを荘厳な悪魔達が続く。

 負ける気など、するはずがなかった。



――――――――――――


 結果だけ言おう。

 シルファーさんとルシファーさんとその仲間の人達はグレイを追ってきた“天使”を悉く薙ぎ払い、物の数分足らずで殺し尽くしてしまった。




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