鬼パン
私は二年ぐらいパン教室に通っていました。
正確に言えば、天然酵母パンの教室
きっかけは新聞の折り込みチラシで体験教室の募集を見つけたのが、きっかけでした。
実は私、天然酵母なんて全く知らず、「そういや、近所に天然酵母のパン屋があったかなぁ」地味な割りに値段の高いパン…あんまり美味しくない(-.-;)
きっとなんか特殊な粉でも入れて焼くのだろう…と、何も解らず入学したのでした。
パンを作る
前書きに「二年ぐらいパン教室に通った」なんて言っていますが、まぁ〜頼りない物で後から苦情が来たらどうしよう…とビクビクしていたりして(汗)
「パンを作る」と言えば、ドライイーストを生地に混ぜ発酵させて、膨らませる…
もう少し言うと、イースト(酵母)が水分、温度、糖分を栄養として発酵して行き、糖分を炭酸ガスとアルコールに分解します。
炭酸ガスが生地を膨らませ、アルコールは発酵しながら風味、香りを作って行きます。
「ドライイースト」名前のまんま、乾燥させたイースト(酵母)。化学的環境で培養した菌。化学的とか言うと、化学調味料といった様なイメージがあるかもしれませんが、それは違うのですよ、そうではなくパン作りに適した酵母を、培養して安定したパンが作れるといったものです。
天然酵母は、果実、穀物、植物の花等を自然発酵させたもの。
使う材料や、気温、湿度により発酵具合も違い発酵が不安定、時間もかかります…
「パンを食べたい」と思う日から、逆算して約10日は勘定していかないといけません。
大体は何でも発酵し酵母を起こす事はできますが、一番適しているのはやっぱり糖度の高い物、果物でしょうか。その中でも一番やり易いのは、干しぶどうがいいかと。
最初、水に材料と砂糖を入れ約1週間ぐらいかそれ以上(季節によるので)、そしてその液体で「パン種」を作ります。液体に強力粉を混ぜそれを2〜3日置く、そしてやっと生地作り。パンを作るのだ。
しかし、発酵に(一次発酵)4〜7時間はかかるのだよ
いつ食えるねん!って感じです。
だけどわざわざ食材から酵母を作らずとも、「酵母菌」が売られていたりします。
教室では教室独自に開発した酵母菌を使用していたので、失敗なく安定した発酵ができました。それでも、4時間は発酵にかかるかな
パンを作る2
月2回のパン教室へ通う様になってようやく、天然酵母を知り家でも酵母を作ろうと思い、最初はりんごやニンジンを使ったと思います。
何故ニンジンなんだろう…忘れました(汗)
まず、入れ物(瓶)はガラスの密閉できる物、そして必ず煮沸消毒をしたもの。
材料の林檎は 1個に対し水は200ccぐらいですが、材料がひたひたに浸かるぐらいで。(市販の水なら何でもよい、アルカリ水は×)砂糖は10〜20g。
それを入れ物に入れて、冬場なら26℃〜28℃ぐらいの暖かい所に置き、毎日フタを開けて混ぜる。
気温の高い夏場ならその日くらいから、冬場だと3日〜くらいからプツプツと気泡が現れ、フタを開けると「ポン」と音が鳴ります。発酵が進んでいる証拠、匂いを確認すると薄く果実酒の様な香りがするはず…もし、変な匂い(酢の様な)がすればそれは失敗、使えません。
雑菌が入ってしまうと、アウトです。ううっ実はこの時、失敗しました(泣)
妹にもう一回やってみなよと励まされ、丁度グレープフルーツがあったので前回と同じ様に今度は念入りに入れ物を、煮沸消毒。果物や野菜は皮ごと使用するみたいですが、物によっては剥いた方がいいかも…今回は皮を剥いて使用しました。
甘いグレープフルーツでしたが、発酵に時間がかかりそうと、ちょっと多めに砂糖を入れたのがよかったのか今度は上手く酵母が作れました。
「パン種作り」
サイトや本、教室などやり方は様々なのですが、基本、酵母液と強力粉は1:1です。
同じ煮沸消毒をしたガラス瓶に半分又は3/1入れて置いておく。
※注意、煮沸消毒した熱々の入れ物に入れたりしない事、菌(酵母)が死んでしまいます。
2日〜ぐらいで、プツプツと気泡が現れ生地も混ぜると滑らかになっている。
そこに最初に使った量の半分の強力粉を継ぎ足し混ぜる。
他のサイトでは継ぎ足しをしない所もあるようですが、継ぎ足した方が酵母も元気に育ってくれると思うので…
それからはどんどん発酵が進み、ブクブクと盛り上がって来ます。なので入れ物の半分以下で作らないといけない、夏場等は元気すぎて瓶の外へ溢れ出したり、ゆるいフタだと飛んで行きます。
このブクブクと発酵する様子は、見ていてちょっと楽しい…
パン作りには全く興味ない妹が、面白がって結構酵母の面倒を見てくれた。そういえば昔から小さい生き物が好きだよなぁ…カメとかメダカとかブンブンとか…酵母はかなり小さいけど(菌だし)
5日目ぐらいから、ぶくぶくと盛り上がっていた生地が止まりはじめるので、1日〜2日冷蔵庫で寝かせる。
使用する時は、常温に戻して使う。常温に戻すとまた盛り上がって来ます。
やっとの思いで作った酵母、ここからさぁパン作りだ。
パン種と粉の割合ですが、他のサイトや教室等を見て、平均粉に対して半分〜三分の一のパン種を使用します。使わないパン種は冷蔵庫で2週間くらいは保存できます。
朝の6時から、わっせわっせと生地をこね、発酵に7時間はかかった…
たしかバターロールのような、特に味付けのないパンを作りました。作り方は通常のイーストを使ったパンと同じ。
なんやかんやで、出来上がったのは夜の10時だったような…疲れて試食もせずでした。
焼きたてのパンを食べないで、なぜ手作りパンなんだか…
恐怖の鬼パン
朝食に自分の作ったパンとコーヒー
素敵だ、赤毛のアンみたい〜ターシャの世界みたい〜ええかげんな事言っています。
小さめのパン、半分かじる
「固!!」
なんてボソボソなパン!、水分らしい水分がない
それよりもなんだ?
