お試しにも程がある 91
「どうだ、良い感じじゃないか?」
出来上がった置物の小屋を持ち上げてみせるデックス。
小一時間と言っていたが、正味30分位で作ったから凄い。
「凄いねデックス。
見事な丸太小屋だ、家もこんな感じが良かったな。」
見事な出来栄えでまじまじと見た俺は、思わず呟いた。
木を組み合わせて、壁・屋根を作り、床板は釘で打ち付けている。
入り口になる部分は、蝶番で扉を付けている。
申し訳程度に、窓が1つ。
「じゃあ外に行こうか。」
「何?それこそ明日で良いんじゃないか?」
「まぁまぁ。
灯りは照らすから、この小屋の床板が入る程度で整地して欲しい。」
「わかったよ。
じゃあこの辺で。」
ささっと床板より少し大きめの四角に線をつけ、草や石が無いように綺麗にしてから、地固めする。
何でも道具あるなぁと感心しながら見ていた。
あっという間に終わり、お手製の小屋をそこに置く。
俺は、大きくなる魔法をかけてデックスの家と同じ位のサイズにする。
「ほぇー、あっという間だなぁ。
こんな簡単に家が立つとは。」
「作ったのはデックスじゃん。
大きくなっても良い見栄えだね。
もうちょっと待っててね。」
中を広くする魔法もかけ、完成とする。
「お待たせ、中に入ろうか。」
俺・デックス・みさととシビックの順で中に入る。
灯りは部屋全体を明るくできるように、ちょっと工夫。
「な、なんじゃこりゃー!」
デックスは目を見開いて固まる。
中は、世界三大レースも行われるオーバルコースが入るくらいの広さ。
これなら、何かを走らせても爆発しても何かしら飛び散っても、周りに迷惑かけないだろう。
動力源あるなしに関わらず、乗り物として作るなら試作はこれくらいの広さで試さないとね。
「どう?デックス。
ここならどんな実験しても安心でしょ。」
「いやさぁ、確かに安心だけど、広過ぎないか?
端までどれくらいあるんだよ。」
「それはほら、納得の行く乗り物作れたら試しに行ってみるでもいいじゃん?
それと、これも。」
そう言って俺は、ウエストポーチから車を1台出した。
「実験用だからね。
分解しても、乗ってみてもいいし。
あの入り口の大きさなら、外に出せないでしょ。
まぁ、この広さならかなり飛ばしても楽しめると思うよ。
あ、ぶつかると壊れるから気を付けてね。」




