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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 99

 「何これ?装飾品?」

 宝箱を開けて、中の物を取り出して手に載せる。

 小さいけど王冠かな。

 金と宝石の見事な細工。

 その王冠が、ひとりでに浮き出した。

 見守っていると、出てきたのはベゼル。

 「え、どしてベゼル君出てきたの?」

 横で見ていたみさとが、びっくりして声を上げた。

 小さいベゼルが手の上から降りて、通常サイズに戻る。

 「やぁやぁ久し振り、2人共元気そうだね。

やっと帰還についての情報持ってきたよ。」

 「えっ、帰れるの?」

 「勿論。

 僕の力じゃないのが残念だけど、出来るようにして貰えた。」

 「ベゼル君より上の人とか?」

 「当たりだよ、みさと。

 オデッセイ様からの御達しで、帰れるようになりました!」

 その一言で、シビックがベゼルを睨む。

 「お前、僕のことあの人に言っただろ。」

 「あぁ、言ったよ。

 探さないで、楽しく暮らしてるからって話もしたら、世話をしてくれてる恩人にお礼がしたいと言ってさ。

 現状話したら、帰れる方法を教えてくれた。

 拓海の魔法で出来るように、この媒体の登場って理由。」

 しれっと悪びれもせず、淡々と話すベゼル。

 しかも、自分で出来ないことを上の人にやらせてるし。

 自分の頭から王冠を取り、俺の手に載せるベゼル。

 王冠はそのままだが、体内に何か入ったのを感じた。

 「俺、何かされた?」

 「察しがいいね、拓海。

 帰還魔法使えるようにインストールされた。」

 「帰れるんだ。

 シビックも一緒?置いていくの嫌なんだけど。」

 俺の再度の問に、腕を組んで考えるベゼル。

 「んー、やってみれば?

 そこまで聞いてないし。

 この子が向こう生活できるかもわからないけどね。」

 そうだよな。

 俺とみさとは、思わずシビックを見る。

 「無理しなくて良いぞ。

 僕は今までもひとりで過ごすこともできてたんだ。」

 みさとが俺を見つめる。

 「試すってことは、シビックを危険に晒すってこと?」

 「その可能性は高いかもね。

 何しろ初めてだからさ、正直成功するかもやってみないと分からない。

 みさとはどうしたい?」

 「一緒に連れて行きたい!」

 「俺もだ。

 よし、やってみるか。」

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