酸っぱい!すっぱいぞ!!
なんだこの尋常じゃないすっぱさは!
天然酵母のパンは酸味があるのが特徴だけど、酸味なんて物でないすっぱいのだ。
酵母の元がグレープフルーツだから?いや、香りがうっすら残る事はあってもこんなに強烈に味が残る事はない。って言うかグレープフルーツの酸っぱさじゃない
固くてすっぱいパン
責任を持って作った者が食さねばと思うが、喉を通らない、いや手が出ない〜
「鬼だよ!鬼パンだよ」と妹は命名してくれました。
固いのは、2次発酵できちんと発酵されていないのが原因か。他にも原因はあるとは思うが。
2次発酵は生地を分割し、成型してもう一度発酵させる所、うちのオーブンレンジには一応「発酵」機能がついてはいても、温度は管理できても湿度までは見てくれない。濡れ布巾をかけたりしたが、足りなかった様子。やっぱり大事です「温度」と「湿度」、本当に大事。
謎のすっぱさは、恐らくパン種を作る時点で発酵が進みすぎていたのでは?と教室の先生は言う。もしくは雑菌が入っていたとか…
どっちかわからないが、とにかくこの酸っぱく固いパン、どうにか食べないといけない
焼いてバターやジャムを塗ったりしたが、酸っぱさが勝つのだ(泣)
日に日に固さが増す鬼パン、妹が言った。
「パン粉にしよう」
「パン粉にしてコロッケとか何かフライにして食べようよ」
おお、それはよいと夕飯に妹が、作業に取りかかる。
ギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコギィコ
木を切っている様な音がする、違う妹がパンを半分に切っているのだ。それくらい固くなった鬼パン、しかし粉にすればこちらの物(何が?)
ガリッ
「姉ちゃんっ おろし器の歯が折れたぞ」
プラスチック製の穴の開いたあのおろし器、本当はフードプロッセサーでやるべきなんだろうが、うちにはそんなものはない。
間違った使用法だとは思うが、まさかパンで歯が折れるとは…
てのひらぐらいの鬼パンがあと三つ、どうにかしたい
「そだ!ハムにあげよう」
またもや妹が、言ってくれた。うちにはハムスターが当時8匹いた、そうだそうだ!何でも食べるハムに少しでもあげよう、ねずみだもんな固いもんだってお手の物だよっ、ビバッ齧歯類っ。
丸ごとやる訳にもいかないので一を10等分にし、8匹のハムたちに配る
一口かじって見向きもしない
ネズミも食わないのか、私の作ったパンは…
あとは、もう武器にでもするしかないよな、と言う訳にもいかないので捨ててしまいました。
ごめんなさい。すみません
それからも懲りずに酵母を作っては、挑戦してまぁまぁ食べられるパンを作れる様になりました。あんまり美味しくないけどね
今は、ドライイーストで作る事が多いですね。また酵母起こそうかな
作中は「酵母を作る」と表現していましが、ちょっと変かもしれません
「酵母を起こす」とよく言うかも。
酵母を起こして、パンを焼く…時間はかかりますが、これがいい所でもあります。
前の晩に生地を作り、次の朝に焼くといった事ができますし、最低でも4時間は発酵にかかりますから、お出掛けだってできます。ドライイーストと違い、「きっちり時間を守って作業をしなくちゃいけない」何て事がないのでそれがいい所でもあります。
お話の中で使用した、材料
ニンジンや、りんご、グレープフルーツ、きれいに洗って皮ごと浸けるのがよいらしですが、私は皮は剥いて使用します(汗)気分的に…
干しぶどうはオイルコーティングしていない物を使用します。
花も材料として使えますが、中には有毒な物もあったりしますのであまりおすすめしません。
売られているお花も薬品がかかっていたりするかもしれませんので使用されないように…
教室では先生のお庭で育った、お花で酵母を起こしパンを焼きました。
バラ、さくらの花びら、つつじ。実際の所、焼き上がったパンはそんな花の香りはしないんですけどね、きっとハーブで酵母を起こせば香りや風味が出ると思います。