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毎週月曜日と木曜日に更新します。
皆さんに楽しんでいただければ幸いです♪
“人間界”というところは“天界”と“地界”という、二つの世界に挟まれて存在しているのです。
“人間界”に住む生命は、その両者に入る事は出来ません。
しかし“天界”と“地界”に住む生命は、“人間界”に入る事が出来るのです。
これは、悲しい運命を背負った子供の、成長の物語。
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“悪魔の子”“捻れた運命”“最悪の使者”。
これらは僕に付けられた呼び名の、ほんの一部に過ぎない。
あげだせばキリがなく、同時に嫌気がさすからだ。
あぁそうだ…僕に名前は無いよ。
名前なんて、付けられる前に捨てられたからね。
でも良いんだ、もう遠い昔の話だから。
僕の種族が気になるって?
そんなの上にある数々の呼び名を見れば分かるじゃないか?
そう僕は、生粋の“天使”だ。
母も“天使”で、父も“天使”。
それも、家系に“悪魔”が入っていない、純系だ。
え? わからなかった?
それは、僕に言わないで欲しいな。
今僕がいる場所は“ヘブンズゲート”、“天界”と“人間界”を繋ぐ扉だ。
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「はぁ……今日も暇だなぁ……」
そうやって私、日比野 真木は机に肘を置いて、ドンヨリとした空を眺める。
え? 名前が普通? こんなもんなんですっ!
しばらくその状態で、いると、空の一部、雲が奇妙に分かれた部分が見た。
まるで、絵本の中で天使様が登場するところのように。
「綺麗……」
「真木……真木……!」
その時、私は自分を呼ぶ声が聞こえたのと同時に、額にチョークの直撃をくらった。
額を抑えて、再び空を眺めると、あの綺麗な裂け目は既に無くなっていた。
「真木! そんなに空がみたいなら外に出ていなさい!」
「いえいえいえ! 大丈夫です!」
教師の怒声で、我に返り咄嗟に謝る。
教室が笑いに包まれた。
「う~恥ずかしかったよ~……」
「あはは、何かあったの? あの時間からずっと心此処に在らずって感じだよ?」
私の顔を親友のサッチーが覗き込んでくる。
宮本 幸、友達みんなからサッチーと呼ばれている。
頭脳明晰で、いっつもクラスで一番、自慢の親友だ。
私の成績? 内緒!
運動は苦手みたいだけど、それでもまったく出来ないって訳じゃない。
ちなみに私は、運動では右に出る人がいないほど出来る…あ、大げさに言っただけだからね?
それに顔もスタイルも良いもんだから…クラスのアイドルみたいなものだ。
今は下校中。
私とサッチーは同じ寮に住んでいるので、一緒に帰っている。
私的にはこんなに寮を離すのはミスだと思いますが……。
「う~ん……なんて言うのかなぁ……何か世界の神秘を垣間見まして……」
「なにそれ、もしかして馬鹿にしてる?」
「いやいやいや! そんなことは無いですよ!? 本当に……なんだかなぁ……」
そんな事を言い合っていると、小さい子がよく遊んでいる公園の前に来た。
そこで、何かを感じて立ち止まる。
「どうしたの?」
サッチーが立ち止まって私の顔と、公園を見比べている。
私はサッチーに待ってる様にお願いして、公園の中に入っていった。
「勘違いだったかなぁ?」
私は、小首を傾げつつ、それでも探すのを止めない。
そして見つけた。
それは、公園の中で一番茂みが深い場所。
そこに……灰色の羽を持つ少年が倒れていた。