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(様子にお変わりはないみたいだし…。)
先日見た光景が頭から離れないままリアンは明日の茶会で出す茶葉を数種類用意し混ぜ合わせていた。
(お嬢様は見なかったのかしら?)
「リアンその茶葉何名分用意するの?」
「え?……えぇ!!??」
声をかけられ手元を見れば考え事をしながら配合していた茶葉はブレンド用の容器から溢れ返り作業台にもこぼれ落ちていた。
「はぁ…これはやり直しだわ。」
新しい容器を用意すると今度は作業に集中した。
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(今日のお茶会は気持ちが軽いわ〜。)
彼らの仲を知った翌週にオクラドヴァニアと毎週定期的に開かれている2人だけのお茶会の日を初めて迎えていた。
(はぁ、お茶が美味しいって何て素晴らしいのかしら!!)
それまではお茶会日が近づくと婚約解消の為に冷たい態度を取らなけれならないと憂鬱な気持ちになっていたが、もうその必要が無くなり無理をしなくても良いのだと思えば寧ろ今日がとても待ち遠しく思えた。
「珍しく機嫌が良さそうだが何かいいことでもあったのか?」
「特に何もございませんがオクラドヴァニア様にはそう見えるのですか?」
「いや……そうか。」
いつものように黒の軍服を着用して来たオクラドヴァニアは今まで無表情のまま無言で聞き返事をするだけだったボイティに戸惑い、難しい顔をしているようだったがそれ以上は特に聞いてくることも無くいつも通りのお茶会が終わった。
(彼と話しをするだけなら楽しいのかもしれないわよね、次はもう少し色々聞いてみようかしら。)
そのお茶会日を境に少しずつ会話を重ねるようになり、話しをすることにも慣れたボイティは、何度目かのお茶会の時には見つからない逢瀬の場所を提供……うっかり話の流れで伝えたり、予定を伝えるついでに自身付きの侍女達の休みをさり気なく話題に出した。
「そうか君も侍女達も大変だな、あまり無理をせずに過ごすのだぞ。」
無表情だと強面にしか見えないオクラドヴァニア顔が無意識だろう柔和な笑顔に変わり耳をピクピク動かし答えた姿をボイティは食い入るように眺めた。
(……今のは一体何かしら?)
笑顔よりもその不思議な現象が気になりそこから侍女達の話題を毎回出すように変え観察し続けたある日、耳がピクピク動き出す理由にボイティは余りにも分かりやすい行動だったのだと思わず口元がニヤけてしまう。
「ふふふ。」
「どうかしたのか?」
「いいえ何も。オクラドヴァニア様のお話しが面白かっただけですわ。」
「そうか…。」
(興味がある話しの時だけ無意識に動くのだわ、年上だけど結構可愛い人だったのね。)
ラヴーシュカの行動や休日の話しの時にピクピク動き出しその後は少し余韻が残る耳を見つめ、強面な顔に大きな体躯で自分の領地や鍛錬の内容を真面目な顔で語ってくるオクラドヴァニアの嘘をつけないと言われている彼らしいその癖は他にはどんな話題で動くのだろうかと益々興味が湧き、様々な内容の話しを重ねたが耳が動く事はなかった。
ただそのお陰か彼へ友人としての好感度は上がり関係は良好なものに変化していった。
「お嬢様…最近何だか楽しそうですわね。オクラドヴァニア様と何かございましたか?」
「以前よりはお話をするようになったけれど、それ以外は特に変わってはいないわよ。」
「そうですか……。」
「あっ……ええ。」
何処となく浮かない顔のラヴーシュカに声を掛けられ心が痛みだしたが、今計画を伝えても仕方が無いと飲み込んだ。




