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翌朝父は、屋敷の家令達を集め、早まった婚姻式の日取りを伝えると、家令達はそれぞれ足早に準備に取り掛かり始め、屋敷の中は慌ただしくなった。
(私も一緒だわ……)
贈られた品と花嫁衣裳を全て別の部屋に移動し、準備が出来次第呼びに来ると、凄い剣幕の侍女達に頷き、その時に持ってきてくれた手紙を読みながら、現在部屋で待っている所だった。
手紙はスヘスティー公将家から届いた婚姻式の案内に書かれた花嫁の名が私だったことに、どうしたのかと驚き、心配した友人達からだった。
余りにも早い連絡に驚いたが、侯将家であるカメラの家に集まっていたようで早く知ることができたらしい。
(……みんな元気そうね。ふふっ。)
もちろん今回の婚姻についての疑問も書かれていたが、それ以上にあまりにも準備に日がない焦りや、新調したドレスが間に合わない悔しさや、侍女達が張り切り過ぎて困っている状況、大きな式への参加にすでに気が重いことが書き綴られていた。
しかし読み進めれば、カメラは最近また新しい絵画を手に入れた話や、メイトは市街に出した菓子店が盛況で二号店を出店する話、アミからはラスモを使った新しい建築ブロックが出来た話と本当に何てことのない日常の話題が大半を占めていて、変わらなかった関係性とその内容に思わず笑ってしまう。
”カン!カン!”
「…はい。」
「お嬢様、ご準備できましたのでフィッティングルームまでお越しください。」
「……。」
気合の入ったアンキラが呼びに来たことで、これから数日間は衣装に合わせて様々な装飾品と、髪型、化粧を試す作業が始まるのかと、オクラドヴァニアとの婚姻式の為に用意された花嫁衣装が届いた時に、永遠とも思えた日々を思い出し、既に疲れを感じ手に持っていた手紙をテーブルに置いた。
(友人達も大変そうだし、私も嫌だと言ってはいられないわよね…。)
誰もが似たような状態なのだと、申し訳ない気持ちにもなりつつ、同じく耐えている友人達がいるのだからと、重い腰を持ち上げ、椅子から立ち上がる。
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「……本当に、アイツがこれを?」




