お試しにも程がある 96
「こっちの大蒜が効いてるのも、2つとも美味しい。
僕の好みはこっちかな。」
そう言うとクレスタは、大蒜バターソースの方を指した。
「こっちは塩胡椒だから、あっさりだけどバターはこってりで良い感じ。
大蒜も、薄切りカリカリにしてかけたのもいい。
ご飯にも合うけど、パンに挟んでも良さそう。」
「良いですね、合うと思う。
因みに、今まで出しているハンバーグとかメンチカツとかとんかつも、パンで挟むと美味しいですよ。」
「ふむふむ。
おや?とんかつとは?」
「あれ?出してませんか?
メンチカツは挽肉だけど、とんかつは豚肉をスライスしたものを揚げる料理です。
とんかつもお肉の部位とか切り方で好みが分かれますねぇ。」
「成程。
今回はこの4種類で新メニューにするので、とんかつは次回のメニューでお願いします。
今から楽しみだ!」
流石クレスタ、仕事が早い。
既に次回のメニューに切り替えた。
「そうですよね、いっぺんに品数出し過ぎても良くないし。
ん?おにぎりはどうしたんですか?」
みさとの問いに、澄ました顔でクレスタは答える。
「実はですね、おにぎり単品でも出すんですが、おにぎりセットにして好きな物3つと味噌汁・卵焼きで出したところ、大当たりでした!」
「売れて良かった。
おにぎりだから、お弁当でもいいしね。」
何の気なしにみさとは口にしたが、聞き逃さなかったクレスタ。
「お弁当とは?
みさとさんの発言は売れる可能性しかないですよ。」
詰め寄られたみさとは、気圧されて更に口走る。
「出先で食べられるようにしたご飯ですかね。
こっちはパンが持運びしやすいけど、おにぎりと卵焼きと唐揚げとか、お弁当の定番です。」
「持運び…隣の売店でも売れるということか。
これも棒アイス方式で少し安めにして、中身を選べるようにすれば…」
クレスタは独りの世界に入ってしまった。
独り言が止まらない。
その間にも、シビックは順調にフォークで食べていた。
「みさと、お代わりちょーだい。」




