お試しにも程がある 98
「ダンジョンて、色んなの出てくるねぇ。
良い練習になって嬉しいかも。」
暢気にみさとはそんなこと言っている。
ここは、冒険者ギルドの依頼できているダンジョン。
出来るだけ多くの魔物を倒して、魔石収集をして欲しいとのこと。
魔物相手ならと、みさとは練習を申し出た。
まぁ、何かあれば俺とシビックで倒すつもりだし、怪我させられるほどの魔物が居るとも思えないので、了承。
特に数は決めずに、行けるところまで行こうということになった。
最初は1体ずつ、軽く剣を振るだけで終わってた。
進むに連れて数が増えてきたが、一太刀で終わることは変わらなかった。
みさとは面白そうに倒しているが、魔石を拾う俺の方が大変になってきた。
通路いっぱいの魔物も、一閃するだけで後ろまで倒してしまう。
こんなに凄かったのかと、今更ながら思う。
寧ろ、ダンジョンが壊れないかとそっちを心配した。
これ、練習になるのか?
俺は、魔石を入れる袋を魔法で加工・勝手に入るようにして、どんどん吸い上げていった。
正直、どれ位倒したかも覚えてない程。
冒険者ギルドのカウンターで魔石どれくらい出るやら。
どんどんみさとは進み、階層もだいぶ降りてきた。
迷うほどの道でなくて良かった。
大きな扉の前で、振り向くみさと。
「開けて良いかな?」
「良いよ、どんどん行こう。」
一応物理攻撃も魔法攻撃も無効にしてあるが、何処まで効くかは実験していない。
ちゃんと効力発揮してくれれば良いけど。
扉を開けた先には、天井の高い広間があった。
さっきまでの通路の高さは何だったんだろう…
そして、高さに見合う巨大な魔物がお出ましになった。
「大っきいねぇ。
やってみても良いかな?」
「「いいともー!」」
魔物に向かって走り出すみさと。
ぶっちゃけその場で剣を振って終わりにするかと思っていたが、ちゃんと戦いたいみたい。
相手になるといいんだけど。
魔物からの攻撃を避けながら、近づいて斬りつける。
身軽に避けている様を見ると、遊んでいるのか踊っているのかよくわからない、軽やかなステップ。
俺、あんなに動けないぞ。
避けるのはもう楽しんだのか、みさとは壁面を走り出し魔物の背後から斬りつけた。
頭の上から、真っ直ぐに剣を下ろしただけ。
中に骨など無いかの如く、豆腐でも斬っているように見えた。
綺麗に真っ二つ、左右に分かれて倒れていく。
みさとが俺達の方に向かってくる頃には、倒れた体は消えて魔石と宝箱が出ていた。
「こういうところゲームみたいだよな。」
「何が入っているかな?」
「使える物だといいけどね。」




