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幸せが約束された白色の婚約はその嘘により手から零れ落ちる。  作者: 唖々木江田
幸せが約束された白色の婚約はその嘘により手から零れ落ちる。

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様子を見ていたのだろう、話しが一段落した所で声を掛けてくると、扉を手で指し示し移動をするように促された。




「?はい。ただいま参ります。じゃあね、ファーレまた何処かで機会があったらお会いしましょう。皆様少しこの場を離れますが、戻ったらまたお話に混ぜて下さいませ、少々失礼致します。」




呼ばれた理由に心当たりが思い浮かばないが、何も無いのに呼ばれるわけはないと、了承を伝え、ファーレには2度と話しかけるなと、遠回しに伝え、周りにはまたねと挨拶を済ませ礼をすると、先導する教師の後ろを付いていきファーレの横を通り過ぎる。




「【きっと直ぐだよ。僕は君の為なら何でもしてあげるからね。】」




小さなファーレの呟きに疑問を感じて横目で確認すると、先程迄落ち込んでいたはずがすっかりいつも通りの表情に戻り、こちらを見つめていた。




(??あんなに分かりやすく伝えたのにまた声をかけにくるという事なのかしら…もっと直球に伝えればよかったわ…はぁ。)




会場の人を掻き分けながら教師の背を追って歩きつつ、先ほどのファーレの呟いた言葉の内容に和感を覚えたが、伝えた意味がいつもの様に通じて居ないだけだと解釈すると、会場に戻った後また声を掛けてくる姿を想像してうんざりした気分になり、心の中でため息を吐く。




「こちらで少しお待ち下さい。」




「はい。」




扉前に到着した教師が給仕達に何か説明し始めると、給仕達によってゆっくり扉が開かれ、教師と共に煌びやかで賑やかな卒業後の立食会場を後にした。




ーーーカッカッカッコッコッコッ




「急なお呼び出し申し訳ございません。このまま足を止めずに説明させていただきますが、エクソルツィスムス子将家の方がお急ぎで来られております。」




会場から出ると、教師は呼びだした理由を歩きながら説明を始めた。




「えっ?………。」




こんな日に戻る迄待てない程の事態が屋敷で起きているのだと分かり、声がそれ以上でなかった。




「ただならぬ雰囲気に理由はお聞きしておりません。」




「………。」




それ以降教師は黙り込み、お互いに無言で歩く速度を速めた。




(話しを聞くまではまだ何も決まっていないわ、大丈夫よ!)




自分に言い聞かせる様に心の中で何度も呟くが、心臓は勝手に歩く速度よりも速く動いていた。




(ようやく入り口が見えてきたわ……!?)




「ヴァルター!!」




暫く早足で歩いていると、まだ少し遠いが学院の入り口前に立つ執事長のヴァルターの姿が見え、あちらも気づいたのだろう、跪いて深い礼に体勢を変えたのを確認して、そんなに一大事なのかと、焦り大きな声で彼の名を呼んだ。




「お嬢様、こんな良き日に申し訳ございません。」




跪くヴァルターの目の前に到着すると、教師は少し離れた後ろに控えた。




「良いのよ立って頂戴、それより何があったの?」




「その……お耳を宜しいでしょうか?」




申し訳なさそうに謝るヴァルターに何があったのか訊ねると、とても言いにくそうな態度に、家族の誰かに起こった最悪な状態を想像し覚悟を決めて耳を傾ける。




「実は……」




「へぁ!??!」




ヴァルターに耳打ちされた話があまりにも予想外で、口から間の抜けた声が漏れてしまい、急いで口を閉じた。




「どうかなさいましたか?」




「いえ、何でもございません。ただ少々家の方が立て込んでいるようでして、卒業式も終わりましたし、このまま家令と共に屋敷に向かいたいと思います。皆様にはまた別の場所でお会い出来るのを楽しみにしているとお伝え頂けますか?」




動揺を見せた様子に、教師が不思議そうな顔で訊ねてくるが、内容を伝える訳にもいかず、大まかな事情だけ伝えこのまま家に帰ることを告げる。




「わかりました、お伝えしておきます。」




こうなる事を予想していたのだろうが、私の態度から思っていたよりも悪い事態ではなさそうな雰囲気を察して、穏やかな表情を向けてくれた。




「五年間大変お世話になりました。先生もお元気で。」




そう教師に別れを告げると、ヴァルターのエスコートを受け、少し西に傾いた青い空の下、馬車に乗り込み学院を後にした。



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