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幸せが約束された白色の婚約はその嘘により手から零れ落ちる。  作者: 唖々木江田
幸せが約束された白色の婚約はその嘘により手から零れ落ちる。

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女性が働くなど家格が上がる程に難しくなり、嫌がられたり煙たがられるのが通常だが、悩むことなく好きにしていいと許可を出し、内容を書面に残すということは、確実にこの条件は約束されたものになったが、余りにも早いその答えに困惑して何も言葉を返せずいたが、このまま何も言わなければ求婚を受け入れるしかなくなると必死に次を考えた。




(無理無理無理後後後後後後……!…お父様とお兄様の前だけれど仕方が無いわね……。)




「………なら、婚姻後数十年単位で家を空けたいと言ったら?」




嫁いだとしても公将家夫人としての責任を果たす気は無いと取られかねない発言に、父と兄がどんな表情に

なっているのか怖くて二人を見る事は出来なかった。




(これは流石に、公将家どころか、何処の家でも直ぐに断ってくるだろう条件の筈よね。)




「そんなの決まっているじゃないか、僕も一緒に行くよ。」




「ん?」




この条件もファーレは悩む事は無かったが、断ってくるどころか、一緒に付いてくるとの想像を超えてきた発言に、我慢できなかった疑問の声が一言漏れると、急いで扇を開き口元を急いで隠す。




「数十年だろ?なら君が拠点にしたい場所に家を購入して其処で暮らせばいい。一か所ではなく様々な場所を巡りたいなら、諸国の友人からセカンドハウスを借りてもいいし、その国の宿を転々と泊っても良いよ。」




「待って頂戴、公将家はどうするの?…そんな事をしていたら取り潰しになるわよ?」




とても楽しそうにあり得ない夢物語を語っているファーレに、自分が言えた義理ではないが、あまりにも公将家を蔑ろにする発言には流石に心配になり、口を出すと、ファーレの雰囲気が重いものに変わった。




「ボイティそれは失言だ、他の将家の事は知らないがスヘスティー公将家の家令達を舐めてもらっては困るね。家長が不在だからと言って数十年家を守れない程度の人間が我が公将家の屋敷で働いているとでも?それと……




「ッ……!!」




赤髪の前髪から覗く金色の瞳を見開き有無を言わせない冷たい視線で見降ろされ、内臓を抉られるような低く響く声に、視線を外せば一瞬で首元を噛み千切られるのでは無いかと錯覚を覚える程の迫力に、目を離すことが出来ず、全身全ての神経がファーレに集中して固唾を飲む。




(失敗したわ…この話しを家同士の問題にでもされたら父だけでは済まないことに……。)




この後にどんな話しが続くのか、血の気が引いていくのを感じると、緊張で嫌な汗が背中を伝い、ただ続く彼の言葉を待った。




数年でも付いていく行くし、数日でも付いていく。一日でも、半日でも、女性限定のサロンに行く日は中に入れなければ馬車の中で待っているよ。期間は気にせず何処にでも君の好きな所に一緒に行こう。……ねぇボイティ後は?」




「…………。」




ファーレは、纏っていた雰囲気をいつものように柔らかいものに変え、機嫌の良さそうな表情で手を伸ばし、次に聞きたい事を求めてくるが、雰囲気に飲まれていた私は、直ぐに切り替わったファーレの表情に呆気に取られてしまう。




(本当に(子将家)ファーレ(公将家)の話しにされていたら…どうなっていた…?)




そんな考えが浮かび恐ろしくなり、伸びてきたその手に恐怖を感じ払い除けると、色が悪くなっているだろう自分の顔に、それでも張り付いていた笑みを深くして虚勢を保つ。




「大丈夫。僕は君が望む事を何でも叶えてあげるよ。ボイティ……。」




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