1話 格闘家と最強の転生者
おかしい奴ら。
「おい受付嬢ちゃん!!!今日は一番乗りだよ!!!」
この妙に綺麗な狭い酒場には毎日たくさんの人が来る。テーブルは一つしかなく、カウンターにも小型の冷蔵庫とレンジやレジを置いたら一人しか入れない。料理や酒だって近所にある店から秒速で買ってきて出す。そんな店。それなのに毎日たくさんの人が来る。
「一人目ですね!貸し出し、、、今日も閉店ですか・・・」
自分で料理を作っていないんだから廃棄の心配はないのに、この女はなんでこんなに悲しそうな顔をしているんだ。
「出てきていいですよー!」
ヌルッ
「もういたけどな。」
俺は窮屈なレジから抜け出してカウンターにあぐらのまま飛び出した。
驚いた冒険者の姿を見ようと思ったが、飛び出した正面にいたのは悲しそうな顔の受付嬢だった。
俺は体を捻って冒険者の方に体を向けた。
「おお、筋肉質な方。」
思った以上に筋肉質だったし、思った以上に驚いていなかった。
「お前のことは噂に聞いてたからな!!最強の転生者!」
フッ、照れくさいぜ。
「なんでお前みたいな奴がどこのチームにも行かないんだ?」
「それは俺が一番不思議だ。そんな言い草ということはお前は入れてくれるのか?」
当たり前だと言わんばかりに冒険者は首を縦に振る。
「俺はモテたいんだよ!だからマグマーメイドのネックレスが欲しいんだよ!その討伐の仲間になってくれよ!」
「あるからあげるよ。これあげるから入れてくれよ。」
俺は首の中を雑に探り、マグマーメイドのネックレスを冒険者に丁寧に差し出した。
「ちょっと汚れてるけど、傷じゃない。いいよな?」
俺もこれで仲間になれる。
「・・・そういうことじゃないんだよ。」
筋肉が硬直している、、、どうしたんだ?
「俺はさあ!!傷つきたいの!!」
「お前はMか、戦闘に不利じゃない?」
「違うよ!傷ついて、その姿でネックレス渡したほうがいいじゃん!!」
「よくねえだろ!痛いじゃん!!後お前がそこまでいうならオラっ!!」
「お前痛い!!俺の大胸筋がさらに浮き出てんじゃねえかよ!」
「もう喧嘩やめてよお、、、私悲しいよお、、、うえーーーーん!!!」
「ゴミ店舗がよ!!」
捨て台詞を吐き出して筋肉質な冒険者は酒場を出て行った。いつもこんな感じで受付嬢が泣く。その度に店を閉めて俺は全力で慰めなければならない。そうしないと明日に進めない。
いつか俺はチームに入れるのだろうか。
よくわからない奴らです。




