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「ふふ……そろそろ終わる頃かしら?これで漸くあの方と……本当にあなた方に頼んで良かったわ。」
露台に腰掛けた薄い空色の髪を靡かせた少女は、誰も居ない室内にまだ幼さが残る声を嬉しそうに弾ませた。
花瓶に生けられている小さな朱い花が幾つも連なって咲いた逢魔花を抜き取ると、その花弁を毟り、掌に乗せては外に広がる青い空に散らしていく。
「………。」
誰も居ないはずの室内にはいつの間にか仮面を被った黒装束の人間が佇みただ黙って少女を眺めていた。
「でもね、あの方はきっと最後まで諦めないでしょう?」
「………。」
少女は振り返る事無く花弁の無くなり茎だけになった花を捨て新しい逢魔花に手を伸ばし、話しを続けていく。
「どんな手を使ってくるか分からない、そんな所も魅力的だけれど今回は駄目なの。だから今日が終わるまでは気を抜かないで見ていて頂戴ね。」
「………。」
「それでも、もし……………」
少女のその話しを聞き終えると黒装束の人間は消え去り部屋には少女一人になった。
「アハハハハ!!……フフフ…!どうなるのか本当に楽しみね……。」
花瓶に生けてあった花は全て無くなり少女の愉しげな声と共に最後の花弁は少し橙が混じり始めた空に消えて行った。
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(そろそろ良いかしらね。)
窓から覗く風景が変わり学院が見えなくなる所まで馬車が進んだのを確認して、ボイティは中の小窓を開けた。




