お試しにも程がある 90
「魔法みたいなもんかな。
俺、絵が下手だから、画像の方が分かりやすいと思ってこっちにしたけど、どうかな?」
一通りPCを眺め気が済んだのか、やっと画像の方を見てくれた。
「成程な。
こっちは足漕ぎか?
隣のおもちゃみたいのは自動で動くようになるのか?」
「実物が無くて申し訳ないけど、その通りだよ。
こっちの自転車は、子供から大人まで乗れる。」
まじまじと画像を見ているので、拡大して見せた。
「この機構は足漕ぎでチェーンを回し、それを前の車輪に伝えて動かしてるな。
後ろは補助か?
止まるためには結構な力いるだろうに。」
「止めるのはブレーキって言って、ハンドル…操縦の為に持つ所にレバーが付いてるよ。」
「ほぅほぅ、ブレーキか。
レバーがあるということは、握ると止まる?
何かで連動?線で繋がってるのか?金属線かな?
これは面白い!」
夢中になるデックス。
「速度はあまり出ないけど、歩くよりは断然速いよ。
漕ぐのはまぁ、疲れるけど。」
「車輪は木じゃないな。
金属、いやこの黒いのは何だ?」
「ゴムかな。
確か樹脂だったと思うよ。
弾力はあるけど、硬めのもの。
構造は中にチューブ入れてあって、空気を溜めてる。
パンクしないように、樹脂だけのものもある。」
「空気を入れるか、塊にするかか。
何が違うんだ?最初から塊だけで良いんじゃないか?」
「最初は乗り心地良くなる為に空気入れてたんじゃないかな。
木枠や金属だけの車輪だと、段差とかでこぼこ道は振動が激しくなるじゃん?
その軽減すると、今度は穴が空いた時に使えなくなるから、樹脂だけのものも出来たはず。
乗り心地悪くなるし重くなるけどね。」
「よく考えられてんな。
こっちの自動の方は、構造が細かそうだ。」
「そうだな…んー難しいなぁ。
どう説明したらいいかな。
俺も全部はわからんからな。
どうしたもんか。」
少し悩んでから、デックスに声をかけた。
「ねぇデックス、この家の周囲の土地もデックス使えるの?」
「そうだな、誰にも迷惑かからんし咎められることもないぞ。」
「そっか。
じゃあさ、犬小屋とか置物の小屋とか、デックス作れる?
床も欲しいから平らな板の上に作って欲しいのと、簡単には崩れない仕組みで頼みたい。」
「犬小屋か置物の小屋?
子供の頃によく作らされたから、お手のもんだ。
刃物や木の扱いも学べるからな。」
「じゃあ宜しく!
どれくらいで作れる?」
「うちにある材料で出来そうだし、小一時間もあれば見栄えの良いのが出来るぞ。」
「そうか。
疲れてるだろうし、明日でも良いけど?」
「なぁに、この程度苦でもない。
よし、直ぐ取り掛かるから待ってろ。」




