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『………では、お嬢様は何かあった時に責任を取ることがお出来になるのですか?』
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(昨日はリアンの剣幕に一度は諦めようとしたけれど、やはり貴重な植物だもの、諦めきれないわよね。)
翌朝を迎え、起こしに来た侍女に身支度を整えて貰い、昨日何故か休みのリアンが何か文句を言いながら絶滅した筈の秘香枯を駆除している姿を見つけた。
どうしても、残して欲しいと懇願したが、我が家のみならず、国に及ぶ責任など取りようも無いとその時は諦めた。
(花は隠せなくても種なら大丈夫よね。植えて水を与えない限り持つだけなら問題は無い筈よ。)
リアンと別れて落ち込みながら庭を散策している途中で、この事に気が付き、今日はこれから父の見送りを済ませ、庭へ探しに行こうと意気込んでいた。
ーコンッコンッ!
その意気込みを阻止するかのように部屋の扉を叩く音が聞こえ執事が入って来た。
「お嬢様、スヘスティー公将家から急ぎの封書が届いております。」
「?……ありがとう。」
(どうしたのかしら?昨日お父様が返事を送った筈だけれど、行き違いがあったのかしら?取敢えず中身を確認しなくてわね……。)
ボイティは手渡された封書を訝しげな瞳で見つめていたが、内容を確認する為に封蝋をナイフで外し、手紙を取り出し読み始めた。
「…これはどういう事なの?」
差出人のファーレから三日後に時間を取って欲しいと書かれていた文字にボイティは疑問を覚えた。
「お前宛でも届いたのか?」
急いで身支度を整え、父に相談をしに執務室に向かうと、父の元にもスヘスティー公将家家長から同じ内容の封書が届いていたようで、お互い疑問を感じながらも、其々了承を伝える旨の手紙をしたため送った。
「では、行ってくる。」
その後直ぐに、各将家の集まりのため光家へと向かう父を見送る為に、母と従者達と一緒に玄関前に並び立った。
「旦那様、いってらっしゃいませ。」
「お父様、お気を付けて。」
「「「いってらっしゃいませ。」」」
「今日は母もいるから大丈夫だと思うが、余りヴァルターに迷惑をかけるなよ。」
「……はい。」
(迷惑…。いえ、朝食が終わったら、庭を散策するだけだもの、いつも通り過ごすだけよね。)
父の言葉が少し引っかかりを覚えたが、行動として変わらないと、笑顔で見送り、朝食を取りに食堂に向かった。
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「シュランゲからの号外!号外だよ!!」
そして、その数時間後街中では、二ヶ月後スピーア国へパフィーレン姫様が輿入れされると、シュランゲ著の号外が発行され街頭の至る所で配られていた。




